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“ファンと一緒にいる”ことを大切にした、こだわりのライブ・パフォーマンス

Ms.OOJA | 2014.10.24

 Ms.OOJAの、ニュー・アルバム『COLOR』を引っさげての全国ツアーの東京公演。会場となったZepp DiverCityは、性別、年齢とも、幅広い層のファンたちが集結し、熱気に満ちている。

 まずステージ後方のスクリーンにオープニング・アニメが映され、そこにMs.OOJAが登場、「JEWEL」「ワンモアタイム」「君の前で泣かない」というアップ・テンポのナンバー、そしてリズミックなR&Bチューン「My Boy」と、『COLOR』からの楽曲が立て続けに披露された。ギター、キーボード、ベース、ドラムに、男女2名のコーラスというバンドをバックに、とてもエネルギッシュで真っ直ぐな歌声を聴かせ、客席も一気に盛り上がっていく。

 そしてここから、観客をさらに深く『COLOR』の世界へと誘っていく。今回は、“楽曲と歌詞を、ゆっくりと聴いてほしい”という彼女の意向から、客席には椅子が用意され、みんな座って、その世界に浸っている。シングル曲「30」に続いて、『COLOR』から4曲、切ないラブ・バラードがじっくりと歌われたが、その歌の表現力と、声に込められた情感は、さらに豊かになっている。歌詞もストレートに伝わってくるし、シンガー/表現者として、彼女はさらに進化しているということを実感させてくれる、素晴らしいボーカルだ。本当に、歌をていねいに歌う人だと思う。また「30」では青、「サヨナラ」ではオレンジ、「歩道橋」では赤→紫→赤、「ずっと」では薄紫→青、そして「また恋をすることなど」では紫→ピンクと、ステージのバックや照明の色が統一され、まさに『COLOR』というタイトルどおりの世界観を見事に表現している。このあたりの細かい演出も、彼女のこだわりなのだろう。

 そして、新しいカバー・アルバム『WOMAN 2~Love Song Covers~』が11月26日にリリースされることが発表され、そこに収録されている、プリンセス・プリンセスの「M」が披露された。曲の前半は、Ms.OOJA自身がピアノの弾き語りを聴かせ、そこからバンド・サウンドへと移行していく構成も楽しい。さらに、『WOMAN -Love Song Covers-』に収録されていたが、これまでのライブでは、コーラスがいなかったためにできなかったという、m-floの「let go」が披露され、そして『MAN -Love Song Covers 2-』に収録されていた、中西保志の「最後の雨」と、カバー曲が3曲続いたが、女性の歌、男性の歌に関わらず、どの曲もちゃんと自分の世界観で表現するという、彼女の歌の表現力が素晴らしかった。 続く名曲「Be...」では、前半は生声のア・カペラで歌い、そこにピアノが加わり、さらにそこにバンドが加わるというアレンジになっており、歌の感動がさらに大きなものになっていた。こういったアプローチも、ライブならではだ。

 さらに“現代のファンタジー”ともいうべき、ストーリー性のある楽曲「SHE」では、バックのスクリーンに、歌をモチーフにした影画風のアニメーションが映し出され、Ms.OOJAにはあえて照明を当てず、さらにフードを被って歌うという、楽曲の世界観を表現することにこだわった演出になっていた。自分を前面に出すのではなく、楽曲の世界観を前面に出すことによって、メッセージをよりストレートに伝えたいという、彼女の強い思いが感じられるステージングだ。

 そして、ここでドラムのMitsuの掛け声によって、なぜか会場全体で“ラジオ体操”をして、観客の緊張をほぐし、よりエネルギッシュな後半戦へとなだれ込んでいく。そういった“切り換え”方も楽しい。そこから「Baby don’t know why」「My Way」「Forbidden Love」「ジレンマ~I’m your side~」「It’s OK」と、エネルギッシュなナンバーがメドレーで歌われ、客席のボルテージも一気に昇り詰めていく。また「ジレンマ~I’m your side~」では観客と共に歌い、さらに「It’s OK」では、彼女がステージから客席に降りて、一回りしながら歌ったりと、常に“ファンと一緒にいる”ということを大切にしている彼女らしいパフォーマンスが展開されていった。さらに続く「同じ空の下」では、レコーディングにも参加していたBIKKE (TOKYO No.1 SOUL SET)がサプライズ・ゲストとして登場して、超個性的なラップを聴かせ、会場はさらに盛り上がっていった。

 “私は、みんながいるから、こうしてステージでスポット・ライトを当ててもらえています。私は、みんながいるからこそ輝けるんです。だからそのお返しに、私の歌で、みんなの人生にスポット・ライトを当てたい。みんな、今日のことを忘れないで。もし辛いことや嫌なことがあったとしても、今日のこの瞬間を思い出して”という、彼女からの熱いメッセージとともに、「Life goes on」、そして「ORANGE」が歌われ、ライブは感動的に幕を閉じた。

 Ms.OOJAの歌の存在感と表現力の素晴らしさ、アーティストとしての進化、そしてファンを思う気持ちがとても強く伝わってきた、充実のステージだった。終演後に映されたエンド・ロールの最後に、“Total produce : Ms.OOJA”とクレジットされていたが、まさに彼女の、表現者としての強いこだわりが細部にまで散りばめられた、とても内容の濃いライブだった。

【取材・文:熊谷美広】
【撮影:Masanori Naruse】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル Ms.OOJA

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リリース情報

WOMAN 2 ~Love Song Covers~

WOMAN 2 ~Love Song Covers~

2014年11月26日

ユニバーサル シグマ

1. Time goes by
2. Hello,Again~昔からある場所~
3. There will be love there -愛のある場所-
4. 情熱
5. DEPARTURES
6. ら・ら・ら
7. WOMAN
8. 幸せになりたい
9. DEAR...again
10. 長い間
11. Alone
12. M
13. Swallowtail Butterfly~あいのうた~
14. Be... (Teardrop Version)

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