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ライブチケットはアルバムとセット販売! 清 竜人の全国ワンマンツアーがスタート!

清 竜人 | 2013.03.05

 清 竜人が2月21日から、全国ワンマンツアー「KIYOSHI RYUJIN TOUR」をスタートさせた。

 まず最初に説明しなくてはならないのは、このツアーのライブチケットは、彼の5thアルバム『KIYOSHI RYUJIN』とセットで販売されている、ということだ。これは、本人とスタッフが協議した結果、今回の作品はCDに収められた音源と、実演するステージの両方があって、その真意が浮き彫りになるという結論に達し、試みたものである。それゆえ、アルバムのみをCDショップで発売しないとのこと。ある意味、現在模索されている“これからの音楽の在り方”について、ひとつの形を提示した試みとも言えるだろう。

 そんなツアーの初日となったのは東京、自由学園明日館講堂。国の重要文化財に指定されていて、講演会や結婚式などにも使われている建物なのだが、ステージにあるのは、ピアノ、オルガン、ギター3本と、彼が座るイスと、いくつかの間接照明。会場自体がさほど大きくないことや、大正時代に作られた(1999年に保存修理工事)というレトロで暖かみのある作りからして、さながら彼の家に来たような感覚を受ける。客席の電気が暗くなると、清 竜人がひとりでステージに登場。大きな拍手が送られる中、チューニングを済ませた後、彼のデビューシングルである「Morning Sun」からライブをスタートさせた。そこからは楽器を持ち替え、全てひとりで演奏していく。客席との距離が近いため、細かな息づかいや、歌い始める前のちょっとした深呼吸までが聞こえてくる。

 あくまでも個人的なイメージだが、アコースティックライブといえば、チューニングしている最中に“今日はどこから来たんですか?”みたいな、何気ない話題で客席とトークをする和やかなイメージがあるのだが、そういった場面は一切ない。歌を歌う。次の歌を歌うための準備を整える。そしてまた歌を歌う。それをひたすら積み重ねて行く。徹底的に、「彼の歌そのもの」をフィーチャーしたステージだ。前アルバム『MUSIC』が、アニメ、アイドル、ゲームミュージックを基盤とした超絶ポップ大作で、それを踏まえたワンマンライブがショー的要素の強いものだったことを考えると、その揺り戻しのようなものなのだろうか。淡々と、されど情熱的に繰り広げられる演奏を、客席は固唾をのんで見守っている。空気は少し張りつめていて緊張感があるのだが、なんだか暖かい。そのまま9曲目まで来たところで、彼が歌以外で初めて口を開いた。

「休憩に入ります」

 このライブは、前半がこれまでのアルバム『PHILOSOPHY』『WORLD』『PEOPLE』の曲を中心に、後半がアルバム『KIYOSHI RYUJIN』の曲で構成されたセットリストになっている。再びステージに戻ってきた彼は、軽く一礼をして、再び楽器を手に取る。後半1曲目は、『KIYOSHI RYUJIN』の1曲目である「ぼくはロリータ・コンプレックス」だ。

 アルバム『KIYOSHI RYUJIN』には、なんとも強烈な曲名が並んでいる。「ぼくはバイセクシャル」「ぼくとソープランド」「ぼくはアルツハイマー」……。己の欲望や、性や、感情を包み隠さず紡いだ言葉達を、美しい旋律でもって歌い上げる。ただ、あまりにも赤裸々過ぎるため、正直引いてしまう人もいると思う。もしかしたら「変態」の一言で片付けられてしまうかもしれない。だがしかし、「ぼくはロリータ・コンプレックス」の歌詞を引用するなら<どうせ誰だって頭の中じゃ犯罪者>なわけであり、自分以外の人間なんて、本当は何を考えているか分かったもんじゃない。ただ、“それでも歩み寄って、分かち合いたい”と、彼は歌っている。他の曲もその形は様々なのだが、どれも愛をテーマにしたものばかり。徹底的に「自分=I」を曝け出し、「愛」と向かい合う。張りつめた空気の中で暖かさを感じることが出来たのは、彼の楽曲から滲み出る愛が、アコースティック形式という全てを丸裸にさせる状態も手伝って、こちら側に何の障壁もなくストレートに伝わってきたからだろう。本当に素敵な夜だった。

 この日の最後に、今回のツアーの追加公演を7月12日に浅草公会堂で行なうことを、本人が発表。また、後日行われた大阪公演にて、6月29日大阪倶楽部で追加公演を行うことも発表された。尚、この追加公演はCDとのセットではなく、ライブチケットのみの販売となるのでご注意を。いびつで美しい彼の「アイ」を、会場で是非堪能していただきたい。

【取材・文:山口哲生】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 清 竜人

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リリース情報

KIYOSHI RYUJIN【EMIショップ限定商品】

KIYOSHI RYUJIN【EMIショップ限定商品】

2012年12月30日

EMIミュージックジャパン

01. ぼくはロリータ・コンプレックス
02. ぼくはバイセクシャル
03. ぼくのリビドー
04. ぼくとソープランド
05. ぼくはアルツハイマー
06. ぼくの家族

お知らせ

■ライブ情報

「KIYOSHI RYUJIN TOUR」
2013/03/20(水・祝)福岡:博多百年蔵ホール
2013/03/22(金)京都FANJ
2013/04/12(金)名古屋市千種文化小劇場(ちくさ座)
2013/04/13(土)金沢21世紀美術館 シアター21
2013/04/19(金)エル・パーク仙台 スタジオホール
2013/05/12(日)香川SPEAK LOW
2013/05/19(日)北海道KRAPS HALL
2013/06/29(土)大阪倶楽部[追加公演]
2013/07/12(金)浅草公会堂[追加公演]

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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