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パスピエ、自主企画イベント第2弾『印象B』の東京公演をレポート!!

パスピエ | 2013.07.17

 パスピエの自主企画イベント第2弾『印象B』の東京公演。4月に開催された『印象A』に続き、今回も大盛況となった。ラッパーの呂布がDJプレイを行ったオープニングタイムを経て、ステージに登場したのはthe band apart。エモーショナル且つグルーヴィーな演奏に刺激され、たくさんの観客がひしめき合うフロア全体が瞬く間に熱気で包まれていく。百戦錬磨のバンドとしての貫禄が堂々と示された。途中のMCで「みんながいるそっち側で観たい。パスピエ、かっこいいんだ」と、とても嬉しそうに語った原昌和(B)。バンド同士のリスペクトが伝わってくる心温まる一場面であった。

 そして、いよいよパスピエのライブ。幕が開き、ライトで照らし出されたステージ上。メンバー全員がスタンバイしている中、こちら側に背中を向けて立っている大胡田なつき(Vo)の姿が一際目を引く。彼女が振り返ったのを合図に1曲目「フィーバー」がスタート。アドレナリンの分泌を猛烈に促すスピーディーな鍵盤フレーズ、アグレッシブなビートに刺激され、瞬く間に掛け声を上げながら踊り始めた観客の興奮の度合いが凄まじい。そんなフロアを見つめながらステージ上を巡り、歌声を響かせる大胡田のスカートの色は、網膜に強烈に焼きつく真紅色。何処か非現実的な雰囲気を纏いながら歌う彼女の存在感、強力なバンドの演奏によって、会場全体が一気にトランス状態へと巻き込まれていった。

 「S.S」と「△」の後、最初のMCタイム。「今日は来てくださってありがとうございます」と大胡田が挨拶したのに続いて、「去年の6月に『ONOMIMONO』を出して、下北沢でライブをやったんですけど、その時のお客さんは30人くらいでした。今日はこんなに集まってくれて。信じられない!」と、成田ハネダ(Key)が喜びの感情を露わにした。そして、再び演奏へ。まずは観客のタテノリのダンスを誘った「名前のない鳥」。さらには、緩急自在に展開しながら壮大に高鳴った「トロイメライ」、観客が掲げた腕が瑞々しいメロディに合わせて左右に揺らぐ様が壮観だった「プラスティックガール」……演奏の表現力が際立つ3曲が一気に披露された。

 「恵比寿リキッドルーム、個人的に憧れがありまして。水槽みたいな名前じゃないですか。わたし、熱帯魚と古代魚を飼ったことがあって。今年の夏から金魚を飼おうかと。今、水槽を立ち上げ中です。金魚を飼ってたことがある人は?」と、唐突にメンバーに問いかけた大胡田。すると「小2の時、金魚すくいで黒い出目金をすくって、飼ってたことがある。デメちゃんという名前で……」と、思い出を語った成田。そんなMCを経てスタートしたのは、金魚や夏祭りがモチーフとして散りばめられている「はいからさん」。軽快なリズムと、何処となく和の香りのするメロディが心地よい。続いて、「チャイナタウン」が、観客の激しいタテノリを誘う。そしてシンセサイザーの神々しい音色に彩られながら響き渡った「ワールドエンド」が、盛り上がりをさらに加速したのであった。

 「呂布くんとthe band apartがいなければ、今日のイベントはできませんでした。ありがとうございます。バンアパは、去年の8月に滋賀県の豊郷小学校でやった『聖地巡礼!!』(アニメ『けいおん!』の舞台のモデルになった小学校で行われた音楽フェス)に一緒に出たんです。原さんから「良かったよ」と声をかけられ、「明後日、家に遊びに来なよ」と。そういう押しの人、初めてでびっくり(笑)。それで遊びに行かせて頂いた時に「いつか2マンライブがしたいです」って言って。バンアパとパスピエを繋いだのは、92%くらい原さん(笑)」というエピソードを成田が語った後、いよいよライブは佳境へ。イントロの時点で激しい手拍子が起こった「シネマ」。バンドと観客が競い合うかのように熱い熱量を交わし合った「最終電車」で本編は締めくくられた。

 アンコールを求める声に応えてステージに戻ってきたメンバーたち。まず披露されたのは、なんとthe band apartのカバー「I love you Wasted Junks & Greens」。シャープに刻まれるビート、ステップを踏みながら歌う大胡田の佇まいが、いつものパスピエとはひと味異なる趣きを示す。各メンバーのソロプレイも交えて演奏が終了した時、観客は大喜びしながら拍手をした。「難しい(笑)。英語の歌詞も初めてだよね? 最後は僕らの曲で締めます。でも、その前にお知らせが。ワンマンツアーの追加公演が決定しました。全国も回ります。12月21日には赤坂ブリッツでやります。今日のこれじゃ足りないっていう人、ぜひ来てください。よろしく!」と成田が言い、最後に演奏したのは「電波ジャック」。華々しく高鳴るシンセサイザーの音色、強烈にパンチが利いているリズム隊、随所でスリリングなフレーズを繰り出すギター、ハンドマイク体勢でステージ上を巡りながら歌う大胡田の歌声を体感しながら場内の誰も彼もが全力で踊り、掛け声を上げる。清々しい昂揚感が広がるエンディングとなった。

 全曲の演奏を終えると、ステージを後にしたメンバー5人。彼らに向って観客は惜しみない拍手を送る。実力を鮮やかに示したライブであった。パスピエは紛れもなく現在乗りに乗っている。今年の夏フェスは勿論、年末のツアーも素晴らしい演奏を繰り広げるに違いない。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

演出家出演(初回限定盤)

演出家出演(初回限定盤)

2013年06月12日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. S.S
2.名前のない鳥
3.フィーバー
4.シネマ
5.ON THE AIR
6.くだらないことばかり
7.デ・ジャヴ
8.はいからさん
9.△
10.ワールドエンド
11.カーニバル

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お知らせ

■ライブ情報

パスピエ TOUR 2013 “印象・日の出”
2013/10/26(土)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
2013/10/27(日)名古屋・ell.FITS ALL
2013/11/02(月)東京・LIQUIDROOM
2013/11/27(水)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2013/11/28(木)仙台PARK SQUARE
2013/11/30(土)札幌DUCE
2013/12/10(火)広島Cave-Be
2013/12/11(水)高松DIME
2013/12/14(土)神戸VARIT.
2013/12/15(日)福岡Queblick
2013/12/21(土)東京赤坂BLITZ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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