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藤井フミヤの"Winter String"ツアー最終日をレポート

藤井フミヤ | 2013.01.17

 2012年、9月から約3か月間に渡り、全36公演を行う全国ツアー「Fumiya Fujii Concert Tour 2012 Life is Beautiful」を展開した藤井フミヤ。そのファイナル公演から一週間後、次なるツアー「Fumiya Fujii Special Live 2012 Winter String」をスタートさせた。そのファイナル公演が、12月30日、東京国際フォーラム ホールAで行われた。

 会場には、シンフォニーを思わせるBGMが流れている。満員の客席。その明かりが、少しだけ暗くなった。鐘の音が高らかになり響く。教会を彷彿させるその鐘の音とともに、会場全体がスッと暗転した。ステージ中央、スポットライトの中には、ピエロに扮した藤井フミヤ。パントマイムで、バイオリンを奏でる。聴こえてきたのは「星に願いを」。星がまたたくように、繊細なストリングスの音が流れてくる。スポットライトが消える。暗闇。次の瞬間、誰もが知るバラードの別の顔が浮かび上がった。「Another Orion」。4人のストリングスとグランドピアノで新しく彩られたバラード曲で、ステージは幕を上げた。続く「Blue Moon Stone」では、バンドサウンドが加わる。のびのびと歌い切った後、アップチューン「MY STAR」へ。オリジナルはハウス。4つ打ちのリズムが特徴のダンスナンバーである。この曲をこの日は、持ち味のアッパーな勢いはそのままに、ディテールをかえビックバンド風のダンスビートに仕上げてきた。サビで左手を広げ、くるくるとターンするフミヤ。最後、ステップを踏みながら指を指した先には、サックス。エンディングでファンキーにブロウした。

 この日、最初のMC。「ようこそ“Winter String”ツアー、最終日へ。12月30日、忙しい時によくいらっしゃいました。あなたの部屋が散らかっているのは、私のせいではありません(会場笑)。今日は最後まで楽しんで行ってください」と挨拶した。

 この「Winter String」ツアーは、2012年、10月31日に発売となったミニアルバム『Winter String』を中心に添えたツアーである。7曲収録の本作品は、そのタイトルのとおり、これまでにリリースされたバラード曲をストリングスバージョンにアレンジした楽曲が軸となっているが、その他に新曲も収録されている。ストリングスバージョンとなった楽曲のゴージャスさが作品性として印象に残るが、アップチューンも含んだ新曲が3曲、屋敷豪太のリミックスが1曲と、バリエーションに富んだ作品になっている。この幅をどう見せるのか……もっと言えば、静と動という異なった点をどういう形でつなぎ合わせるのかが、ライヴのひとつのカギになっていたと思う。

 その“つなぎ役”に一役かっていたのが、前ツアーから取り入れられた、本人の新しいパフォーマンスだった。  中盤。曲終わりで、オルゴールの音色。ピエロになったフミヤが、静かに動く。大きな風船を膨らまそうとしているようだ。最後は、自分が膨らました風船に乗り、飛んで行った。このパフォーマンスの後に披露されたのが「今、君に言っておこう」である。手を離れ飛んで行ってしまった風船を、大切なものを失った哀しさに重ねたバラードだ。この歌で、演出のアイテムのひとつとして、ステージ上にふわりと4個並んだ風船が登場したが、その風船を使い、次の楽曲では、まったく違ったパフォーマンスを見せた。

 ブルージーで、ちょっとドランキーなミディアム・チューン「へそまがりSweetHeart」。天邪鬼な“SweetHeart”のつれない態度に、やきもきする男の様子が描かれた、藤井フミヤ・ラブソングの王道パターンのひとつだ。サビに合わせ、風船を抱きしめようとするフミヤ。逃げる風船。ようやく、抱きしめた瞬間、胸の内で風船がパンと割れた。風船の間を滑らかに行き来する動きと、抱きしめて割れた後の少しキュートな動きは、本人が言っていた「恋愛に夢中になると、人間はどこか滑稽」という言葉をそのまま表していたと思う。

