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藤井フミヤ、集中連載7回目更新。ツアーファイナル@オーチャードホールをレポ!

藤井フミヤ | 2012.12.17

 2012年7月11日。50歳の誕生日を迎えた藤井フミヤ。同日にリリースされた約3年ぶりのオリジナルアルバム『Life is Beautiful』をひっさげ、9月上旬から行われた全国ツアー「Fumiya Fujii Concert Tour 2012 Life is Beautiful」を開催。追加公演も含め、全国で36公演のロングツアーとなった本ツアーのファイナルライヴが、12月6日、7日の2日間、渋谷のBunkamuraオーチャードホールで行われた。

 開演時刻の19時を少し過ぎた頃。ゆっくり会場が暗転する。ブルーの薄闇に沈むステージ。その上空から伸びたスポットライトの中に、藤井フミヤの姿が浮かび上がった。

 オープニングを飾ったのは、アルバム『Life is Beautiful』収録のアカペラ曲「三毛猫のキーホルダー」。ドゥワップをキャッチ―なメロディーでポップにに仕上げた、ミディアム・ナンバーだ。曲に合わせて動くフミヤ。その動きは、いつもとは趣が違っていた。
丸い赤いスポンジの鼻をつけ、パントマイムを取り入れている。歌詞の言葉を表す仕草や、柔らかな関節をブロックしたようにして繰り出すストップモーションも効果的。その姿は、さながら、ピエロだ。キュートさもあるが、どこかシニカルで、リリカルなそのパフォーマンスに、観客の視線が集中する。その様子は、静かにスタートしたライヴのオープニングの空気と、楽曲世界観を最初の1曲目からより強く印象づけた。
序盤は、ツアー途中からメニューに加わった、最新アルバム『Winter String』収録の新曲「彼女のタンバリン」など、ブライトなポップ・チューンが続く。「ときめきのリズム」では、軽快なリズムにのり、ステージを右から左へ。♪うれしいと君の名を呼ぶ♪ という歌詞に合わせ、最前列の観客に「名前なんていうの?」とマイクを向ける。デビュー以降、ポップ・ミュージック街道のど真ん中を走ってきた藤井フミヤならではの構成&演出といえるのではなかろうか。
この日、最初のMCへ。「手がつった(笑)」とひとこと。パントマイムが要因か? 会場から笑いが起こる。本人が笑顔で手をひっぱったりしながら続ける。
「ようこそ“Life is Beautiful”ツアーへ。指がつっても、歌は歌えます!(笑) 今日はみなさんのために、たくさんのラブソングを歌います。ぜひ、たくさんのラブソングを受け取って帰ってください」

 そして、自分が扮したピエロについて言葉にし、こうまとめた。
「人が真剣に恋愛している姿は、どこか滑稽でピエロみたいだと思います。最後まで一緒にライヴを作りあげていきましょう!」

 ステージ左上空から一筋の光。その光の中にたたずみ、ピュアなメロディが特徴のバラード「君に会えてよかった」。光が床に窓枠を映し出す。ステージの風景は窓から外へ。バックに雲が流れ、情熱的なミディアム・バラード「DO NOT」。エンディングのファルセットで、藤井フミヤは、ギュっと目をつぶり、そのままうつむいた。オーチャードホールに雨の音。雷鳴も轟く。スポットライトの中のピエロは、傘をさし、雨模様を探るように天を仰ぐ。少しずつ遠くなる雷鳴。でも雨足はまだ強いままだ。ピエロが、次の曲へストーリーをつないでいく。一瞬の暗転、ピエロから自分に戻った藤井フミヤが歌い始めた。 ♪ 街は 雨… 雨… 雨… ♪ 抒情的でダイナミックなサビが強く残るバラード「わらの犬」へ。雨のブルー。濃紺のステージが、真っ赤に変わる。「Room」。レゲエ&ダヴを取り入れた、チェッカーズ中期から後期の楽曲。この曲を屋敷豪太氏(元MUTEBEAT=日本のダヴ・シーンのパイオニア的存在)のドラムで聴けるとは。ひゃあ、めちゃくちゃ贅沢!(個人的にニヤつきました)続いてアルバム『Life is Beautiful』から「点線」。クールでスムースなグル―ヴが持ち味の1曲は、アルバム収録曲の中でも変わり種だろう。楽曲のタイムラグを微塵も感じさせない流れと表現力で、観客をグッとディープな世界へ誘った。

