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back number ワンマンツアーのセミファイナルの模様を愛着たっぷりにレポート!!

back number | 2013.04.15

ダークでダイナミックなサウンド。トライバルな打ち込みのリズムが重なっていく。濃いブルーに沈むステージに、白い光が明滅する。期待というテンションをあおるトランシーなSEの中、次々とメンバーが飛び出してくる。観客が、大歓声と大きな拍手、そして笑顔で彼らを迎える。
 彼らのイメージ。それが、憂いあるメロディーが映えるポップス、泣きのポップ・ロックだとしたら、そのイメージから勢いよく飛び出したような、エネルギッシュな登場&オープニングに、正直、驚いた。
 しかしながらその様子は、彼らが、バンド・サウンドに肝を置いたライヴ・バンドであることを、一瞬で鮮明に描き出したと思う。この演出は、そのままライヴへの期待につながった。
 自らステージ上にあったギターをかけ、定位置にスタンバイしたボーカルの清水依与吏が叫ぶ。
「盛り上げていこうぜ、渋公!」
back number ワンマンツアー“back to the blues tour 2013”。年明けからスタートし、全国で19公演を行った本ツアーのファイナル・ライヴが、3月29日、30日の両日、満員の渋谷公会堂で幕をあげた。
アグレッシヴなロックチューン「bird’s sorrow」でスタートした、29日のライヴ。1曲目の間奏から、観客のクラップが会場に木霊(こだま)する。「半透明人間」で、メロを少し無視するように叫ぶ清水。客席も曲に合わせて揺れる。「自分たちだけではライヴはしんどいところがあります。最後まで一緒に作っていきたいと思うから、よろしく! “海岸通り”!」と曲を紹介。タイトルがコールされただけで、満員の会場のあちこちから黄色い声があがる。ディスコティックなリズムがスプラッシュする、爽快なブライトチューン。私のすぐ後ろの席の女の子2人組も、この曲に大喜び。それまで以上に大きい声で、「海岸通り」を彼らとともに歌った後、かけていたタオルで汗を拭きながら、甲高い声でこう言った。
「もう、暑い。最初から熱い。今日、ヤバイ」
 まさにメンバーが息を合わせて、一気に走り抜けたような3曲。ライヴの熱さは、既に沸点ギリギリだった。
 清水がマイクをとる。改めて「ようこそ!」と挨拶した後、MCへ。客席から次々と声がかかる。それらの言葉を「いろいろ思いがあると思うから、それ、全部受け止めます!」と言い切った清水。その後、でもバラードの時は静かに聞いてなどと織り交ぜながら、自分の素直な気持ちをこう言葉にした。
「本当に大事にしてもらっている曲たちばかりだから、ひとことひとこと、俺たちなりにちゃんと演奏するし、ちゃんと歌います」
 この言葉を受け、ライヴはミディアムからバラード曲を中心に展開していく。ピュアなメロディーが目の前の世界を広げる「日曜日」に続き「リッツパーティー」。続く女性言葉の歌詞が耳に残るバラード「stay with me」では、清水が歌い出しで、違う表情の声を響かせた。歌詞の内容とバックスクリーンに映し出されたセピア色のムービーがリンクした「エンディング」から、ピアノの和音とドラムのリズムで次曲の「幸せ」へつなぐ。ミディアムとバラードを中心としたこの流れは、歌詞のストーリー性が浮き彫りになり、恋愛をテーマにしたショートムービーを観ているようだった。
 立ったまま、楽曲に聴き入る客席。そのあちこちから、時折、すすり泣きも聞こえてきた。
 楽曲が、観客1人ずつの思い出や現実に、じんわりと浸透していったのが、静寂に沈む会場の空気から伝わってきた。
 MC。清水に促され、まずはベースの小島和也がマイクをとった。挨拶&感謝の言葉の後、本ツアーをあるテーマ(?)で振り返る。そのテーマが天気。「初日は大雪でした」から始まったこのトーク。全日の天気を先ほど調べてみましたと、結果発表。「雪が4、曇りが1、晴れが11!」この発表に、会場から温かい拍手。その拍手を笑顔で受け止め、小島はこう締めくくった。
「全員無事にファイナルが迎えられて良かったです」
続いて、ドラムスの栗原 寿のMC。「ありがとうございます」と挨拶した後、ツアーが始まる前からずっと言いたかった事があった、ファイナルだからここで言おうかな、と前置きし告白したのがこの事実。
「ドラムのセッティング、変えたんですよ!」
 ステージ上で、がっくりと体を折る清水と小島。清水が思わず「どうでもいーいー」と言うと、会場は賛同の爆笑。メンバー3人を「三者三人、別ベクトルで話が下手だね」と、この混戦模様をまとめた清水が、最後はマイクをとった。「人生、考えなきゃいけないこともいろいろある」と言った後、でも人生って悪いもんじゃない、そう思う日が来る、今日だってライヴに来てる時点でそうだと思う……と話を展開させたところで、敏感に客席の空気を感じ取り、いきなり観客にこうつっこんだ。
「なに、なにその「?」は?」
爆笑する観客に、半分独白のようにぐだぐたと話していたが「やっぱり曲だ」と呟いた後、こう叫んだ。
「さあ、一緒に行こう“手の鳴る方へ”」
 ライヴは中盤。清水は間奏で、横っ飛びでステージ前に出てきて、何度かクラップ。すぐにターンし、マイク前に戻り、歌を続けた。曲とその間合いが、しっかりと己の体に入っているアクションに、観客もクラップで応える。イエローのムービングライトが旋回し、アップチューンの「平日のブルース」。清水の「渋公! 飛ぶぞー!」の掛け声と一緒に、観客が曲に合わせて何度もジャンプした。サイケでムーディーなミディアム「助演女優症」から、再びバラード中心の聴かせる構成へ。 「back numberの曲は、恋のネタが多いかもしれない」と言った清水。そして、自分たちの曲が背中を押し、その後、ずっと背中を押せるわけじゃないかもしれないけど、でもずっと押している気持ちはあるんだと言った後に、「それでも恋をして欲しいと思う」と言い切り、「恋」を披露。連続ドラマの主題歌にもなったソリッドなアップチューン「青い春」。本編最後の曲は「スーパースターになったら」。ボーカルの清水が天井を指差し「ついて来てくれよ!」と仰け反りながらシャウト。ストレートなロックに、途中でディスコのティストが加わる、ライヴ映えするキラーチューンに、小島も栗原も叫ぶように歌っている。熱量ある伸びるサウンドに、観客の興奮が駆け寄っていく。揺れる渋谷公会堂。清水が叫ぶ。「歌ってくださーい!」会場は、大合唱になった。

