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世界のきゃりー! 凱旋ライヴ!

きゃりーぱみゅぱみゅ | 2013.06.26

 2012年11月6日に日本武道館で行った『ドキドキワクワクきゃりーぱみゅぱみゅレボリューションランド2012 in キラキラ武道館』のステージで、ワールドツアーを発表したきゃりーぱみゅぱみゅ。自身初のワールドツアー『100%KPP WORLD TOUR 2013』は、2月9日のベルギーを皮切りに、ヨーロッパ、北米、アジア、そして国内Zeppをまわり、世界13都市を制覇したモノとなった。
 追加公演として行われた5月30日の渋谷公会堂でのライヴは、凱旋ライヴというだけあって、会場のオーディエンスは、いままで以上に、きゃりーぱみゅぱみゅの登場を待ちわびていたようだった。

 18時30分。遊園地を思わす3拍子のBGMに、オーディエンスが手拍子を加え始めると、ステージ下手から、アコーディオンを弾く羊が登場した。そして。次の瞬間、ステージにかかっていたピンクの幕が、左右にゆっくりと開いた。いよいよSHOWの始まりだ!

 6人のダンサーたちと共に、黄色に緑のボリューミーなペチコートがキュートなワンピを身に付けたきゃりーぱみゅぱみゅが登場すると、会場は一斉に大きな歓声を上げた。
 ただ可愛いだけじゃない、シュールな可愛さを持った芋虫たちのオブジェと、キッチュな可愛さを放つ子供ダンサーたちに囲まれ、唯一無二な存在感を放っていたきゃりーぱみゅぱみゅ。まさに。そこは、きゃりーぱみゅぱみゅが住む夢の国。パパとママと一緒に来ていたちびっ子や、カップル、そして、きゃりーと同じ世代くらいであろう、彼女のコスプレをした女の子。同世代の男の子や、会社帰りのサラリーマン。そんな幅広い層のオーディエンスが揃うのも彼女のライヴの特徴だ。オーディエンスは夢中で彼女の振りを真似、子供に返ったように、すっかり心を解放していたのだった。これも。きゃりーぱみゅぱみゅという魔法だろう。
 最新シングル「インベーダーインベーダー」では、曲前に軽くサビの振りをレクチャーし、さらに、オーディエンスを引き込んだ。ピンクと水色の毛むくじゃらの異星人(これがインベーダーのイメージなのか!?)を従えて届けられた新曲は、これまたきゃりーぱみゅぱみゅ全回の、ロックと、どこか懐かしい歌メロを感じさせる楽曲。オーディエンスは、きゃりーからのレクチャーをお手本に、きゃりーワールドを盛り上げていたのだった。

「いやぁ?、暑いわぁ?。みなさん、どうもありがとうございます! 次は、ラブソングを歌います。さっき歌った「ピンポンがなんない」もラブソングなんだけど、今度は、好き過ぎてどうにかなりそうな女の子の気持ちを歌います!」

 届けられたのは「スキすぎてキレそう」。独自のファッションセンスや、変顔や、独特な言い回しから火が着いた彼女のブログ。 “スキすぎてキレそう”とは、まさに、きゃりーぱみゅぱみゅの原点を感じさせる言い回し。彼女らしい世界観を存分に楽しませてくれた1曲となった。

 と、ここで。今回のワールドツアーを追ったドキュメント映像が差し込まれた。慣れない土地でのTV中継の様子や、彼女のコスプレをする熱狂的な世界中のファンたちとのやりとりや、何処に行っても変わらず、真摯にオーディエンスを楽しませようと頑張るきゃりーの姿は、大きな感動を覚えてくれた。そして。彼女がこのツアーで、自らが、きゃりーぱみゅぱみゅという絶対的なアーティスト性を改めて掴み取ったことを感じさせてくれるものだった。
 胸の高い位置にギャザーで切り替えしがつけられ、たっぷりとしたボリュームが取られたパフスリープの女の子らしいデザインのドレスで登場した中盤戦では、自らの言葉でこのワールドツアーを振り返る場面もあった。

「2月7日のベルギーから始まったワールドツアーなんですが、始めは不安で不安で仕方なかったんです。18歳でデビューして、まだ2年しか経ってないのにワールドツアーなんて。本当は不安で乗り気じゃなかったんです。ベルギー公演の直前に、プレッシャーに耐えられず、日本にいる家族や友達に電話したりもしたし……。でも、ニューヨークでは、2,300人のハコがソウルドアウトになったんです! いやいや、本当にみなさんのおかげです。本当にありがとうございます! 実は私、めちゃくちゃ人見知りで内気なんです。こうしてここでライヴしてるなんて、お父さんもお母さんもびっくりしてるんじゃないかな(笑)」

