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全国全県ツアーも中盤戦に突入! THE BAWDIESという名のロックン・ロール

THE BAWDIES | 2013.04.10

 バンドには、いつか立ってみたいと思う憧れのハコがあり、いつしか忘れられない思い出が詰まった特別なハコが出来ていく。
 THE BAWDIESにとっての憧れのハコは武道館。そこは、彼らが愛して止まないTHE BEATLESが初めて日本にやってきて生でロックンロールを伝えた場所である。ロックンロールと出逢ってから、彼らはそこに立つことを夢に見て、日々、ロックンロールを鳴らし続けてきたのだ。そして。彼らは2011年11月27日。その夢を見事に叶え、ご機嫌なロックンロールをぶちかましてくれたのだ。
 それから約4ヵ月後の2012年3月29日。THE BAWDIESは、ここ新木場STUDIO COASTを、決して忘れることの出来ない思い出が詰まった、特別なハコにしたのである。
 そう。彼らはこのハコで、バンドを結成するきっかけとなったバンド、THE SONICSと夢の対バンを実現させたのだ。
 自分たちを突き動かしたロックンロールの魅力を多くの人に伝えたいという想いと、伝える側となった今も、まだまだ奥深いロックンロールの世界を探り続け、刺激を受けながら、リスナーとしてロックンロールを楽しみたいという欲求で溢れるROY、TAXMAN、JIM、MARCY。彼らは、この日。そのすべてをここに吐き出したのだ。

 1年7ヶ月ぶりにリリースされた待望のアルバム『1-2-3』は、“4枚目にして、またデビューアルバムを作れた!”と言う、更にTHE BAWDIESの音を進化させる新たな一歩を感じた1枚になったことから、ロックンロール本来の魅力はもちろん、よりTHE BAWDIESという名のロックンロールを感じさせられる最高傑作となったのだ。  “最高傑作が出来たからには、全国に届けにいかなくちゃでしょ!”
 というROYの声が聞こえてきそうだが、まさに、彼らは『1-2-3』を引っさげ、全国にロックンロールの素晴らしさを届けるため、THE BAWDIES史上初であり、最大規模となる全59公演ツアーを企てたのである。
 初日は2月2日・3日。初日は女性限定、2日目は男性限定という規制をもうけた、京都磔磔からのスタートであった。京都の磔磔とは、京都の老舗ライヴハウスで、酒倉を改造して作られた他に類を見ない、実に趣のあるハコである。オールスタンディングで350人のキャパ。楽屋はホールの2階にあり、ナント、出演アーティストは、下手からプロレス入場でステージまで向かうのである。基本、このツアーは狭いハコも多いこともあり、このツアーの後半戦に控える横浜アリーナ(6月16日)や、大阪城ホール(6月28日)が実に楽しみでならないのだが、幕開けから5本目に、彼らは新木場STUDIO COASTを選んでいた。新木場STUDIO COASTはライヴハウスの中では収容人数の大きなハコである。しかし、そこは隙間もないほどに、フロアも2階席もオーディエンスで埋め尽くされていた。始まる前から熱気が立ち込めていたその情景は、今から始まるロックンロールSHOWの盛り上りを予感させた。
 フロアの照明が落とされ、SEが流れた。もちろん。いつもの「Soul Man」(SAM & DAVE)だ。
 オーディエンスは一気にステージへと押し寄せた。
 ROY、TAXMAN、JIMは、MARCYの前に集まり、スタジオで音を合わせるかのように、無造作にそれぞれの楽器をかき鳴らした。これもいつもの光景。彼らがロックンロールを鳴らす時、いつもする、この“当たり前”の行為すらも、見逃すことの出来ない最高の御馳走なのだ。
 オーディエンスは彼らの音を欲し歓声を強めた。と、その瞬間。彼らは『1-2-3』ならではの選曲でライヴをスタートさせたのだった。フロアはダンスフロアへと変化した。素晴しい音の力である。
「俺たちがTHE BAWDIESだ! ロックンロールは言葉で説明しても伝わらないから、ここで感じてもらう! そのための今夜だ! いいか! 暴れろ?!」(ROY)
 熱い。実に熱い。オーディエンスも、体を揺らし、右手を上げ、ときおり彼らの音にクラップを加えた。まさしく、そこはロックンロール一色だった。

