ワンマンのチケットはことごとく即完売、秋には海外デビューも決定……と、モンスターバンドに成長しつつあるMAN WITH A MISSION。まぁ、頭はオオカミ、体は人間という究極の生命体である以上、そもそもがモンスターバンドであるわけだが――。そんな彼らが本領を発揮するのは、やはりライブ。3月にリリースした3rdアルバム『Tales of Purefly』を掲げ、“MAN WITH A MISSION Tales of Purefly Tour 2014”で全国行脚中の彼らのステージを、5月31日の幕張メッセでキャッチしてきた（ファイナルは6月13日の沖縄ナムラホール）。幕張メッセと言えば、大型フェスが開催されることでも知られる聖地。彼らは、そこに集まった2万3千人ものオーディエンスを集め、貫禄十分のパフォーマンスを見せたのである。しかも、ファンが作り出す一体感も非常に熱い。開演が近づくと、自然発生的に手拍子が起こり、ワクワク感がふくらんでいく。場内の照 明が落ち、まずはアルバム・コンセプトに基づいたアニメ映像が上映される。実は『Tales of Purefly』というアルバムには、壮大でファンタジックなコンセプトがあるのだ。3人の子ども達と“Purefly”をさがす旅に出るMAN WITH A MISSION――この日のライブは、この広い会場を使い、存分にその世界観を表現したものになった。ステージにマントをまとったメンバーが登場すると、 観客全員に配布されたリストバンドのLEDライトが光り始める。大規模会場ならではの演出にテンションは一気に高まり、『Tales of Purefly』のオープニング曲「tales of purefly」から本編がスタート。アルバム曲のあいだには、ライブの定番ソングが絶妙に挟み込まれ、ファンのニーズにもうまく応えた構成だ。

「マクハリー！　タノシンデマスカ？　ツイニコノ日ガキテシマイマシタ！　何人イルカ、ワカリマスカ？　2万3千人ダソウデス！　コンナニ集マッ テクレテ、アリガトウゴザイマス！」

　最初のMCで、唯一人間の言葉を話せるJean-Ken Johnny(G＆Vo)が、大観衆に向けて語りかける。しかし直後には、「ヤレル準備ハデキテイルノカ！　コノヤロー！　カカッテコイヤ?！」と煽り、「Wake Myself Again」へ。ここでストリングス隊が登場し、サウンドのダイナミクスがグンとアップ。このあとも、曲によってはストリングス隊が参加し、ライブに華や かさを加えた。メンバーの動きも激しさが増し、DJ Santa MonicaがDJブースを飛び出したり、ベースのKamikaze Boyは悠然と花道を歩き回り、時にネックに噛みつくという“歯ギター”ならぬ“歯ベース”で沸かせ、ボーカルのTokyo Tanakaも、体を揺らしながら熱唱。ワイルドなメンバーに煽られ、フロアでは激しいモッシュが起こるという、完全にフェスらしい展開となる。

　中盤には再び映像が流れ……と、ステージには何と映像から飛び出てきたような本物の子ども達（女の子と男の子ふたり）が！　豪華な演出の連続に は驚かされるばかりだ。それからのブロックは、「higher」「DON’T LOSE YOURSELF」「Emotions」など、キャッチーなナンバーや人気曲「NEVER FXXKIN’ MIND THE RULES」が披露されていく。中盤ではフロアの中心付近に設置されたミニステージで「Searching life」をプレイ。いつもはステージの奥にいるドラムのSpear Ribも、観客との距離が近く、大きな声援を浴びていた。暖かみのある演奏に、“Purefly”を探す旅の途中……という設定が、見事にハマった。

　さて、その後はライブの起爆剤的ナンバー「Smells Like Teen Spirit」から、本編のエンディングへ。複雑な構成ながら聴き応え抜群の「babylon」、そして壮大なクロージングナンバー「Dancing On The Moon」で、本編は重厚に終了。まるで壮大な映画を見たような感覚になった人も多かったに違いない。

　そこからお約束の“焼肉コール”でアンコールがスタート。コンセプトを離れたところで、完全にお祭りモードへ突入。「DANCE EVERYBODY」、そして絶大的な人気ナンバー「FLY AGAIN」で、大観衆が踊りまくる。大団円のうちに、この日のライブは締めくくられた。いい笑顔の観客を見ていると、彼らがバンドと作り出すお祭り感 は、やはり無敵なのだと実感。

　ちなみにMAN WITH A MISSIONのライブ攻勢だが、ここで一段落するわけではない。アンコール前には、6月~7月にかけての北米ツアーや、10月からリクエスト曲で構成す るツアー“PLAY WHAT U WANT TOUR”を行うことが発表され、そのファイナルが、12月20日のさいたまスーパーアリーナであることも明らかになった。オオカミ達の猛進は、まだまだ 加速していきそうだ。

【取材・文：海江敦士】