 再びMC。この日のライヴの前日に出演した「FNS歌謡祭」のエピソードについて触れた後「今、みんなと一緒にいられることに感謝して、「今、君に言っておこう」という歌を歌います」と、紹介した曲へ。ツアーの前半から中盤では“東日本大震災以降、なかなか歌えなかった曲、でもようやく歌えるようになった今、歌いたいと思った曲”と紹介されていた曲である。続く「大切な人へ」では、会場からすすり泣きが聴こえた。フミヤは両足を少し開いて、しっかり大地を踏みしめるように踏ん張り、サビを歌いあげた。この“歌いあげるバラード”は、藤井フミヤのイメージに直結する要素だ。つまり、藤井フミヤの名前しか知らない人でも歌う姿をイメージできる、彼の王道中の王道といえる武器と言える。しかし、この要素を、ポップスの王道に仕上げているのは、藤井フミヤの声質と歌唱方法にあると思う。歌いあげるロングトーンを、口元からマイクをスッと離し、あまり余韻を残さず切るのは、藤井フミヤならではの手法だ。以前本人は、「自分の声は、ちょっとウェットだから。歌いすぎるとベタっとなっちゃう気がする」と言っていたが、自分の声質を熟知したゆえの解釈が、この日もしっかりと丁寧に歌に現れていた。藤井フミヤは、クレッシェンドはもちろん、デクレッシェンドをうまく表現できるボーカリストだと思った。
 「TRUE LOVE」。初めて赴く場所も多かった今回の「Fumiya Fujii Concert Tour 2012 Life is Beautiful」。そんな会場では、初めて生で聴く大ヒット曲に、拍手が起こったそうだ。独特の浮遊感がサウンドの奥行きにつながるミディアムチューン「銀河放浪」は、通常の会場よりも客席の空間が広いオーチャードホールにベストマッチ。他の会場で聴いた時よりも、サウンドの広がりが壮大に感じられ、引力に逆らうパントマイムを入れ込み宇宙遊泳するようなフミヤのパフォーマンスとリンクして、まさに“銀河”を彷彿させる出来栄えだった。バンドメンバーの皆さん、お見事でした!“銀河”から、ひとつの星を見つけ出したフミヤが、その星を歌で観客に示す。誰もが知るバラード「Another Orion」。歌い続けてきた楽曲の存在感が、オーチャードホールに響き渡った。

 藤井フミヤが再びマイクをとる。バンドメンバーを紹介しながら、それぞれの“渋谷の思い出”を聞いていくフミヤ。最後、本人は「渋谷で職質受けたことがある」と暴露。思い出というよりカミングアウトに近いこの発言に、観客は総然。そして若干の沈黙。そこにフミヤはこう切り込んできた。
「少しシーンとしてますが、これからが後半です。皆さん、よろしいですか?」