 ルールは簡単。おもいっきり楽しむこと。

 4人もオーディエンスも、気持ちのいいほど楽しんだ。生でアルバム曲を届けられる喜びと、オーディエンスとその音を共有出来る喜び。その喜びは、オーディエンスも同じだ。スピーカーから流れていたアルバムの音たちを直に体感出来ている喜びと、4人とその音を共有出来る喜び。何の仕掛けがある訳ではないのだが、お互いの存在と共有出来るロックンロールこそが、最高のパフォーマンスとなるのだ。
「愛っちゅうもんは、中途半端じゃ伝わらないと思います! 全力で言わせて頂きます! 愛してます!」(ROY)
 そんな言葉から始まったのは「LEMONADE」。この曲は、アルバムの核となる部分ともなった1曲だ。“伝わるロックン・ロール”を目指していきたいという思いで作られたという「ROCK ME BABY」と、THE SONICSとの対バンでいろいろと感じたことがあって生まれた1つの形でもあったという「LEMONADE」。より深くロックンロールの衝動を爆発力を感じさせるアルバムにしたかったという『1-2-3』は、これらのシングルの流れも含め、視野を広げるというより、日本の音楽シーンの中でロックンロールを爆発させたいという気持ちで作られた作品であったのだ。そんな彼らの想いと衝動が、ビシビシと伝わってきたのだった。
 この日は、普段から口数の少ないと言われているシャイなMARCYまでもが、自らMCでマイクを通し、このアルバムを生み出せたことへの喜びを口にした。MCでのROYのMARCYいじりは相変わらずだが、もはや、それもTHE BAWDIESのライヴのお約束だ。オーディエンスは、そんな無邪気なトークを繰り広げる4人の人間性も愛しているのだ。
 ROYが絶妙な低音を響かせながら最高な歌声を響かせ、JIMはロックンロールに取り付かれた様にギターを弾きまくる。ROYとMARCYが生み出すグルーヴにTAXMANが最高の絡みをみせ、ときおりROYと共に声を重ね、「TAKE A CHANCE」ではメインボーカルをつとめ、ROYの歌声とはまた違ったTHE BAWDIESでオーディエンスを魅了したのだった。

 ルールは簡単。おもいっきり楽しむこと。

この日は、4人と集まったオーディエンスのおかげで、そんなロックンロールルールを、おもいっきり楽しめた気がした。
 バンドの成長を目の当たりにさせられることになるだろう今回のツアー。まさに。早くもその成長の兆しを感じさせられたステージだった。手放しでおもいっきり楽しませてくれた彼らとオーディエンスに感謝。
 彼らがツアーから戻ってくる頃、私たちはきっとひとまわりもふたまわりも大きく成長したTHE BAWDIESに会えるに違いない。その日まで、しっかりと『1-2-3』を聴き込んで待っているとしよう。
 この日以上の最高を望んで。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BAWDIES

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リリース情報

1-2-3(初回限定盤)

1-2-3(初回限定盤)

2013年01月16日

ビクターエンタテインメント

1. DANCE THE NIGHT AWAY
2. LONELY MAN
3. ROCK ME BABY
4. I WANT YOUR LOVE AGAIN
5. LEMONADE
6. LISTEN
7. TAKE A CHANCE
8. RED ROCKET SHIP
9. SHA LA LA
10. CAN’T STOP GROOVIN’
11. SING YOUR SONG
12. 1-2-3(初回盤のみ収録)

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お知らせ

■ライブ情報

1-2-3 TOUR 2013
2013/04/11(木)浜松 窓枠
2013/04/13(土)三重 M’AXA
2013/04/14(日)岐阜 CLUB-G
2013/04/18(木)奈良 NEVER LAND
2013/04/19(金)和歌山 GATE
2013/04/21(日)高知 BAY5 SQUARE
2013/04/23(火)徳島 club GRINDHOUSE
2013/04/25(木)神戸 WYNTERLAND
2013/04/27(土)広島 CLUB QUATTRO
2013/04/28(日)広島 CLUB QUATTRO
2013/05/07(火)高崎 club FLEEZ
2013/05/09(木)郡山 Hip Shot Japan
2013/05/10(金)山形 ミュージック昭和Session
2013/05/12(日)秋田 Club SWINDLE
2013/05/14(火)青森 QUARTER
2013/05/16(木)盛岡 CLUB CHANGE WAVE
2013/05/18(土)仙台 Rensa
2013/05/19(日)仙台 Rensa
2013/05/25(土)帯広 MEGA STONE
2013/05/26(日)北見 ONION HOLL
2013/05/28(火)稚内 HEART BEAT CAFE
2013/05/30(木)旭川 CASINO DRIVE
2013/06/01(土)ZEPP SAPPORO
2013/06/06(木)ZEPP NAGOYA
2013/06/07(金)ZEPP NAGOYA
2013/06/09(日)ZEPP FUKUOKA
2013/06/16(日)横浜アリーナ
2013/06/22(土)沖縄ナムラホール
2013/06/28(金)大阪城ホール

FUJI ROCK FESTIVAL’13
2013/07/26(金)27(土)28(日)新潟県湯沢町苗場スキー場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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