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パスピエの初ワンマンツアー追加公演・赤坂BLITZをレポート!

パスピエ | 2014.01.15

 ステージ全体を覆っている紗幕に投影されたオープニング映像。CDジャケットのアートワークなどでお馴染みの大胡田なつき(Vo)が描いた女性のイラストが様々な姿を示し、待ちわびた人々の期待は急速に高まる。そして、演奏を始めたメンバーたちのシルエットが紗幕の表面に浮かび上がると観客の興奮はいよいよ最高潮! ついに幕が開き、「S.S」がスタートした。眩しいライトで照らし出されたステージ上から華々しくサウンドが放たれ、力強くステップを踏みながら歌う大胡田が観客をどんどん巻き込んでいく。会場全体は瞬く間に熱気に包まれた。

 ますます人々を激しく踊らせた「デモクラシークレット」。懐中時計、糸電話で会話をする2人の女性など、様々なイラストが躍動する映像が背景に流れ、サウンドと融合しながら幻想的な空間を作り上げた「トロイメライ」。立て続けに強力なナンバーが放たれた後、最初のインターバル。「今晩は。パスピエです。外は寒いけど温まってきました?」、大胡田が観客に語りかける。「今日はいろんな仕掛けがあるので楽しんでいってください!」と成田ハネダ(Key)も挨拶をして、再び演奏へ。「あきの日」と「ON THE AIR」の瑞々しいメロディが、観客を優しく包み込む。「名前のない鳥」は、走る女性を描いた映像がバンドサウンドと美しくシンクロ。躍動感に溢れつつも何処か寂しげでもある絵柄が、叙情的なメロディを豊かに際立させる……これ以降も様々な曲と共に映像が流れたが、聴覚と視覚の両面を刺激しつつパスピエの音楽を噛み締めるというのは、実に贅沢で楽しい体験であった。

 「くだらないことばかり」と「とおりゃんせ」の後、三澤勝洸 (G)、 露崎義邦(B)、やおたくや(Dr)によるセッションがスタート。スリリングなプレイが連発される毎に観客は大喝采を送る。熱いサウンドを体感したひと時を経て、ライブは後半戦へと突入していった。まずは「△」と「デ・ジャヴ」によって、フロアの気温は急上昇。そして、「いつかワンマンで歌いたいと思っていた曲です。パスピエで初めて歌った、伝説の始まりの歌です」と大胡田が語ってからスタートしたのは「開花前線」。洗練された綺麗なメロディが会場全体を1つにする。続いて「はいからさん」と「フィーバー」も演奏され、観客はますます汗だくになりながら踊った。

 「ここに立っているとみんながよく見えるんです。一緒に歌ったりしてくれてるじゃない? それを感じると、とても幸せだと思います。みなさんと一緒にライブができて幸せです!」、大胡田がステージに立つ喜びを語り、突入した終盤戦も強力なナンバーの連続となった。踊る人々がひしめき合うフロアの風景が実に幸福そうだった「シネマ」。ドラマチックなメロディをバンドが一丸となって奏で、凄まじい手拍子を誘った「ワールドエンド」。エキゾチックなメロディとシャープなダンスビートが観客のアドレナリン分泌を果てしなく加速した「チャイナタウン」。そして、本編を締め括ったのは「最終電車」。サウンドは最高にグルーヴィー。しかし、涙腺を刺激する透明なメロディも果てしなく溢れ返っていく。会場全体は「泣き踊り」とでも表現するべき独特な興奮で包まれた。

 アンコールを求める観客の手拍子に応えてステージに戻って来たパスピエ。メンバー紹介や、「とおりゃんせ」の配信開始、自主企画イベントの2マンライブ『印象C』を4月に東名阪で開催することなどを成田が発表した後、演奏がスタートした。力強いタテノリのダンスを誘った「脳内戦争」。激しく叫びながら踊る観客の熱気が演奏を彩り、華々しいエンディングへと雪崩れ込んでいった「電波ジャック」。2曲を披露した後、手を振りながら再びステージから降りたメンバーたち。しかし、観客の拍手と歓声は全く止む気配はなく、ダブルアンコールが行われることになった。

 「ダブルアンコールをありがとう! ステージに戻って来るのが早いと思ったけど、待ちきれなくて出ちゃった(笑)。パスピエは結成して来年で5年目。最初は小さいライブハウスで、お客さんがいなくて。でも、信じてやってきて。こういう景色が見られるのが幸せです。これからもライブを続けて曲も作ります。来年以降も応援してください!」と想いを語った後、「来年の意気込みを!」と大胡田を促した成田。「パスピエはまだまだ成長期でいきます!」と大胡田が力強く宣言すると、観客の間から大きな歓声が上がった。そして、いよいよラストの曲の演奏へ。「アルバムの最後の曲で締めたいと思います」と成田が言い、スタートしたのは「カーニバル」。掲げた腕を揺らしつつ耳を傾ける人々の姿を眺めながら、メンバーたちは実に気持ち良さそうに演奏をしていた。エンディングを迎えた時、会場全体を震わせた圧倒的な拍手と歓声。清々しい余韻を噛み締めつつ、パスピエの5人はステージから去っていった。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル パスピエ

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リリース情報

演出家出演(初回限定盤)

演出家出演(初回限定盤)

2013年06月12日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. S.S
2.名前のない鳥
3.フィーバー
4.シネマ
5.ON THE AIR
6.くだらないことばかり
7.デ・ジャヴ
8.はいからさん
9.△
10.ワールドエンド
11.カーニバル

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お知らせ

■ライブ情報

パスピエ presents 「印象C」
2014/04/17(木)名古屋・CLUB QUATTRO
2014/04/18(金)大阪・BIG CAT
2014/04/21(月)東京・SHIBUYA-AX

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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