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待ってました、ウルフルズ!これがおそらく最後の渋谷公会堂!

ウルフルズ | 2014.12.29

 6年半ぶりの全国ツアーだ。今年2月に活動再開を発表して以来、オリジナルアルバムのリリース、大阪・万博公園での恒例企画イベント「ヤッサ!」開催と、一気にバンド活動のギアをMAXにして突き進んできたウルフルズが遂に渋谷公会堂に帰ってきた。トータス松本(Vo)は「久しぶり、渋谷公会堂。ずっとC.C.Lemonホールやったから」と言ってたけれど、来年には取り壊しが決定している渋公にギリギリ間に合って戻って来てくれたことがまず嬉しい。

 オープニング映像が流れると、緑、オレンジ、ピンク、紫というビビッドなスーツに身を包んだメンバーが登場。今回のツアーは当日会場に入ってからセットリストを決めるというスタンスらしく、この日の1曲目は「ウルフルズA・A・Pのテーマ」だった。お客さんはアルファベットの“A・A・P”を腕で形を作って盛り上がる。その景色はまるで活動休止なんてなかったみたい。去年も一緒にライブやってたでしょ?と言いたくなる抜群の一体感だ。そして、「バンザイ~好きでよかった~」から、まさかの選曲「ワルツ!」は1999年発売アルバム『トロフィー』からの選曲。そこからジョンB(改名して“チョッパー”はなし)(Ba)のベースプレイで繋いだのは最新アルバム『ONE MIND』収録の押して押すロックンロール「ブヤカシャー!」。ヒット曲も惜しみなく投下して、新旧織り交ぜたセットリストでライブは進んでいく。

 MCではウルフルズが初めて渋公に立ったのが1995年の暮れ「ガッツだぜ!!」発売の年のイエモン&ハイロウズとの対バンだったと明かしたトータス。そのままトークを交えながらメンバー紹介コーナーとなった。その初渋公では前日に青天館の忘年会で階段から落ちて尻に痣があった、と話したウルフルケイスケ(Gt)。青天館(性転換)つながりで最近は女装をする機会が多いと言ったジョンB。そして、「1回なくなったもの(バンド)をもう一度がんばってる。そんな4人を見てほしい」と唯一真面目に語ったサンコンJr.(Dr)。トータスを中心にメンバーの笑いが絶えない長めのトークタイムだった。

 ニューアルバムからの楽曲を4曲立て続けに披露した中盤。顎を上げ気味に、膝を少し曲げ、身体を傾けて歌う独特のフォームから繰り出されるパワフルな歌は、まさにトータス松本ここにあり、という存在感だ。ミディアムポップ「あついのがすき」では途中でメンバーがひとりずつフェードアウト。ひとり残ったサンコンがスクリーンに大きく映し出され激しいソロプレイを見せた。続く「メイド イン ジャパン」ではサイバーお殿様風に電飾のついた袴(後ろ姿は半ケツ)と強調したチョンマゲ姿で登場したトータス!そんななか楽器隊の3人はかっこよくソロ回しを決めるのだから、気が抜けない。そして早着替えを終え通常の衣装に戻ったトータスが「とまらへん」で不器用な男の涙を飾らない言葉で歌う。これもまたウルフルズだ。「この渋公で何回歌ったかわからん曲。この曲がそのままウルフルズに当てはまる曲になった」と言ってから、「それが答えだ!」。《うんと飯食え ガハハと笑い飛ばせ 答えは風まかせ 人生はステキー》……こんな歌、ウルフルズ以外には絶対に歌えない。お客さんの手拍子のタイミングは完璧だった。

 「昨日に続いて今日もすごい熱気です。ありがとう!」と、最後のMC。「復活後はメンバーが自己主張するようになったから、必ずしも俺が(ステージの)真ん中におらんでもいい(笑)」と、上手、下手に移動しながら話すトータスを横目に、ウルフルケイスケが「OK!」といきなりギターをかき鳴らすと、そのまま「ど真ん中」から怒涛の終盤戦に突入した。歌詞の一部を♪渋谷公会堂に来たらウルフルズを応援してくれ~と替えたウルフルケイスケが歌う「まいどハッピー」、スクリーンに4人を映し出した「ヒーロー」、明るく感動的なロックサウンドで背中を押す応援歌「あーだこーだそーだ!」、そんなニューアルバムの楽曲群は今後ウルフルズに欠かせないライブの定番曲になりそうだ。そしてラストは「ガッツだぜ!!」「ええねん」という2大鉄板ソングで本編は締め括った。まさに誰もが待ち望んでいた、これぞウルフルズ!という膝を打つ納得のライブだった。

 客席から湧き起こった「A・A・P!A・A・P!」の声を受けてアンコールの1曲目は「ツギハギブギウギ」。この曲もそうだがウルフルズにはお客さんと一緒に楽しめる曲が本当に多い。その明快な歌が、パワフルな声が、バンドとお客さんの絆を強くするのだ。そしてサポートキーボード浦清英のピアノの音色で始まった「愛がなくちゃ」から、ラストは「いい女」。全20曲近く披露されたライブだったが、最後までトータスの声量は一切衰えていなかった。

 やはり日本の音楽シーンにはまだまだウルフルズが必要なのだ。笑顔で渋公を後にするお客さんの表情を見て、そんなことを思った。

【取材・文:秦 理絵】



※写真は12月4日の大阪公演のものです。

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リリース情報

[DVD]復活のウルフルズ~せやな!せやせや!!~ヤッサ!!&ONE MIND

[DVD]復活のウルフルズ~せやな!せやせや!!~ヤッサ!!&ONE MIND

2014年12月17日

ワーナーミュージック・ジャパン

【Disc1】
01. バンザイ~好きでよかった~
02. 愛がなくちゃ
03. 彼女はブルー
04. 借金大王
05. Let’s Go Monday
06. ブヤカシャ―!
07. サムライソウル
08. SUN SUN SUN’95
09. バカサバイバー
10. あついのがすき
11. ツギハギブギウギ
12. やぶれかぶれ
13. いつも元気
14. 笑えれば
15. あーだこーだそーだ!
16. どうでもよすぎ
17. 明日があるさ
18. まいどハッピー
19. 僕の人生の今は何章目くらいだろう
20. ヒーロー
21. それが答えだ!
22. 事件だッ!
23. ええねん

【Disc2】
≪アンコール≫
01. 大阪ストラット
02. ガッツだぜ!!
03. いい女
~『ONE MIND』レコーディングドキュメント

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セットリスト

ウルフルズツアー2014 ONE MIND
~あついのがすきすぎ~
2014.11.16@渋谷公会堂

  1. ウルフルズA・A・Pのテーマ
  2. バンザイ~好きでよかった~
  3. ワルツ!
  4. ブヤカシャー!
  5. ニャーホホ
  6. どうでもよすぎ
  7. あついのがすき
  8. メイド イン ジャパン
  9. とまらへん
  10. それが答えだ!
  11. ど真ん中
  12. まいどハッピー
  13. ヒーロー
  14. あーだこーだそーだ!
  15. ガッツだぜ!!
  16. ええねん
Encore
  1. ツギハギブキウギ
  2. 愛がなくちゃ
  3. いい女

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