 笑いとともに立ちあがる観客。アコギの演奏に合わせ、クラップを促すフミヤ。アーシーながらキッチュなポップチューン「突然に完全な空前の一目惚れ」へ。拡声器でシャウトした「赤いスイッチ」では、サビの ♪ 反対 ♪の繰り返しに合わせ、大観衆から“反対!”コールが。本人はアルバムインタビューの際「ライヴで全員が“反対!”って叫んでいたら面白いだろうなと思って。見てみたいと思って書いた歌詞」と言っていたが、その光景は本人の想像以上だったようだ。拡声器を振回しながら、ご満悦&満面の笑顔が、その事実を物語っていた。藤井フミヤにしては珍しく、野太くソウルフルな節をつけ「エブリバディィー! オールラーイト! ワンモアターイム、カモーン!」と叫び、マイクスタンドを床からひっこ抜くようなジェスチャーとともに上に掲げ、頭上でぐるぐると旋回させる。「女神(エロス)」、「NANA」。ソロ&チェッカーズ時代のロックチューンを立て続けに披露。「NANA」のイントロでは、ステージ中央に集まったムービングライトの光の中に滑り込み、バネのあるアクションを決め、すぐ光の外に出ていくという鮮やかなダンスを見せる。しかも、その間、1秒未満。お見事。さらに指をぺロリとなめウィンクする、熱心なファンにはてっぱんの仕草も。爆発するサービス精神に、客席が一瞬で解放されていった。

 フラットになった客席のムード。そこに親しい人への挨拶の様に、フミヤの言葉が投げ込まれる。
「こっから普通に家に帰るのかと思うと、淋しくてなりません。今日は本当にありがとうございました。皆さんの人生が、虹のように輝く人生でありますように」  この言葉を受け歌われたのが「Life is Beautiful」。アルバムのタイトル曲にもなっている、シンプルでストレートなバラードだ。ステージ上から、七色の照明。虹のように並んだライトが、曲のテーマ、そして今ツアーのテーマをしっかりと観客の目に焼き付けていた。

 アンコールでは、50年生きてきた日々と、共に歩んできた人たちに書いた「僕らの人生」を届けた。続いて「夜明けのブレス」。チェッカーズ後期の代表曲と言ってもいいバラードだ。サビ。 ♪ 君の事を ♪ と歌ったフミヤは、客席にマイクを向ける。観客が♪ 守りたい ♪と続ける。何度か繰り返されたこのコール&レスポンスは、オーチャードホールという会場の雰囲気と相まり、クワイアー(聖歌隊)のようなピースフルなムードがあった。

 この日最後のMC。
「今日はありがとうございました。本当、みんなあってのステージで、みんなあっての俺です。俺たちは同じ時代に生まれ、同じ国に生まれ、同じ明日がやってきます。だから同じ明日に向かって歩いていきましょう。みんなの明日のために」

 最後の曲はパワフルなミディアムチューン「A LIVE」だった。エンディング。リズムに合わせた観客のクラップが響いていく。その音は、明日へ向かって歩いていく、足音に聴こえた。

   2012年12月15日から「Fumiya Fujii Special Live 2012 Winter String」がスタート。全国で7公演を行うこのツアーは、今回レポートしたツアーのバンドメンバーに、4人のストリングスとサックスを加えた構成で行われる。

【取材・文・構成:伊藤亜希】

※次回は全国ツアー「Fumiya Fujii Concert Tour 2012 Life is Beautiful」と2012年を振り返る、本人インタビューを掲載予定。「Fumiya Fujii Special Live 2012 Winter String」の最終日もレポートする予定です。お楽しみに!

tag一覧 男性ボーカル インタビュー ライブ 藤井フミヤ

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リリース情報

Winter String(初回盤)

Winter String(初回盤)

2012年10月31日

SMAR

ディスク:1
1. Another Orion (Strings Orchestra ver.)
2. 透明人間
3. Endless Snow (Still Snowing Mix)
4. Snow Crystal (Chamber Orchestra ver.)
5. 彼女のタンバリン
6. へそまがりSweetHeart
7. 終わらないでクリスマスイブ (GOTA Re-Mix)

ディスク:2 (DVD)
"Life is Beautiful"Premium Live
supported by Billboard Live Tokyo
1. TRUE LOVE
2. 突然に完全な空前の一目惚れ
3. なんかいいこと
4. 今、君に言っておこう
5. Another Orion
6. わらの犬
7. 点線
8. 愚か者の詩
9. Life is Beautiful

