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「連載・おとといミーティング」の集大成イベントが中野サンプラザで開催!

TRICERATOPS | 2013.02.08

 TRICERATOPS最高! 音楽最高! 観客の誰もがそんな感想を抱いたのではないだろうか。<12-Bar>は彼らが2011年4月から約1年半、12回に渡って行ってきた全編アコースティックによる画期的なイベントなのだが、一夜限りの追加公演となったのがこの中野サンプラザでの<12-Bar"13">だ。会場はバー的なスペースからホールへと広くなったが、彼らは過去の<12-Bar>同様にアットホームな空間を作り出していた。ステージの上には大きなシャンデリアがある。「家から持ってきました」とは吉田のMC。「今日はパーティーなんで」と和田。つまりこれはメンバーの家に招かれてのホームパーティーみたいなものでもあるのだろう。

 オープニングナンバーは「LOVE IS LIVE」。愛にあふれたこの日の空間を象徴するような始まり方だった。さらに「ACE」「2020」などなど。エッジが効いていて、グルーヴィー。一般的なアコースティックのイメージを覆すようなスリーピースのスリリングかつ自在な演奏に胸が躍る。この<12-Bar>、シークレットゲストも特徴のひとつ。この日も過去に参加したゲストが3組かけつけた。最初のゲストのKANはサンバダンサーのようなど派手な鳥の衣装で登場して、観客を驚かせるというエンターティナーっぷりを発揮。が、ひとたび演奏が始まると、歌の世界に引きずり込んでいくところはさすが。「世界でいちばん好きな人」など、じわじわ染みてくる歌と演奏。2組目のゲストは山崎まさよし。「シラフの月」の前半は山崎のギターで和田が歌うという粋な演出もあった。「この後ライヴが」と山崎がステージから退場したのだが、これは前フリだった。和田がモノマネで「セロリ」を歌い出したと思いきや口パクで、本物の山崎まさよしが陰で歌っていて再登場してきた。過去の<12-Bar>のゲスト登場の名場面を再現していたのだ。続いてのゲストは吉井和哉。「I GO WILD」ではまさにワイルドかつ白熱の共演。THE YELLOW MONKEYの「球根」も演奏されたのだが、アコースティックではこれが初披露とのこと。情念を内に秘めた吉井の強靱な歌声とバンドの集中力のあふれる演奏とがこの曲に新たな息吹きを吹き込んでいた。

 <12-Bar>の共同プロデューサー、森田恭子氏からの宿題曲コーナーはこのイベントの名物のひとつなのだが、この日は過去に好評だった松田聖子の「瞳はダイアモンド」と岡村靖幸の「イケナイコトカイ」が披露された。<12-Bar>の集大成的な密度の濃いステージが続く。が、まだ大きなサプライズが待っていた。「FEVER」が始まると、事前告知なしのシークレットゲストとして小田和正がステージの横から登場して一緒に歌い出したのだ。感動と驚きとが同時にやってきた。さらに「ラブ・ストーリーは突然に」でも夢みたいな共演が実現した。小田は客席に降りて、観客にマイクを向けている。「これはちょっとしたフェスですね」と和田が言っていたが、確かにこんなに素晴らしいゲストが揃うイベントはそうはない。TRICERATOPSの人徳、いやバンド徳。彼らの豊かな音楽性がこれらのゲストを招き入れたということだろう。ゲストとホスト、互いのリスペクトが演奏をさらに熱いものにしていく。これこそが音楽の魔法。ゲストが去った後も熱演が続く。新曲の「ふたつの窓」は和田の柔らかな歌声と開放感あふれるアンサンブルとみずみずしいグルーヴが魅力的なナンバーだった。本編最後の「ロケットに乗って」には"どんな事もかなえてあげる"というフレーズがあるのだが、まさにその言葉どおりのステージだった。奇跡的な光景をたくさん目撃した。素晴らしい音楽に酔いしれた。アンコール最後の「Any Day」まで3時間半に渡る音楽の旅。同じ時代にTRICERATOPSというバンドがいることの幸せを噛みしめた夜だった。

【取材・文:長谷川誠】
【撮影:山本倫子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル TRICERATOPS

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リリース情報

DINOSOUL -BEST OF TRICERATOPS-

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2012年07月18日

tearbridge international

1 Fever
2 Guatemala
3 Going To The Moon
4 if
5 2020
6 Rock Music
7 Jewel
8 僕らの一歩
9 トランスフォーマー
10 Walk In The Park
11 Loony’s Anthem
12 シラフの月
13 Forever
14 I Go Wild
15 Happy Saddy Mountain
16 Startin’ Lovin’ (with May J.)

BONUS TRACK(※初回盤のみ)
17 ハートとダイヤのマグカップ

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セットリスト

TRICERATOPS 12-Bar"13"
2013.01.26@中野サンプラザ

  1. LOVE IS LIVE
  2. ACE
  3. 2020
  4. オレンジライター
  5. HAPPY SADDY MOUNTAIN(w / KAN)
  6. 世界でいちばん好きな人(w / KAN)
  7. シラフの月(w /山崎まさよし)
  8. セロリ(w /山崎まさよし)
  9. I GO WILD(w /吉井和哉)
  10. 球根(w /吉井和哉)
  11. 瞳はダイアモンド(松田聖子カバー)
  12. イケナイコトカイ(岡村靖幸カバー)
  13. FEVER(w /小田和正)
  14. ラブ・ストーリーは突然に(w /小田和正)
  15. ふたつの窓
  16. あのねBaby
  17. ロケットに乗って
ENCORE
  1. 恋のバッド・チューニング(沢田研二カバー)
  2. Any Day

お知らせ

■ライブ情報

和田唱(TRICERATOPS)×中島卓偉
アコースティックプレミアム2マンライヴ

2013/04/19(金)日本橋三井ホール
2013/04/29(祝)福岡 イムズホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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