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THE BACK HORNを迎え敢行! UNISON SQUARE GARDENの対バン・シリーズライブ @東京

UNISON SQUARE GARDEN | 2011.05.25

 UNISON SQUARE GARDENの対バン・シリーズライブ“fun time HOLIDAY 3”の東京バージョンは、THE BACK HORNが相手。強烈な組み合わせの2バンドに、リキッドルームのオーディエンスの期待は、ぱんぱんに膨らんでいる。  まず登場したのは、THE BACK HORN。山田将司 (Vo)、菅波栄純 (Gu)、岡峰光舟 (Ba)、松田晋二 (Dr)の4人が、出てきただけで風格を感じさせる。松田は震災復興を支援するバンド“猪苗代湖ズ”のメンバーとしても精力的に活動していて、それも含めてバンドの存在感の大きさが伝わってくる。そして「ラフレシア」から演奏が始まると、そんなバンドがくぐり抜けてきた困難を遥かに越えてあふれ出す、ストレートな音楽の説得力に胸のすく思いがしたのだった。

 山田が♪生まれ落ちた その意味を教えてくれ 愛し合った その理由を教えてくれ♪と歌う声の、果てしない優しさが印象的だ。一方、「サーカス」のイントロでグルービーにランニングする岡峰のベースや、シャープな菅波のギターソロに、観客から歓声が上がる。オーディエンスのダイレクトな反応がライブの重要な要素を担い、結果、フロア全体が共に盛り上がる。その盛り上がりには、バンドの音をきちんと伝えるPAの素晴らしいエンジニアリングが大きく貢献していた。

 「去年、UNISON SQUARE GARDENには俺たちが主催した“KYO-MEI大会”に出ていただきまして、この2バンドで至福の時間を作れたらいいねと話しました。楽しんでいきましょう!」と言って、中盤はギターのアルペジオで始まる「赤眼の路上」から。ここからライブは尻上がりに熱くなっていき、ラストの「コバルトブルー」がベストアクトだった。そうしたロックバンドにとっての理想の流れは、ドラマティックなアレンジとナチュラルな感情表現が爆音の中で両立するTHE BACK HORNならではのものだった。

 さて、今日のホストバンド、UNISON SQUARE GARDENの番だ。ライトショーのような照明の中から登場した斎藤宏介(Vo&Gu)、田淵智也(Ba&Cho)、鈴木貴雄(Dr&Cho)は、最初、ファンキーなインストを短く演奏。いきなりTHE BACK HORNとのバンド・アンサンブルの違いを如実に表わす。THE BACK HORNが大らかなアンサンブルなら、UNISON SQUARE GARDENのそれは、“緻密”だ。好対照のアピールが楽しい。このイベントの意義は、そんなところにもある。 1曲目の「ギャクテンサヨナラ」から斎藤は歌いながら、フルスピードでギターのアルペジオを弾きまくる。現在、3ピース・バンドシーンにはたくさんのギター&ボーカルがいるが、中でも斎藤は際立つ存在だ。その彼がここにきて急速に成長していることを実感させる前半だった。特に初期の名曲「Mr.アンディ」では田淵も鈴木もコーラスに参加。バンドの実力の片鱗を見せ付ける。

 その後は、「スカースデイル」や「気まぐれ雑踏」の流れから一転して激しく楽器を鳴らす「場違いハミングバード」で小気味よいグルーブをつくっていったのはさすがだった。
「自主企画に来てもらって、ありがとう。僕らの愛するみんなと、クライマックスに向けて楽しみましょう。来月、リリースするシングルです」と、「オリオンをなぞる」を嬉しそうに演奏する。速いテンポの4つ打ちビートに、得意のシンコペーションを連続して織り交ぜる。今のこのバンドの目指すサウンドが爆発して、一気にクライマックスへ。初期の人気曲「ガリレオのショーケース」、アンコールでは新曲「プロトラクト・カウントダウン」も交えて、オーディエンスには嬉しいエンディングとなった。
 おそらくUNISON SQUARE GARDENは今、脱皮の時期を迎えている。どの方向に進むのかを他のバンドとの対比で探ろうというこのイベントに、彼らの意気込みを感じて、僕にとっても嬉しい夜になった。

【取材・文 平山雄一】

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