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吉井和哉の10周年公演、圧倒的な音楽と熱気に包まれた夢のような一夜!!

吉井和哉 | 2013.12.24

 SE「AT THE BLACK HOLE」が流れる中、登場したジュリアン・コリエル(G)、ポール・ブシュネル(B)、ジョシュ・フリーズ(Dr)、日下部正則(G)、鶴谷崇(Key)、YOSHII LOVINSONこと吉井和哉。幻想的なかがり火に照らされたステージ上は薄暗くてよく見えないが、観客の期待が最大限に高まっているのが周囲の空気から伝わってくる。そして、「20 GO」のイントロが始まると、ステージ上で一斉に数を増したかがり火。真っ赤な炎に彩られながら一心に歌い上げられたメロディ、力強く響き渡るバンドサウンドがゾクゾクするほど心地よい。何やら夢でも見ているような異世界を体感したオープニングであった。

 「PHOENIX」と「黄金バッド」をさらに演奏した後、最初のインターバル。「お久しぶりです。YOSHII LOVINSONです。今夜はアメリカの親友たち(ジュリアンとポールとジョシュ)がやって来てくれました。彼らも日本のオーディエンスの前で演奏するのを楽しみに来たので、みなさんも楽しんで帰ってください。それでは、久しぶりの曲が続きますよ」と吉井はMCで語ったが、以降、まさしくその通りとなった。ジョシュの力強いカウントを合図にスタートした「JUST A LITTLE DAY」を皮切りに、「WANTED AND SHEEP」や「RAINBOW」が続き、最近も頻繁に演奏される「CALL ME」などを披露しつつも、久々のYOSHII LOVINSONの曲が次々届けられていく。観客が息を呑んで聴き入った「SADE JOPLIN」と「FALLIN’ FALLIN’」を経て、ドライヴ感に満ちた熱いサウンドが会場全体をダイナミックに揺さぶった「SPIRIT’S COMING(GET OUT I LOVE ROLLING STONES)」、「NATURALLY」、「欲望」。バンドが一丸となり壮大なクライマックスへと雪崩れ込んだ「恋の花」。哀愁を帯びた艶めかしいサウンドが猛烈に美しかった「SWEET CANDY RAIN」……などなど、これらの曲の間にMCを挟むことなく、ひたすら演奏し続ける構成は圧倒的なものであった。

 「TALI」や「FOR ME NOW」で観客を熱く盛り上げた後に突入した「MUDDY WATER」の曲の途中ではメンバー紹介が行われた。「オハヨー、サイタマ! オゲンキデスカ? アイタカッタ! アナタタチ、イツモサイコウ!」とジュリアンが挨拶すると、客席全体から和やかな笑い声が上がった。そんな場面を経て演奏が再開され、清々しい幕切れを迎えた時、観客は大きな拍手をステージへ送った。続いて演奏されたのは、吉井和哉の曲である「点描のしくみ」。ライティングは落ち着いたトーンのものだったそれまでの曲と趣きを変え、レーザービームも飛び交う華やかなものへと切り替わった。吉井はタンバリンを叩きながら歌い、軽快にステップを踏む。そして「ビルマニア」へ。共に歌う観客の声も響き渡り、素晴らしい盛り上がりとなった。

 「今日の『YOSHII LOVINSON SUPER LIVE』、『ジョン・レノン・スーパー・ライブ』をパクらせてもらいました(笑)。半分冗談でつけたタイトルなんですけど、僕がソロで初めてステージに立ったのが2001年にここ(さいたまスーパーアリーナ)でやった『ジョン・レノン・スーパー・ライブ』だったんです。その時は久しぶりの人前で、どうふるまったらいいのか分からなくて。12年経って、ここにたくさんの人が来てくれるなんて夢のようです。アメリカ人のミュージシャンも、他のみんなにも感謝しています。この10年、いろんなことがありました。震災後のツアー、ジュリアンが来てくれるはずだったんです。ジュリアンは来たがっていました。そのことは今日、伝えたかったです。お世辞抜きで、このミュージシャンたちは日本が大好き。ポールは昨日、1人で新幹線に乗って京都へ行ったんだよ。今日はYOSHII LOVINSONの曲ばかり。これでロヴィンソンも最初の炎と一緒に燃え尽きたんじゃない?(笑)。今年が終わるといろんな吉井が合体して、来年には“スーパー吉井和哉”なるんじゃないでしょうか。では、『WHITE ROOM』から今日にふさわしいこの曲を」という言葉を添え、本編ラストに披露されたのは「WHAT TIME」。歌い上げられる言葉の数々が今日のライブの意味を物語っているように感じられ、耳を傾けていると思わず胸が熱くなった。

 アンコールの1曲目は、吉井がアコースティックギターを弾いて歌い始めた「BLOWN UP CHILDREN」。バンドメンバーの演奏が合流し、ダイナミックな音像を溢れ返らせる展開が圧倒的だった。続いて「ノーパン」「ルビー」「ALL BY LOVE」も披露され、観客は興奮を露わにして身体を揺らす。そして、ラストを飾ったのは「トブヨウニ」。客席全体で人々が曲に合わせて振り上げる腕が激しく揺れる。そんな光景を嬉しそうに眺める吉井の表情が、ステージ後方の大型ビジョンに一瞬映し出されたのが印象深い。とても幸せそうな笑顔だった。演奏が終了し、吉井が「ありがとう、ロヴィンソン!」と言った時、観客は一斉に心のこもった大きな拍手を送った。そんな熱気に包まれながら吉井は改めてバンドメンバーの1人1人を紹介し、ステージから去っていった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:MITCH IKEDA】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 吉井和哉

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リリース情報

AT THE SWEET BASIL

AT THE SWEET BASIL

2013年12月18日

EMI Records Japan

1.20 GO
2.CALL ME
3.夢は夜ひらく(カバー)
4.血潮
5.BEAUTIFUL
6.SWEET CANDY RAIN
7.MY FOOLISH HEART

セットリスト

10th Anniversary YOSHII LOVINSON SUPER LIVE
2013.12.7@さいたまスーパーアリーナ


SE.AT THE BLACK HOLE
  1. 20 GO
  2. PHOENIX
  3. 黄金バッド
  4. JUST A LITTLE DAY
  5. WANTED AND SHEEP
  6. RAINBOW
  7. CALL ME
  8. SADE JOPLIN
  9. FALLIN’ FALLIN’
  10. SPIRIT’S COMING (GET OUT I LOVE ROLLING STONES)
  11. NATURALLY
  12. 欲望
  13. 煩悩コントロール
  14. 恋の花
  15. SWEET CANDY RAIN
  16. TALI
  17. FOR ME NOW
  18. MUDDY WATER
  19. 点描のしくみ
  20. ビルマニア
  21. WHAT TIME
Encore
  1. BLOWN UP CHILDREN
  2. ノーパン
  3. ルビー
  4. ALL BY LOVE
  5. トブヨウニ

お知らせ


2013/12/28(土)
20th Special YOSHII KAZUYA SUPER LIVE

マリンメッセ福岡会場にて入会&継続キャンペーン実施!

[441108.com]
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