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キュウソネコカミと忘れらんねえよ、因縁の対バン、六本木EXシアターを揺らす!

キュウソネコカミ | 2015.12.03

 六本木のEXシアターに到着すると、クリスマスイルミネーションに囲まれたディスプレイにキュウソネコカミと忘れらんねえよの名前が並んでいた。そんな、この街がもっとも似合わないバンドの対バン(失礼!)を見るために、周辺にはこれまたこの街に似合わない、Tシャツにタオルを首にかけた姿のお客さんたちが溢れていた。そして会場に入ると、水戸黄門のテーマソング「ああ人生に涙あり」(人生 楽ありゃ苦もあるさ~♪)が流れている。どうやら、この日の開演前BGMには“人生”をテーマにしたナンバーがセレクトされているよう。バンド結成の時期が近いこともあり、インディーズ時代から何度も対バンを組んできたキュウソと忘れは、まさに互いのバンド人生の酸いも甘いも知った間柄。そんな2組にぴったりの粋な演出にライブ前からニヤニヤとしてしまう。

 先行の忘れらんねえよは、とにかく柴田隆浩(Vo・G)がキュウソネタを入れまくった。インディーズのころ、楽屋では「売れてるバンドは全員死ねばいい」「Mステなんか出れる気がせぇへん」と、共に愚痴り合っていた仲だったと明かし、すでに7月、Mステに初出演したキュウソに向けて、「出とるやんけー!おめでとう!」と、笑顔で祝福。これに会場は大きな笑いに包まれた。他にも、オープニングでキュウソのヤマサキセイヤ(Vo・G)を真似してお客さんの頭上を歩いたり、キュウソがCMソングを手がける「メガシャキ」を一気飲みしたり、白シャツに黒のスキニー、赤のシューズというヤマサキスタイルで登場したりと大盤振る舞い。熱いパフォーマンスで全10曲を披露して、キュウソへと繋いだ。

 忘れの柴田に服装を真似されたことを受けて、セイヤが「俺がオリジナルじゃー!」と叫んでスタートしたキュウソ。一発目の「MEGA SHAKE IT !」から、ちょっと過激でキャッチーなキュウソサウンドが、会場に集まった1,700人を一気に踊らせていく。途中でハウスミュージック調にサウンドが変化すると、ヤマサキとヨコタシンノスケ(Vo・Key)が息のあった振り付けも披露。「ファントムヴァイブレーション」では、《スマホはもはや俺の臓器》を全員で大合唱すると、10月にリリースされたアルバム『人生はまだまだ続く』からのナンバー「ビーフ or チキン」が披露された。ハンドマイクで歌うヤマサキは巻き舌で中指を突き立てながら、世間のディスりに強烈なキュウソ節で物申す。年々こじれていく父娘関係を歌った新曲「泣くな親父」では、父親の悲哀を思わせるメロディの切なさを、オカザワカズマ(G)が奏でる泣きのギターリフがいっそう掻き立てた。

 最新アルバムからのナンバーが続々と披露されていく中盤。対バン相手のネタをガンガン詰め込んできた忘れに応えるように、「柴田、Mステとか言ってたけど、忘れはCMソングがめっちゃ流れてる(「マイナビバイト」など)!流れてる時間は忘れのが多い」と、ヤマサキ。「これだけ向かって来てくれる忘れらんねえよの姿勢、大好きです!」と言うと、「DQNなりたい、40代で死にたい」へ。ヤマサキがお客さんの頭上に二本の脚で立ち、《ヤンキー怖い!》コールを巻き起こす光景を、忘れのメンバーも2階席から大喜びで見ていた。そして、ラストナンバー「ハッピーポンコツ」。毎日を一生懸命に生きるポンコツたちにガッツを与えてくれる、いまやキュウソのテーマソングともなった1曲。ライブハウスでバカやって、ハメを外して、最後にきっちり泣かせてくれる。キュウソネコカミは音楽番組に出るようになっても、会場のキャパが大きくなっても、そこが六本木でも、キュウソネコカミのまま、わたしたちポンコツたちの味方でいてくれるバンドなのだ。

