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晴れ→大雨→晴れ。みんなで熱く一つになった馬場俊英のツアーファイナル日比谷野音。

馬場俊英 | 2013.07.26

 5月にリリースした2枚組オールタイムベストを引っ提げての全国ツアー“LIVE BEST 2013?ロードショーのあのメロディ”ファイナル。過去の野音は、いや野音だけじゃなく、過去の野外でのライヴは大雨だったり洪水だったり、雨男の馬場俊英である。しかし、この日はまずまずの天気。そんな中、ライヴは「明日へのフリーウェイ」から豪快にスタートした。ドラム、ベース、ツインギター、キーボード、ホーンという6人編成のバンドをバックに、馬場はアコースティックギターを掻き鳴らしながら力強く歌う。会場を埋め尽くしているのは20代?50代といった幅広い層の男女。中には60代とおぼしき人達の姿もある。が、もちろん年齢なんて関係ない。みんなしょっぱなから全力でノる。盛り上がる。馬場の楽曲は基本、アメリカンロックなので、解放的な野外がよく似合う。風に吹かれて聴く彼の曲達はまた格別だ。

 「久しぶりに野音に帰ってきました!」。3曲歌ったところで馬場が話し始めた。「今日はお天気が心配で、何回、気象庁のサイトにアクセスしたかわからないんですけど(笑)、暑すぎずちょうどいい天気で良かったです。この日比谷野音は“楽しんでもらう”というのがミッションなので、最後まで楽しんで盛り上げていきましょう!」
 MCを挟んだ後は「君はレースの途中のランナー」「青春ラジオ」。名曲「人生という名の列車」では、イントロ早押しクイズのようにイントロがちょっと鳴っただけでウォー!という大歓声が起こる。それにしても、さすがベスト・ツアー。放たれる曲、放たれる曲、どれもが代表曲で、贅沢な気分になる。これで盛り上がらないわけがない。
 中盤。馬場が「小さな頃のように」をじっくり歌い始めた……その時だった。空からポツポツと冷たいものが。雨だ! と思っているうちに、それはどんどん激しくなり、あっという間に土砂降りになってしまった。しかしここで目を見張ったのはお客さんの反応だ。慌てず騒がず各自バッグから雨合羽を取り出し、ササッと着込んでそのままライヴ臨戦態勢続行。その手際の良さといったら! そもそも天気予報は「晴れ」で、現にさっきまで晴れていたのに、それでも雨合羽を持ってくる……って(笑)。みんなどんだけ“馬場の野外=雨”をちゃ?んと心得ているんだ(笑)。“馬場さん、愛されているんだなぁ”と妙に感心してしまった。

 「強い雨になっちゃったねぇ。大丈夫? “大丈夫?”って言うしかないよね?」。MCで苦笑する馬場。だが明るいトーンで続けた。「今日はツアーのファイナルを一緒に祝おうと、友達が駆けつけてくれました!」。サプライズゲストの紹介。大歓声に迎えられて登場したのは、コブクロの小渕健太郎だ。「今日はありがとう」(馬場)「いえ、楽しみにしてきました」(小渕)「雨が降っちゃったけど……」(馬場)「いやっ、降ってないです! 何言ってるんですか馬場さん!(笑)」(小渕)。そして2人で放ったのは言うまでもなく、「三つ葉のクローバー」。9年前にイベントで一緒に歌うために馬場と小渕で共作し、今回のオールタイムベストにも新録・収録されている“ババコブ”曲である。2人のキラキラしたハーモニーが都会の雨空に広がっていく。すると、雨雲もそのハーモニーにやられたのか、雨は見る見るうちに小降りになり、続いてこの日ために作ったという“ババコブ”のスペシャルな新曲「風の中のエバーグリーン」が初披露され、歌い終わる頃には、土砂降りだった雨は奇跡のように上がっていた。「風が吹いて、曇りから雨になって、やんで、蒸して(笑)。たった2時間だけど、みんなといろんなものを共有した気がします」。後のMCで馬場もそう言っていたけれど、みんなで共有した様々な景色は野外ライヴならではの醍醐味に溢れていて、とてもドラマチックだった。

 後半は「平凡」から。ロングサイズのこの曲を一気にエネルギッシュに聴かせる馬場。湯気の向こうに人生が浮かび上がる「ラーメンの歌」では、馬場の歌に合わせてみんなが拳を上げながら「ラーメン!」と叫ぶ。力強い拳と生活感たっぷりの「ラーメン」という言葉の何とも言えないマッチングが楽しい。「勝利の歌」でさらに1つになり、本編はオールタイムベストのタイトルチューンであり、今ツアーのタイトルにもなっている「ロードショーのあのメロディ」で締めくくられた。

