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Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン開催!!

Golden Circle | 2011.11.15

 武道館に詰めかけた観客のざわめきが、これから巻き起こる“事件”を予感させていた。16回目を数える“Golden Circle”も対バン形式で行うのはこれが初めて、と、主宰者・寺岡呼人は感慨深げにステージで語り、開幕を宣言した。イベントの主旨である、三世代が集結するスタイルはそのままに、この大きなハコで、どんな火花が散るのか。そして、どんな絆が誕生するのか。

 寺岡はこの日のために新曲「ROCK’N ROLL TRAIN」を書き下ろした。当初は、みんなで懐かしい曲を、という案もあったそうだが、やはり2011年の姿を誠実に見せたいと思ったのだそうだ。
 1日目はオープニングで、2日目はアンコールの1曲目に、出演者全員のセッションによって披露された、この曲。出演する4バンドのギタリストとベーシスト(中にはギターを持ったドラマーも混じっていた)がステージ前面に一列に並んで代わる代わるソロを弾く光景は実に爽快だった。

 翌日にデビューという絶妙なタイミングで1日目のオープニングアクトに登場したのはOverTheDogs、「本当の未来は」など、初々しい佇まいで繊細な世界観を奏でた。

 2日目は、60年代のムードを現代のエネルギーで甦らせたOKAMOTO’S。確かな演奏力と凄まじいスピード感で観客を圧倒し、疾風のごとくステージを去って行った。

 さて、問題は(たぶん)ジュン・スカイウォーカーズである。1日目はMCが長くなりすぎて大幅に時間が押してしまった。「最近目が悪くなってきて近くのものが見えないんだけど、(遠くの)みんなの顔がよく見えます!」(宮田和弥)という自虐ネタで笑いをとったり、2012年に完全復活を宣言して喝采を浴びたり、持ち時間など気にしない自由な振る舞いは、まさにあの良き時代の名残だった。そして新曲「シンフォニー」がとにかく素晴らしかった。もともとバンドの体内にあったポップな血が、今だからこそ広げられる両手のスケール感に脈々と流れていき、新しいジュンスカを充分に予感させる曲になっていた。彼らは2012年に向けて、ベストアルバム、Zeppツアー、そしてオリジナルアルバム発表と、ニュースが目白押しである。

 そんなジュンスカの一連の動きに、少なからず影響を与えたと思われるのが、ユニコーンの存在である。自らのツアーを終えたばかりだが、そこでの成功の余韻を携え、武道館のステージに5人揃いのつなぎ姿で現れた。「WAO!」でハジけ、「さらばビッチ」でそれぞれの立ち位置や楽器を持ち回る。「HELLO」では声と音が作る深みをじっくりと聴かせ、ラストは「大迷惑」でねじ伏せるという、巧みの技を見せつけた。すごいな楽しいなおもろいなユニコーン。

 ジュンスカとユニコーン、お互いのステージを行き来する場面もあった。ジュンスカの「すてきな夜空」を阿部義晴が歌い、奥田民生はギターで参加。一方、ユニコーンの(ジュンスカっぽい曲といわれる)「SAMURAI 5」にはジュンスカ全員が参加、恒例の「あなたのスピードほにゃららら」のくだりでさんざんいじられる。2日目は「スカイのMC、長くな?い?」で宮田が責められる一コマも。寺岡いわく「盟友であり戦友」だそうだが、気の置けない仲だからこそ成立する、楽しい場面だった。

 その最強の2バンドが自らのルーツと語るのが、本年、再結成を果たした子供ばんど。スピーカーが載ったヘルメットと、バンドロゴのマントでうじきつよしが客席から登場。叫ぶように歌い、叫ぶように喋り、叫ぶようにギターを弾く。バンド全体がずっとシャウトしてる感じ。奥田民生プロデュースの新曲「マンモスの唄」も披露し、頼もしき後輩たちに敬意を表しつつ、ここでも祝うべき復活が成し遂げられていた。

 アンコールでは出演者全員が再び集まり、「サマータイムブルース」をセッション。三世代をさらに超え、観客も併せれば、あらゆる世代のあらゆる音楽を聴いてきた人たちが、この時代をはっきりと意識しながら、武道館という場所で一つの思いを共有していた。それは、名残を惜しみながら明日の約束をするかのような、微笑ましく大事な時間だった。「ROCK’N ROLL TRAIN」に乗って、また会おう。

【 取材・文:森田恭子 】

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