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リリース情報

Life is Beautiful

Life is Beautiful

2012年07月11日

SMAR

1. Life is Beautiful
2. なんかいいこと
3. 三毛猫のキーホルダー
4. 今、君に言っておこう
5. 点線
6. 赤いスイッチ
7. 突然に完全な空前の一目惚れ (2012Album Mix)
8. Me too I love you
9. Next Dream
10. 君に会えてよかった (2012Album Mix)
11. 銀河放浪
12. 僕らの人生 (2012 Album Mix)
13. 愚か者の詩

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セットリスト

Fumiya Fujii Concert Tour 2012 
Life is Beautiful
2012/12/06(木)@渋谷Bunkamuraオーチャードホール

  1. 三毛猫のキーホルダー
  2. なんかいいこと
  3. ときめきのリズム
  4. 彼女のタンバリン
  5. 君に会えてよかった
  6. DO NOT
  7. わらの犬
  8. Room
  9. 点線
  10. 今、君に言っておこう
  11. 大切な人へ
  12. TRUE LOVE
  13. 銀河放浪
  14. Another Orion
  15. 突然に完全な空前の一目惚れ
  16. 赤いスイッチ
  17. 女神(エロス)
  18. NANA
  19. 愚か者の詩
  20. Life is Beautiful
ENCORE
  1. 僕らの人生
  2. 夜明けのブレス
  3. ALIVE

お知らせ

■ライブ情報

Fumiya Fujii Concert tour 2012 「Life is Beautiful」
2012/09/09(日)札幌市教育文化会館大ホール
2012/09/13(木)瀬戸市文化センター
2012/09/15(土)びわ湖ホール・大ホール
2012/09/16(日)熊本市民会館
2012/09/21(金)渋谷公会堂
2012/09/22(土・祝)渋谷公会堂
2012/09/29(土)オリックス劇場
2012/09/30(日)オリックス劇場
2012/10/03(水)六カ所村文化交流プラザ スワニー[追加公演]
2012/10/05(金)黒磯文化会館
2012/10/06(土)仙台イズミティ21
2012/10/08(月・祝)中標津町総合文化会館しるべっとホール
2012/10/10(水)音更町文化センター
2012/10/13(土)大宮ソニックシティ・大ホール
2012/10/14(日)大宮ソニックシティ・大ホール
2012/10/18(木)たつの市総合文化会館赤とんぼ文化ホール
2012/10/20(土)サンポートホール高松・大ホール
2012/10/27(土)紀南文化会館
2012/10/28(日)堺市民会館[追加公演]
2012/10/31(水)大阪国際会議場メインホール
2012/11/01(木)三島市民文化会館
2012/11/03(土・祝) 越前市文化センター
2012/11/04(日)加古川市民会館大ホール
2012/11/08(木)戸田市文化会館[追加公演]
2012/11/10(土)神戸国際会館こくさいホール
2012/11/11(日)守山市民ホール
2012/11/14(水)かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
2012/11/17(土)渋川市民会館
2012/11/18(日)秦野市文化会館
2012/11/21(水)東金文化会館 大ホール
2012/11/23(金・祝)名古屋国際会議場センチュリーホール
2012/11/25(日)結城市民文化センターアクロス
2012/12/01(土)新潟県民会館
2012/12/02(日)須坂市文化会館メセナホール
2012/12/06(木)Bunkamuraオーチャードホール
2012/12/07(金)Bunkamuraオーチャードホール

Fumiya Fujii Special Live 2012 Winter String
2012/12/15(土)神奈川県立県民ホール 大ホール
2012/12/16(日)大阪国際会議場メインホール
2012/12/21(金)Bunkamuraオーチャードホール[追加公演]
2012/12/23(日)広島アステールプラザ・大ホール
2012/12/24(月・祝)福岡サンパレス
2012/12/28(金)大阪国際会議場メインホール
2012/12/30(日)東京国際フォーラムホールA
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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