 アンコールでは再び小渕健太郎をステージに呼び込み、彼を交えてボーイズ・オン・ザ・ラン」を熱唱。会場中が両手を上げて“ピース! ピース! ピース!”。そしてラストは、“語られることのない無名の魂たち”を想い、綴られた「男たちへ女たちへ」。この曲が約10年前に生まれたエピソードを馬場は話した後、こんなことを言った。「僕は、野球が上手だとか何かが得意で有名だとか、そういう人もすごいと思いますけど、暮らしの中で頑張って生きている人って本当にすごいなって思うんです。これからも暮らしの中から歌を作っていきたいと思っています」。……そう、馬場俊英の歌には、スマートなヒーローは出てこない。出てくるのは、平凡な日常の中で一生懸命生きている人達。それは同時に、聴き手1人1人の姿でもある。しかもそこに注がれた馬場の視線があたたかいから、聴き手は歌に激しく共感しながら打たれ、打たれながら励まされ、“頑張ろう”と思えるのだ。大人になって、昔抱いていた夢とは違う現実を歩いている人は多いだろう。でもカタチは違っても大人だって胸の片隅に夢はある。それを照らしてくれるのが馬場俊英の歌。自ら挫折を経験し、それでも必死に前へ進んできた。そんな人生を歩んできた馬場俊英だからこそ、彼の歌には深みと優しさがあり、若者から大人まで納得させるリアルと説得力があるのだ。この日ここで歌われた「男たちへ女たちへ」も熱く泣きたいほどあたたかかった。“どうか負けないで欲しい 大人たちよ”という言葉がまっすぐ届いてきて、沁みた。沸き起こるシンガロング。感動的だった。
 音楽っていいなぁ……と、当たり前すぎて普段意識しないそのことを改めてしみじみと思った。この場に立ち会えたことを何かに感謝したくなるような、素晴らしいライヴだった。

 感動の余韻は、野音から数日経った今も、まだ醒めずに続いている。

【取材・文:赤木まみ】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 馬場俊英

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リリース情報

BABA TOSHIHIDE ALL TIME BEST 1996-2013〜ロードショーのあのメロディ(初回限定盤)

BABA TOSHIHIDE ALL TIME BEST 1996-2013〜ロードショーのあのメロディ(初回限定盤)

2013年05月15日

ワーナーミュージック・ジャパン

<THEATER1:ROAD MOVIE>
1. スタートライン (Album version)
2. いつか君に追い風が
3. 君の中の少年
4. ボーイズ・オン・ザ・ラン (2002 version)
5. 向かい風は未来からの風
6. 青春ラジオ
7. スニーカードリーマー
8. オセロゲーム (2013 version)
9. 平凡 (Edit version)
10. 悲しみよ、明日の星になれ
11. 君はレースの途中のランナー (Single version)
12. 働楽~ドウラク
13. 勝利の風
14. 弱い虫

<THEATER2:LOVE STORY>
1. ただ君を待つ
2. 一瞬のトワイライト
3. 三つ葉のクローバー
4. 今日も君が好き (Album version)
5. 小さな頃のように
6. 世界中のアンサー (Single version)
7. 明日の旅人 ~Live at 大阪城野音2010.06.27~
8. 君がくれた未来
9. 二十年後の恋
10. 鴨川
11. 待ち合わせ
12. 明日に咲く花
13. 遠くで 近くで
14. ロードショーのあのメロディ (2013 version)

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お知らせ

■ライブ情報

BABA TOSHIHIDE LIVE TOUR 2013 秋冬
2013/10/27(日)宮城 せんだいメディアテーク
2013/11/09(土)滋賀 野洲文化ホール
2013/11/16(土)京都劇場
2013/11/17(日)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
2013/11/23(土)名古屋 名鉄ホール
2013/11/24(日)東京 中野サンプラザ
2013/11/30(土)名古屋 Zepp Nagoya
2013/12/01(日)広島 NTTクレドホール
2013/12/07(土)福岡 イムズホール
2013/12/08(日)香川 高松オリーブホール
2013/12/14(土)札幌 フィエスタ

馬場俊英 LIVE TOUR 2013 Premium FINAL
2013/12/21(土)大阪 フェスティバルホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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