 そんなMCを挟んだ彼女は、自分のことを歌ったという「Unite Unite」を届け、続けて「100%のじぶんに」や、モデル時代の思い出を歌ったという「ぎりぎりセーフ」で、飾らない内面をオーディエンスに見せたのだった。

 後半は、ダンサーコーナーや、この日のために新調したという新しい衣装で登場したきゃりー。ピンクをベースに、ファーで作られたいろんなモンスターがくっついたその衣装は、なんでも、6月26日にリリースを控えた1年ぶりの2ndアルバム『なんだこれくしょん』をイメージしたものなのだとか。彼女はまたまた振り付けをオーディエンスと共におさらいし、ワールドツアーでも、この曲で世界を揺らしてきたであろう「にんじゃりばんばん」「ファッションモンスター」「きゃりーANAN」で盛り上げた。
 そして。本編ラストを、きゃりーのヒット曲のメインの振りが網羅されている間奏を持つ「ちゃんちゃかちゃん」で締めくくり、アンコールに応えたのだった。

「ありがとうございます! 本当に何度も心が折れそうになったワールドツアーでしたが、そんなツアーのおかげで、21都市23公演の初のホールツアーが決定しました! 本当にみなさんのおかげです!」

 と、9月7日からスタートするホールツアーを発表し、続けて、最近出来たという夢を語った。
「去年の11月に武道館でライヴをやらせてもらったときに、私、空を飛んだんですね(フライングアクション)。それを見ていた知人の5歳の子供が、“きゃりーちゃんは妖精だね!”と言ってくれたそうなんです(笑)。私、それを聞いて、この先も、小さい子供たちが、いつまでも夢を見ていられるような、そんなアーティストになっていけたらいいなって思ったんです!」
 新たな夢に胸を膨らますきゃりーは、とても頼もしく見えた。
 自分が見ていた夢を、今度は小さな子供たちに与えていきたい。自分を愛してくれる人たちを、とにかく楽しませてあげたい。
 そんなきゃりーの真摯な想いが、まっすぐに伝わってきた夜だった。
 きっと彼女の願いは、この先も、今以上に多くの人たちを幸せにしていってくれるに違いない。そして。アルバム『なんだこれくしょん』を引っさげてまわる、9月からのツアーでは、その夢がさらに大きなモノになっていくことだろう。

【取材・文:武市尚子】
【撮影:AKI ISHII】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル きゃりーぱみゅぱみゅ

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リリース情報

なんだこれくしょん

なんだこれくしょん

2013年06月26日

ワーナーミュージック・ジャパン

1.なんだこれくしょん
2.にんじゃりばんばん
3.キミに100パーセント
4.Super Scooter Happy
5.インベーダーインベーダー
6.み
7.ファッションモンスター
8.さいごのアイスクリーム
9.のりことのりお
10.ふりそでーしょん
11.くらくら
12.おとななこども

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お知らせ

■ライブ情報

HALL TOUR 2013
2013/09/07(土)神奈川・伊勢原市民文化会館
2013/09/10(火)広島アステールプラザ 大ホール
2013/09/12(木)山口・周南市文化会館
2013/09/14(土)大阪・オリックス劇場
2013/09/15(日)大阪・オリックス劇場
2013/09/20(金)神戸国際会館 こくさいホール
2013/09/21(土)岡山市民会館
2013/09/23(祝・月)名古屋国際会議場 センチュリーホール
2013/09/24(火)静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
2013/09/28(土)福岡サンパレス ホテル&ホール
2013/09/29(日)福岡サンパレス ホテル&ホール
2013/10/01(火)愛媛・ひめぎんホール
2013/10/12(土)千葉・市川市文化会館
2013/10/13(日)コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2013/10/16(水)東京・NHKホール
2013/10/18(金)仙台サンプラザホール
2013/10/20(日)青森・スワニー 六ヶ所村文化交流プラザ
2013/10/27(日)ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
2013/11/02(土)北海道・ニトリ文化ホール
2013/11/04(月)新潟県民会館
2013/11/15(金)鹿児島・宝山ホール
2013/11/16(土)市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
2013/11/23(土)埼玉・大宮ソニックシティ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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