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BUZZ THE BEARSとグッドモーニングアメリカがゲストを迎えて行なったイベントをレポート!

BUZZ THE BEARS&グッドモーニングアメリカ | 2013.05.22

 この『BUZZ of FIRE TOUR』は、BUZZ THE BEARSとグッドモーニングアメリカの2バンドに、東名阪の各地で、2バンドがリスペクトするバンドを1組づつゲストに呼んで行われてきたイベント。大阪ではEGG BRAIN、名古屋ではROTTENGRAFFTY、そして、ここ東京ではOVER ARM THROWがそのゲストに招かれた。
各地早期にソールドアウトを記録してきた同ツアー。トップのグドモの登場以前から超満員で、既にちょっと空気が薄い。

 場内が暗くなると、ベースのたなしんのハイトーンな声が場内に響き渡る。毎度神出鬼没に現れる彼。今日は入口の階段だ。頭には「くまもん」のキャップをかぶっている。そこから今回共演のBUZZ THE BEARSにちなみ、「森のくまさん」を歌いながら、満員のフロアの中を通りステージへ。いつものホットパンツ一丁のスタイルでプレイの準備に入る。1曲目は、「キャッチアンドリリース」。5月8日に発売になる1stフルアルバム『未来へのスパイラル』からのナンバーだ。彼らにとって待望のメジャーデビュー作でもある同作品は、新しい試みも含め、色々なタイプの音楽性とテーマやシチュエーション毎に自身を投影する歌内容ばかり。ギターロックを基調に、メロディックパンクや2ビート性を取り入れたその音楽性は、日常に寄り添った歌たちと共に、今後多くの信奉者を生んでいきそうな1枚であった。また、彼ら自身としても、これまでをきっちりと収めつつ、今後もちゃんと見せられる作品になったと言っていたから心強い。そんな聴く者の気持ちを同化させる楽曲が揃ったニューアルバムの中からのリード曲でもある同曲は、ダンサブルなナンバー。その掴みに会場が揺れ、踊り、飛び上がる。サビの4つ打ちの高揚感と上昇感のあるダンサブルさが気持ち良い。ボーカル&ギターの金廣真悟のトーンの高いボーカルも会場を扇動していく中、ノンストップでドラムのぺギが踏み込む激速2ビートがフロアの密度をぐっと上げる。「言葉にならない」の登場に、”待ってました!!”とばかりに各所で起こるクラウドサーフ。そして、前述ニューアルバムのトップを飾る「ファイティングポーズ」がダイナミックに飛び出すと、金廣が艶やかに、より感情をその歌に込める。楽曲コンセプトが観る者の力へと変わっていく。ラストのテンポアップが出自であるメロディックパンクバンドの面目躍如を呼び起こしていく。

 ここでMC。たなしんが会場を一体化させるべく、コール&レスポンスを行う。今日は「ロー」攻め。そして『BUZZ of FIRE』をみんなでコール。ちなみに、この「FIRE」は、グドモが標榜している「PASSION AND FIRE」から取られている。
 そして、ここでBUZZ THE BEARSの「光り」のカバーが飛び出す。お互いの曲を1曲づつカバーしあっていると言う、今回のツアー。放たれるラテンポップにより、BUZZのファンもグドモのファンも分け隔てなく踊る。ライヴ中盤では、ギターの渡邊幸一のきらびやかなイントロから、これまたニューアルバムからのタイトル曲「未来へのスパイラル」に。少々ポリティカルな歌詞が劇的なサウンドに乗り、フロアに飛び込んでくる。サビで生まれる呼応に、場内の温度もまたグッと上がる。続いて、「だけど不安です」「輝く方へと」が聴き手を誘い、ラストは渡邊のギターイントロがフロアをステージに引き寄せ、もう一度思い思いに踊らせた「ウォールペーパーミュージックじゃ踊れないぜ」で締め。「♪踊れないぜ♪」なんて歌いながらも、会場も踊りまくる。ミラーボールも回り出し、みんな思い思いに楽しそうに踊る。

