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66日間に及ぶ2012年夏の逗子音霊のアンカーを飾った、キマグレンの気迫のワンマン

キマグレン | 2012.09.24

 肉体的にも精神的にもマラソンのようなライブだった。
8年目を迎えた「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」の怒涛の66日のシメはもちろんキマグレン。今にも泣き出しそうな曇天の逗子海岸には、まだまだ猛暑が続く今年の夏らしく、ビーチで自由気ままに楽しむ若者たちの姿が。そう、相模湾から遠く三浦半島を臨む、この逗子は、いわずもがなキマグレンのホームである。

 若干、ドキドキしつつ会場に入るとすでに暑さはマックス! たとえると50℃のミストサウナにいるような感じ。しかしレンジャー(キマグレンのファン)は汗をダラダラ流しながらも、前売り特典のお揃いのブルーのTシャツを着て、みんな高揚した面持ちだ。ほぼ定刻にバンドメンバー、そしてキマグレンのふたりが登場。いきなり「LIFE」でレッドゾーンを振り切る勢いを見せる。立て続けに「リメンバー」でISEKIの伸びやかなボーカル、KUREIのフックの効いたラップが音霊を揺らす。それにしてもこの過酷な状況の中、アップナンバーの連投は正直こたえるのだが、7月にリリースされたベストアルバム『ON THE BEACH?きまぐれBEST?』のDISC1からの選曲ということがわかっているだけに、レンジャーの反応も前のめりになるのもいたしかたない。キマグレン流のダンス×ロックチューン「IT’S MY 勇気」、独自のオーガニックテイストのミクスチャー感覚が冴える「ENDLESS SUMMER」ではサビの♪なつ?、なつ?♪のシンガロングが弾けて、全然、夏が終わる気がしない。ようやく聴かせるピアノバラード「トコシエ2012」が披露されてクールダウン、といきたいところだがステージ上もフロア(砂浜だが)も、ピーンと張った意識の中でこの曲の美しいメロディを逃すまいとしているよう。

 冒頭から飛ばしに飛ばしてきたライブの9曲目の「サヨナラの朝」。ん?ISEKIの声がところどころ聴こえない。と思ったら曲の途中でその場にかがみこんでしまった。暑さと酸欠が彼を襲ったのだ。一旦ステ―ジからはけ、KUREIがISEKIのパートを「歌って?」と心配させまい、ライブを止めまいと声を出す。そこから約20分、不安そうなファンに向かってKUREIがひとりでMCを続ける。「8年前、誰を誘っても断られたんだけど、ISEKIだけは『いいよ?』って乗ってくれて」と音霊立ち上げの頃の話や、「LIFE」がヒットし始めた頃に朝6時からテレビに出たとか、初めての紅白出演をおばあちゃんが喜んでくれた話…おなじみのエピソードばかりだが、それは出会いから14年、ずっとふたりで走り続けてきたISEKIに、まさに今、戻れるのか? 歌えるのか? とKUREI自身も不安を抱えながら精一杯届けた言葉だったんじゃないだろうか。そしてISEKIがなんとか態勢を立て直して戻ってきた!「アマタ真っ白になっちゃった…」と、まだつらそうだが、すかさずKUREIが「2008年からのISEKIとの日々をここで終わらせないからね」と自分にも喝を入れる。「大丈夫?」の声はあがっても「がんばれ!」という声は聞こえなかった気がする。それぐらい緊張感が漂っていたのだ。だが、「あえないウタ」でのISEKIの声の伸びは素晴らしく、続く「I BELIVE」での♪フレー、フレー♪のシンガロングは心底力強かったし、座って歌とギターに渾身の力を込めるISEKIの分までKUREIはステージを動き、ファンに近いところで歌っている。そして音源では小田和正とコラボした「笑顔の花」を「初披露ってドキドキするよね?、みんなもドキドキするよね?」の言葉とともに披露。メンバー全員が楽器で歌うように丁寧に音を奏で、その心意気に押されるようにISEKIの歌に命の強さが注ぎ込まれていく。シンプルだけど思いの詰まった「笑顔の花が咲く」のフレーズには、このシチュエーションも相まって、胸に熱いものが。

「66日間のひとりひとりの思いが繋がって、繋がって、最後の1曲ってすごい重いし、2012年の音霊、これでシメるけどここからまた走り出しますから!」と、来月の武道館公演のみならず続いていくキマグレン、音霊の未来に向けて決意を語ったKUREIのMCを受けて本編ラストは「バトン」。キマグレンらしいリアリティに裏打ちされたポジティブソングの最新鋭は、歌詞の通りここにいるあらゆる人の背中を押したことだろう。本編終了はまさにマラソンでいう35km地点か。でもレンジャーは「LIFE」のサビを歌い続けるタフさ! 

