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横浜アリーナを包み込んだ、きゃりーのマジカルワンダーキャッスル!

きゃりーぱみゅぱみゅ | 2014.01.29

 アルバム『なんだこれくしょん』を引っさげ、21都市23公演というスケジュールで行われた『なんだこれくしょんツアー?きゃりーぱみゅぱみゅの宇宙シアター?』では、『きゃりーぱみゅぱみゅの宇宙シアター』というパンフレットが事前に配布された上で、ミュージカル風ライヴを魅せてくれたきゃりー。KISSのようなメイクと衣装の悪役風な出で立ちのスーパークール大臣と、大きな猫のお化け・キューンと共に、夢を届けてくれたその時間は、単なるライヴに止まることのない、そこにしかないきゃりーぱみゅぱみゅの世界だった。

 そんな彼女が今回挑んだのは、自身最大規模となる横浜アリーナ。しかも、2daysである。ナント、動員数は、2日間で2万4千人。いまや、日本国民のすべてが彼女の名を知っているであろうというその現実を、改めて実感させられた、老若男女が集う最高にハッピーな場所であったと言える。

 オルゴール風にアレンジされた「もったいないとらんど」が流れる場内には、きゃりーのコスプレをした女の子たちや、ちっちゃな子供を囲んだ若い夫婦や、おじいちゃんおばあちゃんも一緒に参戦しようとやってきた大家族や、サラリーマンやOLと、とにかく幅広い層のファンが集まっていた。そんなお客さんたちを、開演前から退屈させないために、ステージには、この日のSHOWを盛り上げてくれるのであろう動物たちが、それぞれのパフォーマンスで空気を和ませていた。いつの間にか、慌ただしい日常を忘れ、その場に漂うほっこりとした空気と情景に、心が童心へと戻っていくのを感じた。

 そんなピースな空気に包まれていた場内は、コンサートの始まりと共に、一瞬にして暗雲に包み込まれてしまった。ステージにそびえ立つお菓子の国のような【マジカルワンダーキャッスル】は、悪の呪いに呑み込まれ、幸せそうに遊んでいた動物たちも、ステージから一斉に姿を消してしまったのである。どうやら、悪い魔法使いである“ジュモーヌ”のかけた呪文によって、マジカルワンダーキャッスルは占拠されてしまったようだ。

 お城の中には、このお城のプリンセスであるきゃりーぱみゅぱみゅが居るのだと言う。

 と、次の瞬間。「ファッションモンスター」が響きわたり、空から騎士風の衣装に身を包んだ、きゃりーぱみゅぱみゅ扮するナイトがいきなりのワイヤーアクションで登場し、お城を守るべく闘い始めたのであった。

 ド頭からワイヤーアクションとは、実に斬新である。その壮大なステージングに、客席からは大きな歓声が上がっていた。

 きゃりーはその後、一輪車で花道の先端まで移動すると、「キミに100パーセント」をキュートなダンスと歌でキッチュに魅せると、この日初めてのMCを取った。

「みなさ?ん。今日は『きゃりーぱみゅぱみゅのマジカルワンダーキャッスル』にお越し頂きましてありがとうございます! ステージが広かったので、お城をテーマにライヴを作ってみました! ライヴを見るというより、テーマパークで遊んでいるという感覚で楽しんで頂けたらと思います!」

 いままでは、平面を重ねたステージセットも、今回は立体にこだわったという。本格的な建造物となってステージにそびえ立ったマジカルワンダーキャッスルの存在は、私たちをすっかり夢の国へと誘ってくれたのであった。

 きゃりーは、MC後も、お城を守ろうと必死で剣をふりかざし、悪者たちと闘い、お城を暗雲に閉じ込めた呪文を見事に取り除いたのだった。

 勇ましく剣を構え、空へと帰っていったナイトに扮したきゃりーは、次のブロックでは、このお城のプリンセスとなって登場。柔らかな水色の光沢のあるドレスと大きなティアラ姿で現れたきゃりーに大きな歓声が上がった。 きゃりーを先頭に、蛍光色のタイツに白いチュチュを身に付けた“妖精ポイパポイパ”に扮したきゃりーキッズ(※きゃりーの後ろで躍る子供バックダンサー)たちが1列になって花道へと歌いながら向かった「Super Scooter Happy」では、パステルカラーがとても可愛くステージをより華やかに彩った。一緒に躍って歌える曲も歌ももちろん、ダンスも、演出も構成も、きゃりー自身がアイディアを出してデザインしているという衣装も、すべての視覚的なアプローチを含め、その1つ1つのこだわりが、きゃりーぱみゅぱみゅの世界を作り上げているのである。