 そして、2バンドの良いところをきちんと見つけ、自分たちのファンも含め、シーンにきちんと紹介をし、先輩格としての凄みと別格さ、そして、<これからも俺たちのように、自分たちの信じた道を突っ走れ!!>というメッセージを、プレイや演奏だけでなく、MCでもしっかり伝えたのが、東京編でのゲスト、OVER ARM THROWであった。
 2番手として登場し、「ジャンルに関係なく楽しんで行こう!!」という一言でスタートした彼らのライヴ。もうこの一言で前後のバンドと彼らとがガシッとつながっていく。グドモの前身バンドであったメロディックパンクバンド「for better,for worse」の頃からの付き合いだという彼ら。とは言え、7年ぶりの共演となった今回は、そんなグドモの出自やリスペクト、つながりをもう一度表すかのように、for better,for worseと一緒に入ったコンピ盤に収録していた曲や、グドモの現ドラマーのぺギが以前所属していたバンドと一緒に入っていたコンピ盤に収録されていた曲をあえてプレイ。また、MCでも、グドモの昔から今への容貌の変わりようと変わらなさ、そしてたなしんの変貌や、たまたま前日同じ電車で、グドモのことを話している輩(やから)に遭遇した際のエピソードを面白おかしく説明。また、BUZZに関しても、越智の頭にタオルを巻いている変わらないスタイルに言及。昔、一緒にお笑いを目指していたという冗談や、BUZZ THE BEARSのバンド名の意味を会場にレクチャー。そんな間々に和ませた一面を見せながら、ライヴでは、やはりの圧巻さ。全編オリジナリティ溢れるメロディックパンクを終始展開し、会場に疾走/激走を生み、狭い空間でこれでもかというぐらいのクラウドサーフやモッシュ、モッシュピットを引き起こした。

 そんなOVER ARM THROWがベテラン格のメロディックパンクっぷりで場内を再燃させた後、この日のトリ、BUZZ THE BEARSがスタンバイする。頭にタオルを巻いた、おなじみのスタイルのボーカル&ギターの越智健太が、このツアーで共演したバンド名を挙げ、「まかせとけ?!!」と、そのバンドからもらったエネルギーを全て、ファイナルであるこのステージに余すところなくぶつけるが如き宣言を。ライヴを走り出させる。1曲目は「サンライズ」。いきなりの激速2ビートの登場に、ステージとフロアがガチで向き合う。「楽しみにしてきたか? それはこっちも一緒じゃ!!」。無骨だが非常に魅力のある歌声の越智が同曲をこの一言で締める。続いてスカポップの軽快さと、ラテンポップの躍動ぶりに会場がハネた「まわり道」、ドラムの桑原智とベースの池田大介のリズム隊によるドライヴ感のあるサウンドの上、会場中の呼応がハッピーさを呼び込んだ「サタデーナイト」。そしてライヴを再び激走させるかのように、ニューシングルのカップリング曲「サウンド」を挟み、続いては、”待ってました!!”の「ダーリン」が飛び出す。やはりこの歌はメロディが秀逸に力強い。そして耐え、溜めた後の起爆的なサビの疾走感に乗った爽快さ。いやー格別だ。切なさと勢いがせめぎ合う音楽性の中、ある意味バンドとオーディエンスとのユナイトも感じさせる同曲を経て、フロアとステージが再びガッチリと熱い握手を交わす。ここでグドモの「空ばかり見ていた」のカバーが登場。大阪・名古屋では、二回とも歌詞を間違ってしまったことを独白。今回は間違わずに大成功だったようだ。
 会場を一つにする勢いのあるナンバーたちを経て、越智が語る。「夢が無いなんて言われているこの音楽業界の中、ここまで続けてきている変わり者の3バンドが、今日ここに集まった。だけど、ここに集まっているみんなも変わり者だろ。だけど、その変わり者の笑顔が見たくて、東名阪と回ってきた。みんな笑って帰れよ。もがいているヤツにこの歌を」と「羽根」が捧げられる。同曲に、みんながまるで手を伸ばすように飛びつく。伸ばしたその手の先っちょに、ちょっと幸せに触れられた気がした。そして、この日最大数のダイバーを生んだ「雨」、「みんな体を揺らしていきましょう」の越智の誘いに、楽しそうに会場が踊り、合わせてミラーボールも周りだした「全てを」、そして、みんなの大合唱から始まった本編ラストの「約束」では、最後は完全にバンドから会場に歌のバトンが手渡された。
 アンコールは1曲。「本物のBUZZ THE BEARSを見せてやるぜ!!」の一言の後に放たれた、先ほどグドモもカバーした「光り」では、楽曲に合わせてフロアも楽しそうにハネる。そして、フロアにこの日、最高の笑顔と楽しげな顔を残し、彼らはステージを降りた。