 アンコールでは、いきなりヤマサキとヨコタが相撲ごっこを始める謎の展開に収拾がつかなくなり、「見切り発車はやめようや(笑)」と、ヨコタ。今日のキュウソは本当にテンションが高い。ここからライブはこの日いちばんエモーショナルな瞬間を迎えることになる。「お願いシェンロン」で、「鳥人間コンテスト」のCMソングを手がけた忘れへのオマージュとして“鳥人間”モデルの箱に乗ったヤマサキが、再びお客さんの頭上へ行くと、「俺の話を訊いてくれ!」と語りかけた。「バンドってずっと上手くいくわけじゃないねん。止まったり、メンバーが辞めたり、いろいろあんねん。忘れもいろいろあった。キュウソだっていつ止まるかわからない。だからバンドという奇跡を見るために、ちゃんと好きなバンドを応援してくれ」と。実は、忘れは2日前にメンバーの脱退が発表されていた。だが、この日はそのことには一切触れずに、サポートを加えてライブをやり切っていたのだ。そういうタイミングだからこそ、こみ上げる想いがあったのだろう。そのまま、アカペラで「ブルース」へ。次第に加わるバンドサウンドのなかで、エモーショナルな歌で紡いだバンドマンの哀歌が会場に熱く響き渡る。「最高の客に恵まれて幸せや!好きになってくれて、ありがとう!」。この日のヤマサキは、最後の最後まで真摯な口調で叫び続けていた。

 バンドを続けることは簡単ではない。実力はもちろん時代の機運もあるだろう。辞めていく仲間、成功していく仲間、就職をして家庭を築いていく友人たち、そういうなかで変わらずにバンドが続いてゆくこと、それがいかに難しいことか。キュウソネコカミと忘れらんねえよ。因縁の対バンは、そんなバンドの奇跡に改めて胸が熱くなる名演だった。

【取材・文:秦理絵】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル キュウソネコカミ 忘れらんねえよ

リリース情報

人生はまだまだ続く(初回限定盤)[CD+DVD]

人生はまだまだ続く(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年10月21日

ビクターエンタテインメント

[CD]
1. 泣くな親父
2. MEGA SHAKE IT !
3. イマジネンス
4. ビーフ or チキン
5. NEKOSAMA
6. フラッシュバック
7. 春になっても
8. 記憶にございません
9. ハッピーポンコツ
10. ヤブ医者
11. 適度に武士道、サムライBOYS。

[DVD]
★OTODAMA’15 ~音泉魂~ × キュウソネコカミ
※副音声にはメンバー全員による解説(雑談)を収録!
<収録曲>
ウィーワーインディーズバンド!!
DQNなりたい、40代で死にたい
MEGA SHAKE IT !
ファントムヴァイブレーション
GALAXY
- MC -
ハッピーポンコツ
お願いシェンロン
ブルース
ビビった
- ENCORE -
ありがとうオトダマ
★DOCUMENTARY MOVIE

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お知らせ

■ライブ情報

試練のTAIMANツアー 2015
2015/12/03(木) 愛媛・松山WstudioRED
guest:サンボマスター
2015/12/04(金) 高知・高知X-pt.
guest:サンボマスター
2015/12/06(日) 徳島・徳島club GRINDHOUSE
guest:サンボマスター
2015/12/07(月) 岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM
guest: a flood of circle
2015/12/11(金) 神奈川・川崎CLUB CITTA’
guest:SHISHAMO
2015/12/12(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
guest: go!go!vanillas
2015/12/14(月) 栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
guest: 04 Limited Sazabys
2015/12/15(火) 群馬・高崎club FLEEZ
guest: 04 Limited Sazabys
2015/12/18(金) 鳥取・米子AZTiC laughs
guest:フジファブリック
2015/12/19(土) 島根・松江AZTiC canova
guest:フジファブリック 2015/12/21(月) 奈良・奈良NEVERLAND
guest:後日発表
2015/12/22(火) 滋賀・滋賀U★STONE
guest:tricot

DMCC REAL ONEMAN TOUR~Despair Makes Cowards Courageous 2016~
2016/01/28(木) 大阪・なんばHatch
2016/01/30(土) 石川・金沢EIGHT HALL
2016/02/03(水) 静岡・浜松窓枠
2016/02/05(金) 東京・Zepp Tokyo
2016/02/07(日) 新潟・新潟LOTS
2016/02/11(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka
2016/02/14(日) 北海道・Zepp Sapporo
2016/02/16(火) 宮城・仙台Rensa
2016/02/19(金) 香川・高松OLIVE HALL
2016/02/21(日) 広島・広島CLUB QUATTRO
2016/02/26(金) 愛知・Zepp Nagoya

DMCC -REAL ONEMAN TOUR- EXTRA!!!
2016/03/12(土) インテックス大阪5号館
2016/03/13(日) インテックス大阪5号館
2016/03/19(土) 幕張メッセ イベントホール
2016/03/20(日) 幕張メッセ イベントホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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