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ビクターロック祭り2015、総勢9組(+DJ)で彩られた音楽の祭典!

ビクターロック祭り | 2015.03.30

 フェスでもイベントでもない、これはお祭りである。会場に入ると、巨大ニッパー君(ビクターのトレードマーク)の前で記念撮影する観客を見かけ、飲食スペースには桜の木(本物!)が至るところに設置されてお花見気分を煽られ(開演前からビール飲んでる人もチラホラ)、さらにビクターの社員はピンク色のハッピ姿で練り歩いている。この細部に渡るムード作りに心は解放され、本編のライヴではさらに胸が熱くなったのは言うまでもない。

 ビクター・エンタテイメント主催の「ビクターロック祭り2015」は、11時半に「開幕」の二文字がスクリーンに映され、和太鼓と三線による盛大なオープニング・セレモニーを経て、ホラ貝の音色を合図にトップはレキシの登場だ。バンド編成で真っ赤な袴姿で現れたレキシこと池田は、日本の歴史ネタを散りばめた楽曲を畳み掛け、観客から多くの笑顔を引き出すエンタメ性を発揮する。「年貢納めに行こうか?」、「イェイじゃねえよ!」と自ら煽っておきながら、鋭いツッコミでイジる手法に加え、コミック・バンドに見られそうなギリギリ一歩手前できびすを返す音楽性はレキシの真骨頂だろう。ラップ、R&B調の軽やかな歌い回しで、「縄文土器」という単語をこれだけオシャレに聴かせられるのは彼しかいない。お見事だった。

 続いて若手のKEYTALKの登場だ。パンクの躍動感、ギターロックの爽快感、なにより高音と低音のツイン・ヴォーカルで攻め立てる歌謡曲を匂わせるメロディが最高な4人組。現役キッズはもちろん、年配の方まで胸がキュンとなる歌メロに会場はお祭り騒ぎの様相を呈す。「ビクター」、「幕張」と観客とコール&レスポンスで高め合い、この場にドンピシャのラスト曲「MONSTER DANCE」で大フィーバーを巻き起こす。

 新世代の後にベテランにタスキを繋ぐのも「ビクターロック祭り」らしい流れで、次はスガ シカオが透き通る少年のような声を幕張に響かせる。「Progress」、「19歳」を序盤から披露し、後半にはホーン・セクションを導入し、賑々しくも大人びたステージングで観客を魅了する。自然体にして貫禄漲る艶声に引き付けられた。その大人びた空気を引き継ぐように、ハナレグミは凛とした佇まいで静かな感動を呼び起こす。一語一句に魂を込め、耳元で語りかけられるような歌声が胸に沁み入る。懐かしい風景が脳裏に過る郷愁を誘う声質も素晴らしかった。

 穏やかになった場内をいい意味で切り裂いたのは若手5人組のキュウソネコカミだ。ビクターへの感謝の言葉から始まる予想外の始まりから、演奏に突入すれば、いつものキュウソ全開で爆走していく。エッジ際立つギター、ピコピコ鳴るキーボードなど、踊れるダンス・チューンや逆ギレ気味の沸騰ロックを投下し、カオスな熱気を作り上げる。ヤマサキセイヤ(Vo/G)は「物理的にあなたに近づく!」と宣言した後、フロアに入って観客を内側からも焚き付ける体を張ったパフォーマンスで度肝を抜く。最後はビクターについて歌った「ビビった」で堂々と締めた。

 そして、ファッショナブルで衣装でも目を引く木村カエラは、「リルラ リルハ」から美声を轟かせる。「ロック祭りなので激しい曲、用意しちゃいました! 激しくてもいいんですよね?」というMCに会場も大興奮。「BEAT」、「TREE CLIMBERS」、「マスタッシュ」と一気呵成に攻める。カエラ自身が大好きな曲という「Magic Music」を挟み、最後は「Butterfly」で幕張に一条の光が射すようなエンジェル・ボイスを解き放った。

 それからグッと渋いロックで沸かせたのは斉藤和義だ。「やさしくなりたい」、「ずっと好きだった」など名曲を立て続けにプレイ。「サザンオールスターズです!」、「DJダイノジ(宴会場ステージに登場)より盛り上がらなかったら、どうしよう」と他のアーティストを引き合いに出す飾らないMCで笑わせ、カントリーやブルースに軸足を置いた滋味豊かな歌声と演奏で力強いロックを響かせた。

