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ツアー連載4回目!10月31日、今年のハロウィンスペシャルは渋谷公会堂

藤井フミヤ | 2013.11.13

 ライブの序盤、フミヤは言った。「30周年のツアーだから、昔の歌もたくさん歌います。いいこともヤナこともいっぱい思い出してください」。そう、今日はたくさん思い出す日なのだ。
 僕は幸運なことに、藤井フミヤとデビュー直前に出会っている。期待の新人バンドとして出演した合歓の郷の野外ステージで初めてライブを観て、チェッカーズの仕事に関わることにした。以来、ソロになってからもずっとフミヤの活動に接することができた。
 この日、オープニング曲で尚之がコーラスに加わった瞬間、チェッカーズのサウンドの要のひとつはこのハーモニーだったとハッキリ思い出した。今まで何回もフミヤ&尚之の兄弟ハモを聴いてきたはずなのに、この日はやけにくっきりとそれを思い出したのは、きっとフミヤ自身も思い切り“思い出モード”になっていたからだろう。よく「匂いは記憶を呼び覚ます」と言うが、これほど鮮やかに音で思い出がよみがえる経験は僕にとっても稀なこと。嬉しいショックの中、ライブは進んでいく。

 とはいえ、今、目の前で歌っているフミヤは、2013年のフミヤだ。音楽シーン屈指のエンターテイナーとして30年間に渡って君臨してきた彼は、その間に蓄えたロックンロールやブラック・ミュージッ クの表現を惜しみなく繰り出す。ドラムス屋敷豪太とベース有賀啓雄が生む強力なグルーヴを、ダンスで完璧に表現する。そのボディコントロールの冴えは、若いシンガーの追随を許さない。
「今回のツアーでは20年モノ、25年モノの曲を歌ってますけど、そんなに古い感じがしませんね」とフミヤ。彼が生命力の強い歌を作り、歌ってきたのは確かだが、それ以上にフミヤが移りゆく時代に合わせて歌やアクションのニュアンスをアップデートしていることも確かなことなのだ。

「俺らの年齢になると、ハロウィンはピンと来ない。俺らの時代には、ハロウィンは日本でそんなに定着してなかった。今日、渋谷の街はお化けでいっぱいでしょ。今日、見かけた中でいちばんかっこよかったのは、109(マルキュー)の前の電柱に寄りかかってタバコ吸ってたヤツ。普通にスーツを着てるんだけど、手も顔も全部ホータイしてた。透明人間なんだよね」と、フミヤ。いかにもフミヤが好きそうなお化けがいたものだ。彼のセンスは30年間、ずっとハイなまま。街中に仮装した人たちが溢れかえった2013年10月31日のフミヤは、まだまだ遊ぶ気満々。客席にも今日はハロウィン仕様のオーディエンスがたくさん来ている。ファンも遊ぶ気満々なのだ。

 次に思い出したのは、尚之がサックスを吹いた時だった。尚之はバンド時代、80年代に大活躍したスタジオ・ミュージシャンのサックス奏者、ジェイク・コンセプションをとてもリスペクトしていた。この日、渋谷公会堂に響いたのは、そのジェイクの音色だった。昔の曲のイントロでは、尚之のサックスが数多くフィーチャーされている。それは完全にバンドのカラーになっていた。そのことを思い出したのだ。尚之にそのことを聞いてみると、「今回のツアーでは、当時の音色を意識的に再現してます。だから楽器も、当時のサックスを使ってます」と教えてくれた。本当に憎いまでのミュージシャンシップだ。
 さらに後半、尚之がバリトンサックスを吹くと、そのサウンドが僕の何かを強く揺さぶった。そう、思い出した。この楽器は、当時の仕事仲間でお金を出し合って、尚之にプレゼントしたものだった。あまりお金がなくて、毎日、カレーばっかり食べていた尚之は、それでもバリトンを欲しがっていた。なので、みんなでプレゼントした。その楽器を今も大事に使っている尚之は、やはり素敵な“弟”なのだ。