 アンコールではベスト盤に収録されていない、レンジャーの琴線に触れる選曲が。イマドキ男子の「俺、この曲一番好き」という声が聞こえてきた「約束の丘」の決意は、今眼前で歌うふたりが証明していたし、ラストをやんちゃにはじけた「BEACH BOYZ」でシメるのもキマグレンらしい。ラブソングも仲間や家族を歌った歌も決して甘くない。ヒット曲「LIFE」がまずもってそうだし、ファンにとっては大事なお守りのような曲ばかりなのだろう。

 正直、こんな根性比べみたいな環境でなんでライブをやるんだろうとも思う。でも、この日、最大のピンチを迎えたことで、レンジャーや音霊スタッフの気持ちの熱さや優しさ、もちろん、キマグレンのタフなメンタルと思いやり、逗子という背景から生まれた彼らの音楽が、なぜ普遍性をもって輝くのか? 再認識した。そう、ここはやはりメッカなのだと。

【取材・文:石角友香】
【撮影:洲脇理恵(MAX PHOTO)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル キマグレン 音霊 OTODAMA SEA STUDIO

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リリース情報

ON THE BEACH~きまぐれBEST~(初回限定盤)

ON THE BEACH~きまぐれBEST~(初回限定盤)

2012年07月11日

ユニバーサル シグマ

ディスク:1
1. LIFE
2. リメンバー
3. 愛NEED
4. two友
5. IT’S MY 勇気
6. ENDLESS SUMMER
7. 海岸中央通り (Album ver.)
8. トコシエ2012
9. 君のいない世界
10. サヨナラの朝
11. 蛍灯
12. あえないウタ
13. I BELIEVE
14. 笑顔の花
15. バトン
ディスク:2
1. 天国の郵便ポスト
2. あえないウタ
3. 君のいない世界
4. 蛍灯 (English Ver.)
5. LIFE (Smart Sports ver.) (STUDIO APARTMENT Remix)
6. two友 (Remix Ver.)
7. リメンバー (DAISHI DANCE Remix)
8. バトン (STUDIO APARTMENT Remix)

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セットリスト

きまぐれBEST LIVE
2012.9.2 @逗子・音霊SEA STUDIO

  1. LIFE
  2. リメンバー
  3. 愛NEED
  4. IT’S MY 勇気
  5. ENDLESS SUMMER
  6. 海岸中央通り
  7. トコシエ2012
  8. 君のいない世界
  9. サヨナラの朝
  10. 蛍灯
  11. あえないウタ
  12. I BELIEVE
  13. 笑顔の花
  14. バトン
ENCORE
  1. 夏が終わる頃
  2. 月光浴
  3. 約束の丘
  4. 夏の忘れもの
  5. 真夏の夜のシンデレラ
  6. PRIDE
  7. BEACH BOYZ

お知らせ

■ライブ情報

Music WolFloW vol.3 ISLAND BEAT FESTIVAL in 伊王島
2012/09/15(土)長崎・伊王島野外ステージ

&PETS project【HAPPY MUSIC FESTA】2012
vol.3~Toward ZERO~

2012/09/16(日)服部緑地・野外音楽堂

LOVE MIDTOWN LIFE
2012/09/22(土/祝)東京ミッドタウン内アトリウム

開局60周年OBS感謝祭!フードスタジアム2012
2012/09/30(日)大分銀行ドーム

SIGMA FES in OKINAWA 2012
2012/10/08(月/祝)西原マリンパーク内特設ステージ

キマグレン LIVE at BUDOKAN 2012
ON THE BEACH~武道館を海にしよう!~

2012/10/14(日)日本武道館

Setting Sun Sound Festival Vol.3 ×
Augusta Camp 2012 in Amami

2012/10/20(土)奄美市・大浜海浜公園野外ステージ

KIRIN プラス-アイ presents
“100万人でつくろう元気のうた”LIVE
KAN×キマグレン×一青窈

2012/11/05(月)SHIBUYA-AX

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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