 「お待ちかね、ロック・バンドの登場だ!」とKj(Vo/G)が挨拶すると、2人のダンサー擁するDragon Ashの出番となる。KenKen(B)の火を噴くスラップベースを筆頭に、バンド一丸となって血湧き肉踊るミクスチャー・ロックを体現する様は身震いするほどカッコイイ。後半に「Fantasista」でロック祭りの主旨を音で見せつけ、「いい曲作るから、CD買ってください!」と率直に語りかけるKjの言葉にも胸を突かれた。剛柔併せ持つラスト曲「Lily」の歌メロも絶品だった。

 20時42分、トリの星野源は長丁場で少々疲れ気味の会場の温度を引き上げる魅惑のパフォーマンスを披露。1曲目はアコギ弾き語りによる「くせのうた」で観客を癒すと、2曲目「地獄でなぜ悪い」以降は子供のように無邪気な振る舞いで幕張を掻き回す。爽やかなルックスと相反するクダけたMCを連発する一方で、曲が始まるとビシッと優しい声音で聴かせる。老若男女を虜にするこのギャップの激しさに、片時もステージから目が離せない。「もう元気です、完治してます! これは倒れた日にできた面白い曲」と説明した後、不思議なポップ感を運ぶ「化物」にも聴き入ってしまった。そして、アンコールではカツラを被り、布施明をモジった"ニセ明"となって現れ、カヴァー曲「君は薔薇より美しい」を熱唱。「これからもビクター、星野源をよろしくねー!」と言い放ち、「Crazy Crazy」で大団円を迎えた。「ビクターロック祭り」というだけあり、各アーティストからビクター愛が随所に炸裂するパフォーマンスは見応え十分だった。改めて強烈すぎるほど愉快なメンツを抱えたレコード会社だなと痛感した。この祭りの余韻は当分抜けそうにない。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:Rui Hashimoto / Azusa Takada[SOUND SHOOTER] 】

tag一覧 ライブ Dragon Ash 斉藤和義 木村カエラ キュウソネコカミ ハナレグミ スガ シカオ KEYTALK レキシ イベント 星野 源

セットリスト

ビクターロック祭り~2015~
2015.3.14@幕張メッセ 国際展示場9,10,11ホール


長山洋子
  1. じょんから女節

レキシ
  1. 年貢 for you
  2. 狩りから稲作へ
  3. salt & stone
  4. きらきら武士

KEYTALK
  1. トラベリング
  2. パラレル
  3. fiction escape
  4. FLAVOR FLAVOR
  5. エンドロール
  6. MABOROSHI SUMMER
  7. 太陽系リフレイン
  8. MONSTER DANCE

スガ シカオ
  1. progress
  2. 19才
  3. コノユビトマレ
  4. おれたちFUNK★FIRE
  5. バナナの国の黄色い戦争
  6. 情熱と人生の間
  7. 愛について
  8. モノラルセカイ

ハナレグミ
  1. 360°
  2. 大安
  3. 光と影
  4. 明日天気になれ
  5. あいのわ
  6. きみはぼくのともだち

キュウソネコカミ
  1. ウィーワーインディーズバンド!!
  2. 良いDJ
  3. ファントムヴァイブレーション
  4. GALAXY
  5. DQNなりたい、40代で死にたい
  6. 何も無い休日
  7. ハッピーポンコツ(新曲)
  8. ビビった

木村カエラ
  1. リルラ リルハ
  2. TODAY IS A NEW DAY
  3. one more
  4. BEAT
  5. TREE CLIMBERS
  6. マスタッシュ
  7. Magic Music
  8. Butterfly

斉藤和義
  1. やさしくなりたい
  2. ずっと好きだった
  3. ワンダーランド
  4. 劇的な瞬間
  5. Are you ready?
  6. 歌うたいのバラッド
  7. 歩いて帰ろう

Dragon Ash
  1. The Show Must Go On
  2. Trigger
  3. Run to the Sun
  4. The Live
  5. 百合の咲く場所で
  6. Fantasista
  7. Lily

星野 源
  1. くせのうた
  2. 地獄でなぜ悪い
  3. くだらないの中に
  4. 化物
  5. ギャグ
  6. 桜の森
  7. 夢の外へ
Encore
  1. 君は薔薇より美しい
  2. Crazy Crazy

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