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所属レーベル20周年記念ライヴで見せた、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのバンドの現在の充実ぶり

ASIAN KUNG-FU GENERATION,Dr.DOWNER | 2012.05.20

 まずは“キューン20イヤーズオーディション グランプリ受賞者”のKANA-BOONが登場。4ピース・バンドで、なんの思惑もないド直球の音を出す。とてもクリーンなロックに感動していると、ボーカルの谷口鮪が話し出す。「僕が音楽をやっててくじけそうになったとき、アジカンの曲を聴いたり、インタビューを読んだりします。僕の道しるべであり、目標のバンドです。ここにいるみんなはアジカンのファンだと思いますが、ファンであることに関しては、みんなに負けない自信がある。バンドを結成して5年経って、でもまだアジカンのライブを見たことがない。アジカンのライブを見るときと、挨拶するときは、同じライブでと決めてた。だから今日、5年間の夢がかないました。次の夢は、アジカンと同じラインに立つことです」。会場から大きな拍手が巻き起こる。今日も大きな視野で音楽を愛する、アジカンならではのファンが集まっているようだ。

 続いては後藤正文のレーベル「only in dreams」のバンド“Dr.DOWNER”だ。ブルース色の濃いラフなロックを展開。「楽しけりゃ、いいんじゃないですか」とボーカル&ギターの猪股ヨウスケが言って演奏した、♪俺は世界を変えられないよ♪と歌う「暴走列車」が印象的だった。

 そしてアジカンがステージに入ってくる。ライブは「暗号のワルツ」から。意外なオープニング曲に、会場から驚きの歓声があがる。3rdアルバム『ファンクラブ』収録の繊細なアンサンブルのこの曲を1曲目に持ってくるとは。しかし繊細に感じたのも束の間、山田貴洋のベースがリードして、ぐんぐん力強さが増していく。続く「ブルートレイン」は伊地知潔のドラムが先頭を切る。途中、喜多建介がギターリフを弾くシーンで、後藤が2回ハンドクラップすると、オーディエンスはすぐ反応してそれに合わせる。“勢い”や“盛り上がり”だけを追ったオープニングではない。今日のセットリストは、何か強い意志に満ちていて、要注意だ。 「20周年、おめでとうございます・・・ヤバい!! セットリストに“おめでとう感”がない(笑)。そんなこと忘れて、(アルバム)『ファンクラブ』からの曲をやりたいって思ってた。“暗号”から始めちゃいけないよね」と後藤。

 ここからは一転、最新シングル「踵で愛を打ち鳴らせ」、その前のシングル「マーチングバンド」を立て続けに演奏する。さらには「マーチングバンド」の2曲目「N2」、シングル「迷子犬と雨のビート」と、アジカンの最近のパブリックな側面の曲を連打する。

 フェス・メニューでもなく、かといってアルバム単位でもない。リキッドルームのステージ正面には、キューンミュージックの社長が立ってアジカンを見ている。もちろん“社長向けメニュー”ではないだろうが、バンドの現在の充実ぶりを前面に出したセットリストは、とても興味深かった。

「今、アルバムのレコーディングに入っていて、潔も曲を作ってます。セッションしながらの曲作りで、たぶん12曲入り。アジカンらしいアルバムになるので、楽しみにしていてください」と後藤が言って始まったのは、新曲だった。そこからは怒涛の3曲。「センスレス」(『ファンクラブ』収録)、「ワールド ワールド ワールド?新しい世界」(『ワールド ワールド ワールド』収録)、「新世紀のラブソング」(『マジックディスク』収録)と、各アルバムを代表するナンバーが並ぶ。特に「新世紀のラブソング」は、時代感を備えたビッグスケールの曲として会場いっぱいに鳴り響いたのだった。

 アンコールに応えて登場した後藤が叫ぶ。

「やり足りねーよな! 今日は持ち時間50分だったけど、あと2曲やります。キューンと契約したとき、社長が、『崩壊アンプリファー』はこんなもんじゃない、俺たちともう一回やろうぜって言ってくれた。その言葉を信じてここまでやってきました」。オーディエンスとスタッフから熱い拍手が上がる。今度はバンドの方を向いて、笑いながら「なんか足りない。メンバーは僕にパッションをください。それがアジアン・カンフー・ジェネレーション!」。このひと言が温まり切ったリキッドルームにさらに火を着ける。メンバーのボルテージがぐっと上がり、フロアにはダイブが起こる。「遥か彼方」、「羅針盤」。今度はどちらもデビュー作『崩壊アンプリファー』からの曲だ。2曲歌った後藤は、今度は自分もたまらなくなった様子で、「もう1曲やる。アジカン唯一の大ヒットシングル『リライト』!」。

 後藤はモニターに上がったり、ハンドマイクで歌ったり。アジカンの“おめでとうゴコロ”が炸裂の、痛快なアンコールになった。

【取材・文:平山雄一】

tag一覧 ライブ ASIAN KUNG-FU GENERATION キューン20イヤーズ&デイズ KANA-BOON Dr.DOWNER

リリース情報

BEST HIT AKG(初回生産限定盤)

BEST HIT AKG(初回生産限定盤)

2012年01月18日

KRE

1.遥か彼方
2.未来の破片
3.アンダースタンド
4.君という花
5.リライト
6.君の街まで
7.ループ&ループ
8.ブラックアウト
9.ブルートレイン
10.或る街の群青
11.アフターダーク
12.転がる岩、君に朝が降る
13.ムスタング
14.藤沢ルーザー
15.新世紀のラブソング
16.ソラニン
17.マーチングバンド

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リリース情報

ライジング

ライジング

2011年07月06日

only indreams

1. Rock’n Roll負け犬
2. さよならティーンエイジ
3. パンクロック音頭
4. バビロンタウン
5. まちぼうけ
6. 暴走列車
7. フラストレーションシティー
8. ユーウツ祭りスタイル
9. ライジング
10. 明日、晴れればいい

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セットリスト

KANA-BOON

  1. A.Oh!!
  2. ワールド
  3. 夕暮れ
  4. ないものねだり

Dr.DOWNER

  1. ユーウツ祭りスタイル
  2. バビロンタウン
  3. さよならティーンエイジ
  4. まちぼうけ
  5. ライジング
  6. 暴走列車
  7. ドクターダウナーのテーマ
  8. ASIAN KUNG-FU GENERATION

    1. 暗号のワルツ
    2. ブルートレイン
    3. 踵で愛を打ち鳴らせ
    4. マーチングバンド
    5. N2
    6. 迷子犬と雨のビート
    7. 新曲
    8. センスレス
    9. ワールド ワールド ワールド?新しい世界
    10. 新世紀のラブソング
    ENCORE
    1. 遥か彼方
    2. 羅針盤
    3. リライト

お知らせ

■ライブ情報

ASIAN KUNG-FU GENERATION
EARTH DAY CAMP Natural High! 2012
2012/05/26(土)山梨 道志の森キャンプ場

ART-SCHOOL presents 「KINOSHITA NIGHT 2012」
2012/06/02(土)SHIBUYA-AX

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN CIRCUIT 2012
2012/06/04(月)広島 CLUB QUATTRO
2012/06/05(火)梅田 CLUB QUATTRO
2012/06/07(木)名古屋 CLUB QUATTRO
2012/06/08(金)Zepp DiverCity (東京)

NO NUKES 2012
2012/07/07(土)幕張メッセ国際展示場4・5ホール
2012/07/08(日)幕張メッセ国際展示場4・5ホール

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES. 2012
2012/07/15(日)横浜アリーナ

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。

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