 ライヴは後半へ向かう。「TRUE LOVE」は、前半はオリジナルアレンジを生かした、アコギ中心に展開。途中からストリングスを入れ、間奏では、メロディーをサックスが担当。少年から大人に変化したようだった。本編18曲目は「クレイジー・パラダイスへようこそ」。そして本編ラストは「彼女のタンバリン」。前者はチェッカーズ・初期の1曲。後者は、前述した最新作『Winter String』の1曲である。両方ともアルバム収録曲ながら、ライヴ映えするポップチューンで、ファンの人気も高い楽曲である。リリース時期には、30年弱の開きがあるが、それをまったく感じさせなかったことに、驚いた。本当にびっくりした。

 今ライヴは、最初から最後の曲までストリングスが参加するという斬新なアイデアを実現したことで、アップチューンも含め、全体的にゴージャスなサウンドで統一されていた。その効果ももちろんあると思うが、差を感じなかったいちばんの理由は、本人の歌の変化だと思う。

 2012年。本人曰く「盆栽のように、コツコツと」作り上げた、約3年ぶりのオリジナルアルバムを経て、ロングツアーを行い、新しいパフォーマンスという課題をみつけたフミヤ。彼は今、自分の歴史の中の、どの時代の曲に対しても、フレッシュな気持ちで対峙できているのではなかろうか。
 アンコール。歓声と拍手の中、再び登場したフミヤが、マイクをとる。
「今日は本当にありがとうございました」
 そして被っていた帽子を取り、こう続けた。
「私、来年(=2013年)、30周年を迎えます。来年は来年でいろんなライヴをやります。ぜひ、遊びに来てください」

 2013年。藤井フミヤはデビュー30周年を迎える。 
 アニバーサリーイヤーは、デビュー日の9月21日から、本格的にスタートする。

 メニューには無かった「蛍の光」のパンクバージョンを披露し、エンディングで「レッツゴー、2013年!」とシャウトしたフミヤ。明るくなった客席に、いつものようにこの言葉をポーンと放り投げた。
「また来年! また一緒に遊ぼうぜ」

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 藤井フミヤ

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リリース情報

Winter String(初回盤)

Winter String(初回盤)

2012年10月31日

SMAR

ディスク:1
1. Another Orion (Strings Orchestra ver.)
2. 透明人間
3. Endless Snow (Still Snowing Mix)
4. Snow Crystal (Chamber Orchestra ver.)
5. 彼女のタンバリン
6. へそまがりSweetHeart
7. 終わらないでクリスマスイブ (GOTA Re-Mix)

ディスク:2 (DVD)
"Life is Beautiful"Premium Live
supported by Billboard Live Tokyo
1. TRUE LOVE
2. 突然に完全な空前の一目惚れ
3. なんかいいこと
4. 今、君に言っておこう
5. Another Orion
6. わらの犬
7. 点線
8. 愚か者の詩
9. Life is Beautiful

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セットリスト

Fumiya Fujii Special Live 2012 "Winter String"
2012.12.30@東京国際フォーラム

  1. Another Orion
  2. Blue Moon Stone
  3. MY STAR
  4. INSIDE
  5. Next Dream
  6. 今、君に言っておこう
  7. へそまがりSweetHeart
  8. 赤いスイッチ
  9. タイムマシーン
  10. Snow Crystal
  11. Endless Snow
  12. 点線
  13. 透明人間
  14. TRUE LOVE
  15. Go the Distance
  16. 終わらないでクリスマスイブ
  17. なんかいいこと
  18. クレイジー・パラダイスへようこそ
  19. 彼女のタンバリン
ENCORE
  1. Life is Beautiful
  2. トワイライト
  3. 愚か者の詩

お知らせ

■ライブ情報

めざましクラシックス in 札幌
2013/02/15(金)札幌コンサートホール Kitara 大ホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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