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吉川晃司30周年ライヴ。2日間で49曲!!

吉川晃司 | 2014.10.10

 吉川晃司が、デビュー30周年を記念したツアー「KIKKAWA KOJI 30th Anniversary Live "SINGLES+"」を行った。東名阪と故郷・広島で開催された今回のライヴは、全箇所とも2DAYS。このライヴには、コンセプトがふたつあった。ひとつは、タイトルにもあるとおり“シングル曲+α”を中心にしたセットリストにすること。もうひとつは、自身の年齢である49歳にちなんで、2日間で49曲を披露するということであった。つまり、2日間、かぶり曲なし。

「違うツアーを2本やるようなもんだから。とにかく時間が足りない(笑)。スタッフも大変だと思う。でも、30周年というお祭りですから、それで皆さんに喜んでもらえるなら、それでいいと思う」

 以上、7月中旬に本人に取材した際の言葉である。この証拠に、本ツアーで初めて “FreFlow”が導入された。FreeFlowとはリストバンド型ライトである。無線操作され様々な色に光る。観客の手につけられた大きな腕時計大のFreeFlowは、2日間、カラフルに会場を彩った。観客の一体感が、ライティングの演出になった。

 8月下旬の大阪公演からスタートした本ツアー。その2カ所目が、9月22日、23日に行われた日本武道館2DAYSである。両日ともオープニングを飾ったのは、ライヴシーンを中心にした本人のヒストリー映像。最近の映像から、年月とともに、吉川の年齢もカウントダウンされていく。最後には、初の日本武道館でのライヴ映像も織り交ぜられた。1985年1月。デビュー1年未満で日本武道館を満員にした吉川晃司。初のチャート1位を獲得したシングル「You Gotta Chance~ダンスで夏を抱きしめて~」をリリースした直後で、まさにシーンを本格的に掻き回す序章、予兆と言えるライヴだったのではなかろうか。この初日本武道館ライヴの日、最大の大歓声を起こした曲で、「KIKKAWA KOJI 30th Anniversary Live "SINGLES+"」1日目のライヴは幕を上げた。

「モニカ」
 観衆の興奮が瞬時にバウンドする。水しぶきのように飛び散る大歓声。ステージ中央バックに設置された円形スクリーンに、デビュー曲「モニカ」のジャケット写真が映る。観客全員での ♪ モニカ ♪ のレスポンスも30年間変わらない。昨今のライヴでは、BPMをあげ、ストレートなバンドアレンジでのニューバージョンが披露されることが多かった「モニカ」だが、この日は、ニューバージョンよりも、原曲に近いアレンジで演奏された。既にエンディングのような盛り上がりを見せる観客をさらに煽るように「BE MY BABY」と続けた後は、懐かしい曲のオンパレード。ビックバンド風のアレンジでサウンド面での変遷を見せた「心の闇」、「フライデーナイトレビュー」、「ピンナップにシャウト!!」などを続けざまに歌った。特に「ピンナップ~」では、途中、少しファンキーなボーカルアプローチで、ボーカルスタイルの変化を体現してみせた。このボーカルスタイルの変化は、吉川晃司のアーティストとしての歴史を語る上で、欠かせないファクターだ。

 中盤から後半は、ミディアム~バラードが中心。ファンにも人気の高いバラード曲「ONE WORLD」を丁寧に歌った後、MCへ。

「30年生き恥をさらしてまいりましたが、これからはもっとさらしてやろう、と」
 会場中から大きな拍手。が、次の瞬間、そのムードを吉川はぶち壊した。しかも笑顔で。
「でも勝率はあまり良くない!(笑)野球で言うなら、ストレートのストライクかデットボールしかない、みたいな。ぶつけるか、ストライクしかない。はっはは」
 観客、唖然。「あ~あ」という声もチラホラ。したり顔で吉川はこうまとめた。
「そんな人生、これからもやっていきたいと思うんでよろしくお願いします!」

 サビを観客に歌わせた「NO NO サーキュレーション」では、♪ 君が欲しい ♪ という最後のフレーズに合わせ、じっと誰かを見つめながら客席を指さす。横にスライドするようなダンスを見せた「Mis Fit」、ムービングライトが派手に旋回して「The Gundogs」、本編最後の「ナイフ」では、真っ赤なメタルテープが日本武道館の空中に高く舞い上がった。エンディングでは、鮮やかにこの日2回目のシンバルキックを決め、吉川晃司はステージを後にした。

 ステージが薄闇に沈んでいる。アンコールを待つ客席にウェーブが起こる。どんどん大きくなる1万人の波。誰もが、この日、そこにいることを存分に楽しんでいた。
 アンコールも含め、24曲。観客はバラードでも1度も座ることなく、24曲をしっかりと受け止めた。明るくなる会場。汗をかいた1万人の顔が浮かび上がる。その様子を記そうとメモに視線を落とす。文字が汗で滲み、白いメモ帳に模様を描いていた。

