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斉藤和義、全国ツアー中の日本武道館公演をレポート!

斉藤和義 | 2012.03.01

 昨年から何かと話題の斉藤和義。原発問題から恋愛まで、独自の意見を堂々と歌で主張して、今や最も注目を集めるアーティストのひとりとなっている。それもこれも、ユニークなソングライティングと、卓抜したボーカル力があればこそ。さらにはすべての楽器をひとりで演奏してレコーディングするなど、斉藤はミュージシャンとしてもアレンジャーとしても充実の時期を迎えている。デビュー18年を経てたどり着いたこの境地にふさわしい評価を、今、斉藤は受けていると言うべきだろう。今回のツアー中に「やさしくなりたい」がヒット。期待の集まる武道館2デイズになった。
その武道館2日目は追加公演。ざわめくオーディエンスの意表を突く演出で、ライブはスタートした。斉藤の軸がサウンドにあることを強烈に印象付ける。
 逆に、ヒット曲のイメージを抱いて初めて斉藤のコンサートに来たファンは、序盤のあまりにダイナミックなロック・サウンドにあっけに取られているようにも見える。

「こんばんはー、いやいやいや、追加公演にこんなに入ってくれて、ありがたいです。今がピークですね、あっはっは。このギター、かっこいいでしょ。ギブソンがKS330っていう私のモデルを作ってくれた。今年、発売になります。けっこう高いよ」。
なんとも屈託のないMCに、会場からリラックスした笑い声が上がる。続いて「ずっと好きだった」を斉藤が歌ったので、客席はようやく落ち着いたのだった。
 バックはドラムとベースと2本のギター。斉藤も合わせるとギターが3本鳴っていて、全体に音はシンプルだ。最新アルバム『45 STONES』からの「ウサギとカメ」で、斉藤はタンバリンを持って歌う。♪金の亡者が決めたスピードで♪というフレーズが耳に刺さる。ヒット曲と辛辣な曲のバランスがいい。オーディエンスに媚びるわけでもなく、むげに突き放すのでもない。斉藤和義というキャラクターが無理なく伝わるセットリストだ。『45 STONES』の曲が中心ではあるが、懐かしい曲も各所に配されている。たとえば名曲「歌うたいのバラッド」は、エレキギターの弾き語りで始まり、途中からバンドが入ってくる。じっくり、しっかり聴かせるアレンジで、客席からはじっくりしっかりした拍手が起こった。

 と、客席から「かわいー!」と声がかかる。「いやいや、もう45才ですよ。すっかりシモの切れが悪い」と普段どおりのキャラで切り返す。『家政婦のミタ』の物真似をして「やさしくなりたい」へ。メリハリの効いた運びが快い。そしてここからがこのライブの見所だった。今、斉藤が感じている愛や怒りを、ビートやシャウトに込めて数曲、思い切りぶつける。バンドのメンバーも能力全開。斉藤もその一員になり切って楽しみ、暴れ回る。アーティストのエゴと、オーディエンスを楽しませるエンターテイメントのふたつの面が、ぎりぎりのバランスで成立していて美しい。スリルがピークに達したところで「歩いて帰ろう」を歌う斉藤に、アーティストとしての幸せを感じたのだった。

 アンコールを受けて「イェー、アッオー!最高だぜー」と斉藤が登場。日替わりのアンコール・ナンバーを歌った後、また話し始めた。
「ちょっとお知らせ。明日からホームページで私のギターのオークションを開いて、その売上でたくさんギターを買って被災地の小中学校に贈ろうかと思ってます。みなさん、ありえないぐらいの値段で落としてください。でもギターの弾き方を教える人があんまりいないって話なので、自分で教則ビデオを作るのもいいかな、と。モザイクかかってたりして(笑)。今回、『45 STONES』のレコーディングの終わりに、救いのある曲ができました。それを最後に歌います」。

 優しくて鋭い斉藤ならではのライブのラストナンバーは、「ギター」だった。斉藤のギターのアルペジオを中心に、メンバーはウクレレをもったりして明るく歌をサポートする。聴いていて、このフトコロの深い歌は、もしかすると「歌うたいのバラッド」と同じく、斉藤の重要な代表曲になるかもしれないと思った。
 今の時代、人間として伝えたいことをしっかり伝え、シンガーとしてたっぷりリスナーを楽しませた素晴らしいライブだった。この不思議な安定感を持ったライブは、今、斉藤にしかできない。


【取材・文:平山雄一】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 斉藤和義

リリース情報

やさしくなりたい

やさしくなりたい

2011年11月02日

ビクターエンタテインメント

1. やさしくなりたい
2. あいされたいやつらのひとりごと
3. ウサギとカメ (USTREAM Live at studioJIVE 2011.8.31)

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お知らせ

■ライブ情報
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2011-2012
2011/11/05(土)さいたま市文化センター
2011/11/10(木)ホクト文化ホール 中ホール
2011/11/11(金)金沢本多の森ホール
2011/11/13(日)千葉県文化会館
2011/11/18(金)仙台サンプラザホール
2011/11/19(土)盛岡市民文化ホール
2011/11/25(金)二トリ文化ホール
2011/11/27(日)幕別町百年記念ホール
2011/12/04(日)神奈川県民ホール 大ホール
2011/12/10(土)長崎市公会堂
2011/12/11(日)福岡サンパレス
2011/12/13(火)徳島市立文化センター
2011/12/22(木)島根県民会館 大ホール
2011/12/24(土)岡山市民会館
2011/12/25(日)広島市文化交流会館
2011/12/27(火)京都会館第一ホール

2012/01/08(日)崇城大学市民ホール
2012/01/09(月/祝)宝山ホール
2012/01/11(水)周南市文化会館
2012/01/13(金)松山市民会館 大ホール
2012/01/19(木)なら100年会館 大ホール
2012/01/21(土)三重県文化会館 大ホール
2012/01/22(日)中京大学文化市民会館 オーロラホール
2012/01/28(土)ナムラホール
2012/02/03(金)サンポートホール高松
2012/02/04(土)高知県立県民文化ホール オレンジホール
2012/02/11(土)日本武道館
2012/02/12(日)日本武道館
2012/02/18(土)東京エレクトロン韮崎文化ホール
2012/02/19(日)渋川市民会館
2012/02/25(土)大阪城ホール
2012/03/03(土)新潟県民会館
2012/03/04(日)富山県民会館
2012/03/09(金)メディキット県民文化センター 演劇ホール
2012/03/11(日)臼杵市民会館
2012/03/12(月)鳥栖市民文化会館
2012/03/17(土)静岡市民文化会館 大ホール
2012/03/18(日)長良川国際会議場 メインホール
2012/03/20(火・祝)ひこね市文化プラザグランドホール
2012/03/21(水)神戸国際会館こくさいホール
2012/03/28(水)秋田市文化会館
2012/03/30(金)いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
2012/03/31(土)宇都宮市文化会館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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