lego big morlから“LEGO BIG MORL”にバンド名の表記を変更後、初となるツアー「LEGO BIG MORL Spring Tour 2014“Something New”~雪辱編~」。じつはこのツアーは去年の同じ時期に行われる予定だったのだが、タナカヒロキ（G）の不慮の事故により公演中止となった。活動休止を余儀なくされた彼らは、バンドの新たなサウンドを模索すべく楽曲制作に集中し、今年1月に新曲「Wait？」を発表。さらに自主企画イベント「lego big morl“Thanks Giving”vol.5 supported by TOWER RECORDS」（ゲストバンド/flumpool）によって、約1年ぶりにライブ活動を再開する。その後、全国各地のフェス/イベントに出演、4／30（水）にはニューシングル「RAINBOW」のリリースも決定――つまり今回のツアーは“新しいLEGO BIG MORLをステージで体現する”という、きわめて大きな意味を持っていたのだ。

　テクノ、エレクトロ系のＳＥに導かれ、メンバー4人が登場。まずはオープニングナンバーの「Wait？」が披露される。ダンスミュージックのテイストを取り入れたバンドサウンドとともに「限られた時間だ／笑って死ねるように！」という歌詞が響き渡り、オーディエンスの興奮を生み出していく。さらにニューシングル「RAINBOW」の収録曲「絶望は希望よりも美しい」へ。この曲から感じられる、しなやかでエモーショナルなバンドグルーヴは、LEGO BIG MORLの新たな武器と言っていい。

　「去年と同じ日、同じハコ（会場）でライブをやることが出来ました。新しい曲をいっぱいやります！」（カナタタケヒロ）というMCのあとは、やはり新曲の「Star+？」。“Something New”というタイトル通り、とにかく新しい自分たちを見せるんだという気持ちがまっすぐに伝わってくる。

　「Ray」「バランス」「ドリルドリル」といった代表曲も強く印象に残った。意外性に位置が楽曲展開、卓越した演奏テクニックに支えられたトリッキー＆ダイナミックなバンドサウンド、そして、しっかりと抑制を効かせつつ、サビのパートで一気に解き放たれるメロディ。このバンド本来の特性がさらにストレートに示されていたのだ。この1年間、“自分たちがやるべき音楽とは？”“LEGO BIG MORLらしさとは？”という根本的なテーマと向き合っていた彼ら。その成果はこの日のステージからもはっきりと感じられた。ステージの前に進んで観客を煽り、金髪を振り乱しながらシャープなフレーズを放ちまくるタナカ。骨太のベースラインで楽曲のボトムを支えるヤマモトシンタロウ。ずっしりとした重厚感と心地よいスピード感を融合させせたビートを響かせるアサカワヒロ。そして、ドラマティックなメロディラインで観客の感情を揺り動かすカナタ。4人が生み出すアンサンブルは、現在のバンドシーンのなかでもはっきりと際立っている。

　そして、この日のクライマックスはニューシングルの表題曲「RAINBOW」だった。アグレッシブかつダンサブルなベースラインを軸にしたこの曲は、まさにLEGO BIG MORLの新機軸。独特のトランス感とともに上昇していくバンドサウンド、そして、“絶望の向こうには必ず希望の光が射す”というメッセージを含んだ歌。虹色のレーザーライトが照らし出す会場のなかで、観客がサビのフレーズを歌い上げる――このときの光景は、LEGO BIG MORLの新しいスタートを象徴していたと思う。

　アンコールのラストでも新曲を披露（ジョン・ボーナムを想起させる爆発的なビートと洗練されたギター・アレンジがひとつになったアッパーチューン。カッコいい！「またこうやってワンマンが出来て良かった！」（カナタ）と喜びを爆発させた彼ら自身も、大きな手ごたえを感じていたようだ。メンバーの怪我による1年間の活動休止状態というアクシデントを経て、LEGO BIG MORLは新たなピークに向かって突き進んでいく。そんな実感が真っ直ぐに伝わってくる、素晴らしいライブだった。

【取材・文：森朋之】