 9月23日。
吉川晃司は、ステージの真ん中にいた。ステージは白光に包まれている。1万人の観客は微動だにしない。「太陽もひとりぼっち」初期を代表するバラードで、2日目は幕を上げた。呼吸の音まで聴こえそうな静寂。その静寂をドラムの3連譜が切り裂いた。この3音だけで曲がわかる1万人。デビュー曲「モニカ」が吉川晃司の名刺替わりなら、この曲は、初期・吉川晃司の代名詞と言えるだろう。「You Gotta Chance」。前のめりな観客のクラップが、ステージに向かって駆け抜けていく。その気迫は、観客同士で競争しているようだ。否、吉川本人と勝負していると言った方がぴったりか。吉川晃司の楽曲は、圧倒的にアップチューンが多い。これは「年を重ねたからといって、バラードばっかり歌うようにはなりたくない」という本人の信念がそうさせているのだと思うが、立て続けにアップチューンを体現する本人も大変だが、そこにライドオンする観客も大変だ。テンションも含めて、瞬発力と持久力の両方が必要になる。「キャンドルの瞳」「LA VIE EN ROSE」と、ヒットシングルの連発に即座に反応する観客。吉川の歴史を知り尽くしたファンが集結したライヴだったとはいえ、一糸乱れぬその瞬発力に、観客のとてつもない集中力を感じた。そして同時に、これが吉川晃司が30年かけて築いてきたライヴの形であり、ファンとの関係性なのだと思った。ここでMC。「今日は懐かしいの上にくそがつく曲がいっぱい出てくるんで。くそは褒め言葉なんだけど(笑)。17歳の頃に歌った曲とか、かっわいいよー! ま、よろしくね!」と「パラシュートが落ちた夏」へ。「ポラロイドの夏」「雨上がりの非常階段」と、1980年代半ばにブームになったウェストコーストカルチャーの流れを組むシティ・ポップス然とした曲を続けて披露した。

 MCを挟み、中盤以降の楽曲から、グっと増えたのが男性の歓声。COMPLEXの影響もあったと思うが、20代後半以降、確実に男性ファンを獲得してきた。これは、強がりも含んだ本音主義という彼の男としての美学が、ストレートに出せるようになったからだろう。美学に共感する男性がたくさんいたのだ。このツアーでは、2日とも前半に初期の曲……あえて恐れず言うならば、アイドル時代の曲を集中させたセットリストだった。ゆえに、前半では黄色い声が目立った。それがグラデーションをかけたように、中盤以降は野太い声も混ざるようになっていった。そしてこの日、ライヴ終盤へのギアのスイッチとなった「パンドーラ」では、荒れ狂ったように踊る男性諸君の姿がたくさんあった。頭を振りながら拳を上げ、吠えている人もいた。この歓声の変化は、アイドルからの脱皮を遂げ、ソロ男性アーティストとしてのアイコンに到達した、吉川晃司の30年そのものだ。

 2日目の本編最後を飾ったのは「Juicy Jungle」。シルバーのメタルテープが飛び、乱反射する。吉川のシンボルマークを形どった、巨大な照明のトラスが、上空で七色に明滅する。エンディングではシンバルキックを決め、そのまま蹴った左足で着地。大きな身体をゆらし、ぐるりとターンした。

 アンコール。MC。珍しく長めに話した。昔話も交えながら、雑談トークを展開。その姿に、客席のあちこちから「吉川!」「兄貴!」「晃司!」という声が飛ぶ。順番に、男女の声、男性の声、女性の声、だ。雑談は続く。「ニュースを観ながら、ずっと文句ばっかり言ってますよ」と言えば、私の後ろの席の男性ファンから「それ10代の頃からじゃん」とナイスなつっこみ。思わず笑ってしまった。

 アンコールを含め、全25曲。2日間合計で49曲を披露して、吉川晃司はステージを後にした。最後に、茶目っ気たっぷりの笑顔と、いつもの言葉を残して。
「また笑顔で再会しましょう。みなさん、それまで元気でね!」

【取材・文 伊藤亜希】
【撮影:Takayuki Mishima】




※写真は大阪公演のものです。

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 吉川晃司

リリース情報

Dream On

Dream On

2014年09月03日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. Dream On
2. Dream On ~Ballad Version~
3. The Sliders
4. Dream On (Instrumental)
5. The Sliders (Instrumental)

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セットリスト

KIKKAWA KOJI LIVE 2014 30th Anniversary LIVE “SINGLES+”
2014.9.22、23@日本武道館


9月22日
  1. モニカ
  2. BE MY BABY
  3. 心の闇(ハローダークネス)
  4. フライデーナイトレビュー
  5. プリティ・デイト
  6. すべてはこの夜に
  7. ピンナップにシャウト!!
  8. Glow In The Dark
  9. Virgin Moon
  10. SOLITUDE
  11. RAIN-DANCEがきこえる
  12. ROMANCER
  13. 狂った太陽
  14. NNOCENT SKY
  15. FLASHBACK
  16. Brain SUGAR
  17. Rambling Rose
  18. ONE WORLD
  19. No No サーキュレーション
  20. Mis Fit
  21. The Gundogs
  22. ナイフ
Encore
  1. Dream On
  2. せつなさを殺せない


9月23日
  1. 太陽もひとりぼっち
  2. You Gotta Chance~ダンスで夏を抱きしめて~
  3. キャンドルの瞳
  4. LA VIE EN ROSE
  5. パラシュートが落ちた夏
  6. ポラロイドの夏
  7. 雨上がりの非情階段
  8. ベイビージェーン
  9. HONEY PIE
  10. VENUS ~迷い子の未来
  11. NERVOUS VENUS
  12. エロス
  13. Cloudy Heart
  14. RUNAWAY
  15. SPEED
  16. SAMURAI ROCK
  17. パンドーラ
  18. 恋をとめないで
  19. FOREVER ROAD
  20. KISSに撃たれて眠りたい
  21. アクセル
  22. Fame&Money
  23. Juicy Jungle
Encore
  1. BOY’S LIFE
  2. a day・good night

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