「ぱみゅぱみゅレボリューション、はじまるよ?！」、開演を告げるアナウンスが流れ、明るいライトで照らし出されたステージ。中央には水玉模様を散りばめた黄色の階段、その周囲には様々なサイズのカラフルな箱、両端には大きなウサギの顔のオブジェ（上手側がブルー、下手側がピンク）が置かれている。ウサギから勢いよく噴射されたスモークをくぐり抜け、「ぱみゅぱみゅレボリューション」に合わせてステージへと飛び込んで行ったキッズダンサーたちの群舞は、まるでファンタジー映画の一場面のよう。黄色の階段の最上段にきゃりーぱみゅぱみゅが現れると、待ちわびていた観客は大きな歓声を上げた。

「CANDY CANDY」と「おねだり44℃」が、場内の気温を急上昇させた後、最初のMCへ。「改めましてこんにちは。きゃりーぱみゅぱみゅです。アルバムは聴いて頂けましたか？　このアルバムは一つの遊園地、“きゃりーぱみゅぱみゅ遊園地”を作りたかったんです。今日のステージのセットはPVの美術もお願いしているアートディレクターの増田セバスチャンさんにデザインしてもらいました」。眺めているだけで楽しい華やかなステージセット、団長のイメージだという衣装（キラキラ光るワイヤーで編まれた山高帽風の髪飾りが団長っぽい。服のウエスト部分にくっ付いている何匹ものパンダが可愛かった）について解説してくれた。

　ブルーのうさぎの着ぐるみと一緒に歌った「Drinker」。キッズダンサーたちによるパフォーマンスの間に行われた衣装チェンジなど、前半戦のこの時点で早くも独創的なアイディアが満載であった。「みんなと盛り上がると楽しいですね。ツアーで日本中に行って参りました。場所によってお客さんの層が違うんですけど、今日はいろんな方がいますね」と、心底嬉しそうに観客を見回した彼女。TVゲームをして過ごした前日のオフ、かりんとうを口に含んで延々と綱渡りを続けた夢の話、熱が出る前日は実家の近くの坂を自転車で下る夢を見るのだという不思議エピソード、中田ヤスタカのcapsuleを音楽好きの父親から教えてもらった高校時代……などなど。多彩な話題で観客を和ませ、ライヴは中盤戦へ。場内はますます親密な一体感で包まれていった。「みんなで一緒に“間に合ったダンス”をしない？」と誘われ、観客がサビのフレーズ《間に合った？間に合った？》に合わせて両手を勢いよくパッ！と開いて踊った「ギリギリセーフ」は、特に陽気な盛り上がりとなった。

　穏やかなムードを漂わせた「RGB」「おやすみ」を経て、いよいよライヴは終盤へ。「きゃりーANAN」は、サプライズが待っていた。なんと、求人情報誌『an』のCMで彼女と共演している2700が登場！　キッズダンサーと共にエネルギッシュにステップを踏み、右ひじと左ひじを勢いよく付き出しながらノリノリで踊った2700を見て、観客は大喜び。この日限定で実現したプレミアム共演だという。

「ということで、なんとあと1曲あります！　盛り上がってくれますか!!」と観客に呼びかけ、本編ラスト「ちゃんちゃかちゃんちゃん」。華やかなビートとメロディに合わせて飛び跳ねながら手拍子した観客。ステージもフロアも完全に一つとなり、最高潮の盛り上がりとなった。「ありがとうございました。バイバーイ！」と、彼女がステージを後にすると、観客の間から湧き起った「きゃりー！　きゃりー！　きゃりー！」という熱烈なコール。戻ってきた彼女は、前日に発表された初の日本武道館公演について笑顔を輝かせながら語った。「11月6日に武道館でのライヴが決定しました！　その話を聞いたのは1週間くらい前なんですけど、みなさんのおかげです。今日、羽根が付いている天使の衣装があったでしょ？　あれを着た時、“いつか飛んで天使の粉をまきたい！”と思っていたんです。できるかも！」。そして、アンコールで披露されたのは「つけまつける」。誰も彼もが笑顔で大合唱し、腕を振り上げながら盛り上がったあのひと時は、幸福感でいっぱいのクライマックスであった。歌い終えると「きゃりーぱみゅぱみゅでした！」と、深々と一礼し、今日のステージを共に盛り上げてくれたキッズダンサーの1人1人を紹介。「きゃりー列車で参りたいと思います！　シュッシュッポッポッ！　またね?！」と全員で一列になりながら去っていった。

【取材・文:田中 大】