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藤井フミヤのニューシングル「青春」の発売を記念し急遽決定したスペシャルイベントをレポート!

藤井フミヤ | 2013.07.10

 本年、デビュー30周年&ソロデビュー20周年のダブルアニバーサリーを迎える藤井フミヤが、7月10日、30枚目のシングルとなる「青春」をリリースした。
 本作の発売を記念し、パネル展など、アニバーサリーイヤーを彩る企画が続々とスタート。その中でも、ビックサプライズになったのが、急遽決定した “「青春」発売記念スペシャルイベント”であった。
 7月9日。リリース日前日。渋谷AXで行われたこのイベント。ステージには、いつも通りのバンドセット(ドラム、ベース、キーボード、ギター×2、ボーカル)が準備されていた。
 海外の古いラジオ番組を思わせるBGM。雑音に交じり、DJが次の曲を告げていく。暗転する会場。大きな拍手の中、順番にバンドメンバーが登場し、スタンバイする。次の瞬間、拍手が一段と大きくなり、はじかれたような歓声があがった。
 藤井フミヤがステージに姿を現した。
 Tシャツにデニムというラフなスタイルで「こんちわ」と第一声。そしてフレンドリーにこう続けた。
 「今日は新曲披露ということで、お集まりいただきありがとうございます。こういうのは初めてなので、どんなイベントになるか、自分でもわかってません(笑)。短い時間ですが、いつも通り盛り上がっていきましょう」
 真っ赤に染まるステージからバンドサウンドが走り出す。1曲目は、力強くポップなサビが特徴のアップテンポなパワーチューン「GO BACK HOME」。スタンドマイクを操りながら歌うフミヤ。間奏では、スッと半分腰を引き、軽く前かがみになりながらクラップ。この流れるような自然なアクションに、彼のライヴ経験の豊富さを感じた。が、本人は終わって、こんな第一声。
 「初めて歌ったんで、まだまだ、どう動いていいかもわからない(笑)」
 観客からも笑いが起こる。「GO BACK HOME」について、男性への応援歌だと説明した後は、夫婦関係、男女関係のレクチャーへ話が展開。本人からも笑顔がこぼれる。「次の曲は……こんな曲は滅多に作らないぞって歌です」と紹介されたのは「孤独のDreamer」。エレクトリックな鍵盤の音色が、ニューロマンチックを彷彿させるAメロから一転、疾走感あるサビが広がるアップチューン。物憂げなメロディーを、荒々しく歌うフミヤのボーカルも面白い。最後は、フミヤの絶叫で終わるという、これまでにないパターンの1曲。エンディングで、フミヤは、少しのけぞりながらシャウトした。
 1曲終わる毎に、挟み込まれるMCでは、各曲の制作秘話を次々と披露。そのエピソードに“へぇ?”とか“すごーい”とか“かっこいいよ”と、自然にレスポンスが飛ぶ。スペシャルイベントならではの様子と言えようか。観客、1人1人の声がはっきり聞こえてくる。その言葉に対して、本人と観客が同じようなリアクションをとる瞬間も。通常のツアーにはない“ライヴハウス”というシチュエーションが、いつも以上に、本人と観客の距離を縮めているように思った。
 バンドメンバーの紹介を経て、ステージ上に呼びこまれたのが、藤井尚之。ご存じ、藤井フミヤの弟、そして兄弟ユニットF-BLOODのメンバーでもある。新作「青春」収録曲の4曲すべての作曲を手掛けた。MCは続く。「全曲、タイアップが決まってから作り始めたから、とにかく時間がなかった。だから無理が言える人に曲を頼んだ」というフミヤの言葉に、尚之はこうライドオン。
 「やはり、兄ちゃんに言われたら断れません!」
 観客、大爆笑。そして「50歳だけど、この曲、歌っていいですか?」とフミヤの紹介で、タイトル曲「青春」が披露された。
 イントロ。尚之のサックスが、抒情的なメロディーをなぞっていく。それが曲の予感になり、甘酸っぱいメロディーへと、フミヤの歌声が引き継ぐ。藤井フミヤらしい、王道のバラード。思い出を呟くような内容ながら、過去、現在、そして未来を感じられる歌詞が秀逸。シンプルな言葉が並ぶが、その言葉達を“聴き手の中で意味を持って響かせる”ことができるのは、藤井フミヤが、30年間、ずっと歌い続けたきたアーティストだからだ。少し乱暴な例えになるが、同じ言葉を20代のアーティストが歌っても、説得力が無いだろう。藤井フミヤの歌の説得力は、彼の歴史が作り上げた特権だ。
 最後は「世界平和を祈って書きました」と「夜明けの街」。米国カントリーのティストが強い、アーシーなミディアムチューン。ストレートなメロディーをかみしめるようにフミヤが歌う。観客は、ゆったりと体を揺らしながら、リズムに合わせてクラップ。そのクラップが、最後は歓声と大きな拍手に変わった。
 「今日はお暑い中、足を運んでいただいてありがとうございました。新しい曲、いっぱい聴いて、みんなの歌にしてください」
 こんな言葉を残して、藤井フミヤはステージを後にした。