 まったくもって、思い出ずくめのライブだ。オーディエンスもきっとそれぞれの記憶を蘇らせているのだろう。ライブの本編が終わって、少しだけセンチメンタルになっていると、アンコールにはとびきりのジョークが待ち構えていた。アンコールの拍手の中、ステージの暗闇に何者かがうごめいている。
 屋敷豪太は、赤シャツに青いオーバーオールのマリオ。アフロヘアの尚之は、原始人。ギターの友森昭一は、ムキムキのテリーマン風マッチョ男。もう一人のギター石成正人は、フードを深くかぶった謎のマスク男。キーボードの松本圭司は、スキニーなコスチュームのスパイダーマン。有賀啓雄は、馬のかぶりものをつけた馬面ドクター。前がまったく見えない有賀は、スタッフに手を引かれて入場してきたから、場内は大爆笑。そしてフミヤは、ガンを手にした黒マントのバンパイア姿で現われた。
 バンド時代のライブでもたびたびサプライズがあったが、フミヤの遊び心はその頃からまったく変わっていない。それにしても久々のヤンチャぶりに、ファンは大盛り上がりだ。しかも始まったのは、調子っぱずれな音程の「TRUE LOVE」で、それをフミヤが「HORROR LOVE」と紹介すると、ファンは抱腹絶倒で狂喜する。♪振り返ると♪という歌詞が、フミヤの背後にお化けのメンバー がたくさんいるから、それにハマって笑うしかない(笑)。
 メンバーはその格好で、アンコール曲を真面目に演奏。フミヤは「あなたたち、よくそれで演奏できますね」と笑い出した。メンバー、お疲れ様っ!!!

「また遊ぼうぜ!」と、いつもの別れの挨拶。そう、これも昔からずっと続くフミヤのキメ台詞だったことを思い出した。遊び心をずっと貫いてきたフミヤならではの、ハロウィン×青春思い出スペシャルライブは、こうして幕を閉じたのだった。

【取材・文:平山雄一】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 藤井フミヤ

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リリース情報

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2013年07月10日

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1.青春
2.GO BACK HOME
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■ライブ情報

藤井フミヤ 30TH ANNIVERSARY TOUR
vol.1 青春

2013/09/21(土)神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2013/09/22(日)神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2013/09/26(木)大阪 岸和田市立浪切ホール
2013/09/28(土)香川 サンポートホール高松
2013/09/29(日)広島 広島アステールプラザ
2013/10/04(金)福岡 石橋文化ホール
2013/10/06(日)埼玉 狭山市市民会館
2013/10/11(金)秋田 大仙市大曲市民会館
2013/10/12(土)宮城 東京エレクトロンホール宮城
2013/10/14(月・祝)栃木 佐野市文化会館
2013/10/19(土)滋賀 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
2013/10/20(日)兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
2013/10/23(水)埼玉 三郷市文化会館
2013/10/26(土)長野 塩尻市レザンホール
2013/10/27(日)静岡 静岡市清水文化会館 マリナート・大ホール
2013/10/31(木)東京 渋谷公会堂
2013/11/01(金)三重 三県総合文化センター
2013/11/03(日・祝)新潟 柏崎市文化会館アルフォーレ
2013/11/04(月・休)石川 本多の森ホール
2013/11/09(土)神奈川 伊勢原市民文化会館
2013/11/10(日)東京 中野サンプラザ
2013/11/16(土)兵庫 姫路市文化センター
2013/11/17(日)熊本 市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
2013/11/23(土・祝)大阪 オリックス劇場
2013/11/24(日)大阪 オリックス劇場
2013/11/30(土)奈良 なら100年会館
2013/12/01(日)愛知 名古屋国際会議場 センチュリーホール
2013/12/05(木)山梨 コラニー文化ホール
2013/12/07(土)千葉 市川市文化会館
2013/12/08(日)千葉 市川市文化会館
2013/12/14(土)大阪 フェスティバルホール
2013/12/15(日)大阪 フェスティバルホール
2013/12/19(木)大阪 堺市民会館
2013/12/21(土)鹿児島 宝山ホール(県文化センター)
2013/12/22(日)福岡 福岡サンパレス

藤井フミヤ 30周年
スペシャルカウントダウンライブ

2013/12/31(火)日本武道館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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