 パステルカラーのマジカルワンダーキャッスルの前で届けられた、彼女の代表曲でもある「CANDY CANDY」では、イントロで大歓声が上がったほどの盛り上り。間髪入れず届けられた「きゃりーANAN」「インベーダーインベーダー」では、オーディエンスも一緒に躍ってステージを盛り上げたのだった。

 マジカルワンダーキャッスルは、すっかり平和を取り戻した。

 と、思った矢先。きゃりーが「つけまつける」をオーディエンスと共に躍って楽しんでいると、会場に銃声が鳴り響いた。悪の根源“デビルプラネッツ”の手下によって、きゃりーが打たれてしまったのだ。一瞬静まり返る場内。胸から血を流し、ステージに倒れ込んだきゃりー。きゃりーの名を一生懸命呼んでいた子供たちの声がとても印象的に響いた。

 そんな声がきゃりーに届いたのか、きゃりーは、何ごともなかったかのようにムクッと立ち上がり、「つけまつける」の続きを元気に歌い出したのである! この演出は、今回のライヴの演出の中で、彼女が特にこだわった部分でもあり、“不死身のきゃりーぱみゅぱみゅ”を表現したかったのだと言う。そこにはきっと、きゃりーの切なる想いが込められていたに違いない。  “花のバイオリン奏者”によって奏でられた美しい旋律は、やがて「にんじゃりばんばん」へと形を変え、ステージは、ストーリーのラストへと繋がれていった。忍者とデビルプラネッツが闘う中、花道の先端からせり上がって登場したきゃりーは、光を発する衣装で登場し、オーディエンスを楽しませた。

 ちょっぴり大人になったきゃりーを感じさせた「おとななこども」を届けた後は、「PONPONPON」を挟み、大ラスを飾った「もったいないとらんど」まで一気に駆け抜け、オールキャストで本編を締めくくったのだった。

 アンコールでは、2度目のワールドツアー『NANDA COLLECTION WORLD TOUR 2014』を発表し、2月13日からアメリカのシアトルを皮切りに、11カ国と地域・16公演に旅立ってくることを報告したのだった。

 さらに世界を目指すきゃりーに大歓声を贈るファンたち。きゃりーは、そんな愛すべきファンたちに、2月26日にリリースされるニューシングル「ゆめのはじまりんりん」をいち早く歌い、この日のプレゼントとしたのだった。いままでの彼女の楽曲とは、少しテイストが異なるこの曲は、新たなきゃりーの魅力を引き出した、背中をそっと押されるメッセージソングだった。

 ラストはお馴染みの「ちゃんちゃかちゃんちゃん」。再びオールキャストがステージに揃った賑やかなフィナーレでは、マジカルワンダーキャッスルの上に大きな虹がかかっていたのだった。

 5月17日18日にはZepp Tokyoに帰ってくるきゃりーぱみゅぱみゅ。今回のワールドツアーでは、どんな成長を持ち帰ってきてくれるのだろう。3ヵ月後、さらに成長した彼女に逢える日が、今から楽しみでならない。

【取材・文:武市尚子】
【撮影:aki ishii】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル きゃりーぱみゅぱみゅ

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リリース情報

ゆめのはじまりんりん【初回限定盤】(CD+DVD)

ゆめのはじまりんりん【初回限定盤】(CD+DVD)

2014年02月26日

ワーナーミュージック・ジャパン

[CD]
1. ゆめのはじまりんりん(CHINTAI CMソング)
2. スローモ(ALOOK CMソング)
3. もったいないとらんど ?extended mix-
4. ゆめのはじまりんりん ?instrumental-
5. スローモ ?instrumental-
[DVD]
1. にんじゃりばんばん ふりつけビデオbyきゃりーダンサー

お知らせ

■ライブ情報

NANDA COLLECTION WORLD TOUR 2014
2014/02/13(木)シアトル / Showbox at the Market
2014/02/15(土)サンフランシスコ / The Regency Ballroom
2014/02/16(日)LA / Club Nokia LA Live
2014/03/5(水)シカゴ / House of Blues
2014/03/7(金)トロント / Sound Academy
2014/03/8(土)NY / Best Buy Theater
2014/03/23(日)シドニー / Metro Theatre
2014/04/05(土)香港 / ROTUNDA 3, KITEC
2014/04/25(金)パリ/ Bataclan 
2014/04/27(日)ケルン / Gloria
2014/04/29(火)ロンドン / Shepherd’s Bush Empire
2014/05/17(土)東京 / ZEPP TOKYO
2014/05/18(日)東京 / ZEPP TOKYO
2014/05/30(金)台北 / Taipei International Convention Center
2014/06/21(土)シンガポール / 会場未定
2014/06/28(土)バンコク / Bangkok Convention Centre, Central Plaza Ladprao (BCC HALL)

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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