 この日、スペシャルイベントが急遽決定したこともあり、バンドメンバーとリハーサルを重ねる事もままならなかったと言う。新曲を披露するのも初めてだったが、バンドサウンドを携えて歌うのも、ほぼ初めてに近い状態だったのではと想像もできる。
 ゆえに、本人にとっては、いささかスリリングな時間だったのではとも思うが、そこを楽しんでいたのは、さすがだ。もしかして、会場の中で、1番本人が楽しんでいるんじゃないの? と思ってしまったくらい。
 それは、ライヴ中のこの言葉が証明している。
 「この新曲達も、これからツアーでだんだん(自分の中に)染みて似合う曲になっていくと思います」

 秋からはツアーが決定している。全国で35公演を行うこのツアーは、9月21日、藤井フミヤのデビュー記念日からスタートする。タイトルは「藤井フミヤ 30TH ANNIVERSARY TOUR vol.1 青春」。誰もが知る懐かしい曲も多数披露されるそうだ。
 あなたの青春が、あの時と同じ歌声で、今年、蘇る。

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:五十嵐絢也】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 藤井フミヤ

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セットリスト

「青春」発売記念スペシャルイベント
2013.07.09@SHIBUYA-AX

  1. GO BACK HOME
  2. 孤独のDreamer
  3. 青春
  4. 夜明けの街

お知らせ

■ライブ情報

藤井フミヤ 30TH ANNIVERSARY TOUR
vol.1 青春

2013/09/21(土)神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2013/09/22(日)神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2013/09/26(木)大阪 岸和田市立浪切ホール
2013/09/28(土)香川 サンポートホール高松
2013/09/29(日)広島 広島アステールプラザ
2013/10/04(金)福岡 石橋文化ホール
2013/10/06(日)埼玉 狭山市市民会館
2013/10/11(金)秋田 大仙市大曲市民会館
2013/10/12(土)宮城 東京エレクトロンホール宮城
2013/10/14(月・祝)栃木 佐野市文化会館
2013/10/19(土)滋賀 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
2013/10/20(日)兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
2013/10/23(水)埼玉 三郷市文化会館
2013/10/26(土)長野 塩尻市レザンホール
2013/10/27(日)静岡 静岡市清水文化会館 マリナート・大ホール
2013/10/31(木)東京 渋谷公会堂
2013/11/01(金)三重 三県総合文化センター
2013/11/03(日・祝)新潟 柏崎市文化会館アルフォーレ
2013/11/04(月・休)石川 本多の森ホール
2013/11/09(土)神奈川 伊勢原市民文化会館
2013/11/10(日)東京 中野サンプラザ
2013/11/16(土)兵庫 姫路市文化センター
2013/11/17(日)熊本 市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
2013/11/23(土・祝)大阪 オリックス劇場
2013/11/24(日)大阪 オリックス劇場
2013/11/30(土)奈良 なら100年会館
2013/12/01(日)愛知 名古屋国際会議場 センチュリーホール
2013/12/05(木)山梨 コラニー文化ホール
2013/12/07(土)千葉 市川市文化会館
2013/12/08(日)千葉 市川市文化会館
2013/12/14(土)大阪 フェスティバルホール
2013/12/15(日)大阪 フェスティバルホール
2013/12/19(木)大阪 堺市民会館
2013/12/21(土)鹿児島 宝山ホール(県文化センター)
2013/12/22(日)福岡 福岡サンパレス

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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