 back numberが奏でるメロディーは、心の琴線を揺さぶる。それは、例えば、80年代歌謡に思春期に耳を彩られた私にとっては、懐かしい。いい意味でいなたさが魅力なのだが、そこに懐古はあまり無い。メロは懐かしくても、バンドのアンサンブルが、2000年代以降のバンド・サウンドだからだろう。そのバンド・サウンドは時に、とてもフィジカル。結構細かい展開なのに、そこを耳ではあまり気がつかせないストレートさがある。サポートメンバー3人(キーボード、エレクトリックギター、アコースティックギター)を加え、広がりを増したこの日のサウンドは、作品を聴いただけではわからなかった、彼らの“ライヴバンドとしてのフィジカルさ”を浮き彫りにしたように思う。
 丁寧な演奏で心を揺らし、情けなさを切なさに変換した歌詞で感情を揺らし、時にフィジカルなサウンドで聴き手の体を揺らす。
 この3つのポイントが、今後、それぞれ、どのように広がっていくのか、興味深い。
 2009年の初リリース以降、楽曲のクオリティーを意識して維持しながらコンスタントにリリースも重ね、知名度も上がり、動員も着実に増え続けているback number。しかしながら、観客との距離感、音楽への向き合い方は、きっとこれからも変わらないのではなかろうか。
 この日、最も心に残った清水のこの言葉が、その証拠だと思う。
「俺が今日、2000人(=渋谷公会堂のキャパシティ)いたら、お客さん、1人1人について帰るんだよ。でもそれは出来ない。だからちゃんと横にいられる歌を、これからも作っていくから」
 本音がだだ漏れになった、正直な言葉だと思った。特に前半の「俺が」?「出来ない」までなんて、そんなことまで言わなくてもいいだろうになぁ……と思ってしまうくらい、素敵な言葉だった。
 「あぁああ、今日のMCは……」と、ブツブツと自分にダメだししている清水の様子を見ながら、改めて、嘘がつけないバンドだなと思ったし、そこが信頼に値するとも思った。
 なんか、言わなくてもいいことまで言っちゃうというか。そういう、自己コントロールできていないところが、彼らの曲のリアリティーになっているとも思う。

 この日、アンコールでは、初の日本武道館公演も発表になった。清水の口からその事実が告げられた瞬間、渋谷公会堂は、この日、いちばんの大歓声に包まれた。  本当にそこにいる全員が、心の底から喜んでいるような、絶叫に近いような大歓声だった。
 9月7日。3人はもっと大きな歓声とともに、日本武道館に立っている。

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル back number

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リリース情報

blues

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2012年11月21日

ユニバーサル シグマ

1. 青い春
2. 手の鳴る方へ
3. わたがし
4. エンディング
5. 日曜日
6. 平日のブルース
7. 笑顔
8. ささえる人の歌
9. bird’s sorrow
10. 助演女優症
11. 僕が今できることを
12. 恋

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セットリスト

「back to the blues tour 2013」
2013.3.29 @ 渋谷公会堂

  • 1.bird’s sorrow
  • 2.半透明人間
  • 3.海岸通り
  • 4.日曜日
  • 5.リッツパーティー
  • 6.stay with me
  • 7.エンディング
  • 8.幸せ
  • 9.手の鳴る方へ
  • 10.平日のブルース
  • 11.助演女優症
  • 12.笑顔
  • 13.one room
  • 14.恋
  • 15.青い春
  • 16.スーパースターになったら
Encore
  • En-1.ささえる人の歌
  • En-2.花束
  • En-3.そのドレスちょっと待った

お知らせ

■ライブ情報

U-EXPRESS LIVE / ROCKS Vol.1
2013/04/26(金)ZEPP TOKYO

Free Your Mind
2013/05/04(土)ZEPP TOKYO

androp×back number cross fm 20th Anniversary special
~一夜限りのスペシャルイベント back×drop~

2013/05/17 (金)ZEPP FUKUOKA

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2013 in EZO
2013/08/16(金)17日(土) 〈雨天決行〉
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

back number live at 日本武道館 -stay with us-
2013/09/07(土)日本武道館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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