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そこに見たのは確かな希望の灯──androp、Zeppツアー最終公演

androp | 2012.04.11

 前日までの暖かさは、どこへ行ってしまったのだろうか。春の嵐が吹き荒れ、強風のため電車は遅延──そんな悪天候の中で行なわれた、
androp「one-man live tour "relight"」ツアーファイナル。会場のZepp Tokyoは、海の近くということもあり、都心よりも強く冷たい、身を切るような風が吹きすさんでいた。

 会場に入ると、おだやかで、どこか物悲しさを感じさせるアンビエントなSEが流れていて、ステージを隠すように吊るされた紗幕に、バンドロゴが映し出されている。客席は比較的穏やかな雰囲気だったが、ゆっくりと会場の電気が落ちていくと同時に、大きな歓声と拍手が上がった。そして、幕の向こう側に、内澤崇仁(Vo/G)が登場。ギターをゆっくり背負い右手を挙げると、そこに、朧げで柔らかな光が灯った。その光が何度か波紋を打つと、散らばって光の粒子となり、それらが渦をまくように廻り出した後、ツアータイトルが映し出される。そんな映画のようなオープニング映像の後に、1曲目の「Strobo」がスタート。紗幕が落とされ、白い光に包まれた4人が高らかに音を鳴らし始める。

 そこから、ライヴは徐々に熱を高めていく。ダイナミックな展開で、サビ前には内澤の“行くよ!”という声も飛び出した「Bell」、ハートウォームな雰囲気がクラップを誘発する「Nam(a)e」、ピースフルなエネルギーを放つスカパンクな「Pray」といった、バンドサウンドを前面に押し出した楽曲を立て続けに放つ。そして、ドラムの荒々しいロールの後、一気に音がスパークして疾走する「Flashback」、サイケデリックな照明の中、ベースがスラップで暴れ回る「ShowWindow」と、さらに勢いをつける。

 また、ステージ後方の大きなスクリーンに映像を交えながら披露する場面もあった。「Puppet」では、1本の線が様々な形を描きながら、時にもう1本の線と交差しながら進んでいき、「HoshiDenwa」では、青と赤、2つの光が夜空に揺らぐ天の川を挟んで飛び交った。“会場が大きいとか小さいとか、人が多いとか少ないとか関係なしに、ここにいる一人ひとりと、僕らは音楽を共有したいと思ってます”。そんなMCの発言通り、リスナーと真摯に向かい合う彼らの姿を象徴するような映像だった。

 個人的なハイライトは、中盤ブロックの最後に披露された最新シングル「World.Words.Lights.」。ギタリストがシンセを弾くという、ギターレスのフォーマットで演奏されるエレクトロミュージック「Q.E.D.」の次に配置されたこの曲は、内澤もシンセを操り、よりサウンドの世界観を深める。すばやく切り替わる照明と、ステージから照射されるレーザー、音のループと、そこから生まれるカタルシス──曲の歌詞に<ダンスミュージック>というワードがあるが、まさにその高揚感がフロアを満たしていく。今までの彼らが持っていた要素を更に昇華させたこのパフォーマンスは、更に高みへと登っていく彼らの未来を予感させた。

 そして、最後の曲へ行く前に、先のMCで“喋るのは苦手なので……”と語っていた内澤が、自分の想いをゆっくりと語り始める。

「自分の中で、自分達の周りで、悲しいこととか辛いことが起きたときに、まるで光がなくなっていくように感じて。その光をもう一度強く灯したいと思って、『relight』っていうアルバムを作りました。今日のライブが、何かの光の欠片になってくれれば嬉しいなって思います。何回倒れても、前に進めるように、まぶしいくらいの光が灯るように、願いを込めながら歌いたいと思います。」

 そして披露された「Relight」。光が弾けて、それが広がり、宇宙になっていく──そんな映像をバックに、優しい光に包まれながら4人が音を奏でる。思い返せば、曲が終わるたびに客席へ向けて“ありがとう”と感謝の言葉を何度も伝えていた内澤、楽しそうに音でコミュニケーションをとっていたメンバー、そして、彼らが産み出す全てを心から楽しむオーディエンス……最初から最後まで、本当に幸福な空間の中で繰り広げられたライヴだった。4人を包んでいた光は、徐々に強さを増していき、目がくらむほどまばゆさを放っていく。全員があの光に、確かな希望を見たのではないだろうか。

 ダブルアンコールまで飛び出した全21曲。終演後、まだ余韻の冷めないフロアに、開演前と同じSEが流れ始めたのだが、どこか聴こえ方が変わっていた。おだやかで、全てを包み込むような優しい音。きっと、私の心に光が灯ったのだ。

【取材・文:山口哲生】
【撮影:Rui Hashimoto】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル androp

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リリース情報

World.Words.Lights./You

World.Words.Lights./You

2012年02月15日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. World.Words.Lights.
2. You

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セットリスト

  1. Strobo
  2. Bell
  3. Nam(a)e
  4. Pray
  5. Flashback
  6. ShowWindow
  7. Tara-Reba
  8. Yurariri
  9. Puppet
  10. HoshiDenwa
  11. Bright Siren
  12. Q.E.D.
  13. World.Words.Lights.
  14. You
  15. Roots
  16. Train
  17. MirrorDance
  18. Relight
ENCORE
  1. Colorful
  2. Meme

お知らせ

■ライブ情報
one-man live tour "angstrom 0.5 pm"
2012/09/29(土)Zepp Tokyo
2012/10/02(火)Zepp Nagoya
2012/10/06(土)札幌ペニーレーン24
2012/10/08(月/祝)Zepp Namba
2012/10/11(木)金沢Eight Hall
2012/10/13(土)高松MONSTER
2012/10/14(日)広島CLUB QUATTRO
2012/10/18(木)熊本DRUM Be-9 V1
2012/10/20(土)Zepp Fukuoka
2012/10/21(日)鹿児島CAPARVO HALL
2012/10/23(火)長崎DRUM Be-7
2012/10/25(木)仙台Rensa
2012/10/27(土)盛岡CHANGE WAVE
2012/10/28(日)青森Quarter

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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