バンド結成から約４年という事実を噛みしめた。それが短いのか、長いのか、僕にはわからない。ただ、今日のステージは「いつか行こうよ、武道館！」と後半に発したHiro（Vo）の言葉を力強く裏付けるほど、壮絶極まりない景色を生み出していた。デビューから突っ走り続けてきた彼らの、現時点におけるマキシマム級のパフォーマンスだっことは間違いない。

　全11カ所に及ぶ全国ワンマンツアー「WE ARE NOT ALONE TOUR 2015」のファイナル公演は視覚、聴覚、いやいや、観る者の五感すべてに訴えかけてくる破格のライヴだった。18時17分、巨大スクリーンに高層ビル群が映され、そこにメンバー１人ずつの名前が浮かび上がり、ハリウッド映画の予告シーンのような演出からパイロとスモークが噴き出し、「ALONE」でスタート！悲鳴のごとき歓声が沸き上がり、会場を照らす緑のレーザー光線が華やかさを一段と彩る。そこにステージから放たれる豪快な爆音が会場全体を貫き、いきなりクライマックスみたいな盛り上がりを呈した。

　「一緒に歌ってくれますか、Zepp Tokyo!」とHiro（Vo）は呼びかけ、「最終回STORY」では大合唱が巻き起こり、バンドと観客が太い絆で結ばれていることを感じた。それだけに満足せず、Hiroは眼前の観客を心から信じ、頼るような熱いMCを連発する。その言葉を受け、観客は飛び跳ね、踊り出し、会場の熱気はみるみる膨れ上がるばかりだ。

　バキバキのベース音が響く「Black Rail」におけるバンド一丸となったグルーヴ感も凄まじく、序盤から持てる力を全力でぶつけてくる演奏にも圧倒された。それからスクリーンには今ツアーのライヴや楽屋オフショットを捉えた写真が流れ、普段できないアコースティック・セットをここで披露。Hiro、Sho（G）、Teru（G）の3人で「Still」、テイラー・スウィフトのカヴァー「We Are Never Ever Getting Together」などをプレイ。メロディの美しさを存分にアピールし、剛柔併せ持つ懐の深い音色に酔いしれた。

　そして、バラード風の「「花」-0714-」を挟み、「monologue」、「虚言NEUROSE」で再びバンドの肉体性を発揮するヘヴィな音色を叩き付けていく。「あなたに少しでも届くように・・・」と、MY FIRST STORYを組むきっかけになったバンドに向け、「Someday」を解き放つ。Hiroの切ない歌声と煌々と回るミラーボールの対比がエモーショナルで、「もっと歌ってくれ、それじゃ届かねえんだよ！」と曲中に叫ぶ場面にもグッと来た。間髪入れずに「Calling You」へと突入し、この流れはハイライトの一つと言っても過言ではない。本編ラストの「不可逆リプレイス」もとんでもない楽曲の求心力を見せつける。

　アンコールではHiroの無茶ぶりから、メンバー１人ずつ今ツアーを振り返るシーンもあり、ひとしきり和んだ後、「Take it Back」、この日２度目になる「ALONE」で大団円を結ぶ。すると、ここでもパイロとスモークがドンパチ打ち上がり、海外フェスのヘッドライナー・クラスがやるようなド派手な演出にも度肝を抜かれた。

　デビューから約４年、ファンと共に駆け上がり、ここから再びまだ見ぬ景色を一緒に共有しようとするバンド側の熱い気持ちに、Zepp Tokyoにいたすべての観客が応えていた。同じ目線、同じ熱量、同じ志を分かち合う、特別な空気がここには流れていた。今後のMY FIRST STORYを語る上でも、避けては通れない爆発的な盛り上がりの連続だった。

【取材・文：荒金良介】