 もう一度、この2バンドの共通項、似ているところを探してみた。そして思い当った。それは2バンドとも逆境を歌いながらも、その先にある<自分の人生を信じて進んでいこう>と歌われるその歌内容や歌に込められたバイタリティだった。それを楽曲に込め、また違った会場でお互い各々の音楽性を放ちあっていくのだろう。この日を境に、彼らはまた各々の道を歩み出していく。そして、その進んでいく先のどこかで、この2バンドが交差する時がまた来るに違いない。その時はまた観に行くとしよう。そう、とびっきりの笑顔を隠し持って。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ イベント BUZZ THE BEARS グッドモーニングアメリカ

リリース情報

【BUZZ THE BEARS】ダーリン(初回盤)

【BUZZ THE BEARS】ダーリン(初回盤)

2013年03月20日

ビクターエンタテインメント

ディスク:1
1. ダーリン
2. サウンド
3. ふたり
ディスク:2
1. サンライズ~サタデーナイト~花火~羽根(Live at 新宿ACB)[ ダイジェスト]
2. ブルースカイ~虹~雨(Live at F.A.D YOKOHAMA)[ ダイジェスト]
3. 光り(Live at F.A.D YOKOHAMA)
4. 約束(Live at F.A.D YOKOHAMA)

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リリース情報

【グッドモーニングアメリカ】未来へのスパイラル(初回盤) [CD+DVD]

【グッドモーニングアメリカ】未来へのスパイラル(初回盤) [CD+DVD]

2013年05月08日

日本コロムビア

1. ファイティングポーズ
2. キャッチアンドリリース
3. タイムスリップしたみたいに
4. 未来へのスパイラル
5. ロールプレイングゲーム
6. 突破していこう
7. 風で高く舞い上がれる程
8. たった6文字じゃ
9. あなたに逢えて
10. バンバンガンガン
11. 下らない毎日が
12. 餞の詩

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セットリスト

BUZZ of FIRE TOUR
2013.4.23 @下北沢SHELTER


グッドモーニングアメリカ
  1. キャッチアンドリリース
  2. 言葉にならない
  3. ファイティングポーズ
  4. 光り(BUZZ THE BEARS カバー)
  5. また会えるよね
  6. 未来へのスパイラル
  7. だけど不安です。
  8. 輝く方へ
  9. ウォールペーパーミュージックじゃ踊れないぜ

BUZZ THE BEARS
  1. サンライズ
  2. まわり道
  3. サタデーナイト
  4. サウンド
  5. ダーリン
  6. 空ばかり見ていた(グッドモーニングアメリカカバー)
  7. クライマー
  8. 羽根
  9. 全てを
  10. 約束
Encore
  1. 光り

お知らせ

■ライブ情報

グッドモーニングアメリカ
「未来へのスパイラルツアー2013」

2013/07/11(木)千葉LIVE SPOT LOOK
2013/07/12(金)水戸LIGHT HOUSE
2013/07/23(火)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2013/07/24(水)前橋DYVER
2013/09/04(水)神戸太陽と虎
2013/09/05(木)高松DIME
2013/09/07(土)広島CAVE-BE
2013/09/08(日)松山SALONKITTY
2013/09/13(金)仙台MACANA
2013/09/20(金)福岡CB
2013/09/22(日)熊本Django
2013/09/23(月・祝)大分CLUB SPOT
2013/09/28(土)梅田CLUB QUATTRO
2013/09/29(日)名古屋CLUB QUATTRO
2013/10/05(土)渋谷O-EAST

BUZZ THE BEARS
「2nd SINGLE Release Oneman Show LIVECAGE 2013 〜ARRIVE〜」

2013/07/18(木)Shibuya O-WEST
2013/07/26(金)心斎橋FAN J TWICE

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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