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盟友ONE OK ROCKを迎えて行われた「RADWIMPSの胎盤」第十夜、横浜アリーナに“奇跡”が起きた。

RADWIMPS | 2015.12.09

「何をやっても飽き性な俺が、自分の命よりも大切だと言えるモノを見つけました」
 野田はこの日のライヴのMCでそう言った。

 10年という歳月を経てやっと言えた言葉であったことだろう。
彼らが敬するバンドと、彼らの音を賛美するバンドとの共演。それは、10周年というアニバーサリーを、互いに認め合う数々のバンド達と、“対バン”形式で向き合ったRADWIMPSらしい節目の迎え方であった。

 授かった命を必死に輝かせようと、全力でいろんな栄養素を吸収しようとする胎児。それは、まさに、このライヴの一連に見たRADWIMPSの在り方と重なる。『10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤』というタイトルの中に、“胎盤”という文字を用いているのも、言葉の響きが同じであるのはもちろん、妊娠時に子宮内に形成され、胎児と母体とを繋ぐ器官となるその成立ちに、“対バン”を重ね合わせてのことだったに違いない。

 11月23日のメジャーデビュー記念日から始まった横浜アリーナ3DAYSの最終日の対バン相手に彼らが選んでいたのはONE OK ROCK。Tomoyaのドラムソロ的アプローチから始まる「3xxxv5」から、力強く幕を開けたONE OK ROCKのステージは圧巻。ToruとRyotaとTomoyaによって描き出されていく、激しく紡がれた音たちは、Takaの奥行きのある唄声を、より魅力的に響かせる。

「今日は俺たちと皆さんで、RADWIMPSというバンドを最高にお祝いしましょう!」
 とTakaが叫ぶと、その言葉に、会場中のオーディエンスが叫び返した。

 Toruの奏でるアルペジオから始まった「Clock Strikes」で魅せた、Tomoyaの抜けるようなスネアの音は実に印象的。アリーナという場所を味方につけたその音に絡むRyotaの弾きの強いベース音も、その上に乗せられるTakaのたたみかかられる言葉たちを、最高の形で浮き上がらせた。

「とってもいい景色だ! ありがとう! RADのファン最高だな!」
 何度もファンを賞賛する言葉を叫んでいたTakaは、途中、こんな言葉を挟んだ。
「彼らが10年歩んでこれたのは、本当に素晴しいことだと思うし、これからも一緒に音楽を奏でて、日々を生きて、RADWIMPSはきっと続いていくんだろうと思います。とにかく。今日、僕らは前座です。最高に盛り上げていきたいと思います!」
 そんな言葉の直後に届けられたのは、いままでライヴで一度も演奏されることのなかった「Last Dance」。彼らからRADWIMPSへ用意された、特別なお祝いの形とも取れるその選曲は、音楽人として最高のお祝いの形だった。

 結成10周年を迎えたONE OK ROCK。だからこそ、10周年という重みをより深く感じていたに違いない。Takaがこの日に言った“素敵なバンドを作り出すのは、何よりも貴方達だと思っているので???”というオーディエンスに向けられたその言葉がとても印象的だった。この日、オーディエンスの歓声や拳やクラップのすべてがあってこそ、このステージが在ることを改めて噛み締めさせられた気がした瞬間だった。

 「完全感覚Dreamer」で締めくくられたONE OK ROCKのライヴは、RADWIMPSと、この日集まったオーディエンスに届けられた最高のプレゼントになったと言えるだろう。

 最高のオープニングアクトの後を、さらに最高の景色に導いてくれたRADWIMPSは、野田の弾き語りから幕を開けた。動から静。まさに、そんな対比からの始まりだった。静まり返って聴き入るオーディエンス。絶対的なスキルで隙間無く塗り潰される圧巻のサウンドを武器とするRADWIMPSだが、この透明以上に透き通った野田の唄声で、そっと唄われていく楽曲もまた、唯一無二なRADWIMPSの個性である。一万人を越えるオーディエンスが居ることが嘘のような無音が客席を支配した。

 か、と思えば、野田の“横浜!”の叫びから隙間無く攻め立てられていくRAD節が炸裂。桑原と武田の音の応酬がオーディエンスの熱を煽っていく。山口智史(Dr)の代わりに、刃田綴色と森瑞希をサポートドラマーとして迎えてのツインドラム編成でのライヴとなったが、そこに違和感はまったくなく、しっかりとそこにRADWIMPSの音が構築されていたのだった。欲を言えば、山口のドラムで10周年を迎えたかったに違いない。地元であり、出逢いの場所でもあったというこのステージに立つ度に、彼らは昔を振り返る。だからこそのツインドラムであったのだろうと、改めて感じた。そしてこの日、野田は、何度も“ヤベーな! 最高だな!”と興奮気味な声を上げ、“奇跡みたいなことが起こりそうな気がしてるのは俺だけかな? どうせオマエ等十数年しか生きてないんだろ? 100年も生きてないんだろ? まだ会ったことのない自分を見せてみろ!”とオーディエンスを煽り、桑原と武田と山口と共に10年の歴史が築き上げたRADWIMPSを最高のセットリストで届けてくれた。

「楽しくて楽しくて、あんま喋ることないです。RADWIMPS、10周年なんですけど、ONE OK ROCKのライヴ見てて泣きそうになったし。10年前に契約したときは、今日までやって来れるなんて思ってなかったし、こんなにたくさんの人の前でやってるなんて、誰も思ってなかったし………」

 そして野田は、ここで冒頭に記した言葉を口にしたのだ。
「何をやっても飽き性な俺が、自分の命よりも大切だと言えるモノを見つけました」
 と――。この言葉に熱いモノが込み上げた。

 そして、野田は改めてオーディエンスに“今日は来てくれてありがとう”と伝え、その後のMCで、この対バンライヴのきっかけが、Takaとの何気ない会話の中にあったことを語った。それは、あるとき野田が、喉の調子を崩したときに、Takaに連れて行ってもらった鍼治療院のベッドの上で、“いつか一緒にやれたらいいね”と話したことであったと言う。

 後半では、ちょうどこの日がリリース日であったニューシングル「‘I’Novel」を届け、ここから先へと向かうRADWIMPSをしっかりと提示してくれたのだった。
 そして、アンコール。野田がMC中に口にしていた“奇跡みたいなこと”は起こったのだ。

 オーディエンスによって歌われる「もしも」の唄声に応えてステージに戻って来た野田は、
「せっかくだから、特別なことやっちゃう!?」
 と、Takaをステージへと呼び込んだのだ。そして野田は、Takaから、“やらなかったら絶対一生後悔するからやろう!”とステージ袖でこのセッションを提案されたことをオーディエンスに告げると、野田の奏でるギターの音色1本で「バイ・マイ・サイ」を届けたのだった。野田とTakaによって歌われる「バイ・マイ・サイ」は、とても美しく、とても透明なモノだった。これまでも、数えきれないライヴを見てきているが、こんなにも、声の指紋を感じた瞬間はなかった。それほどまでに、その唄は、心から美しいと言える響きだった。

 そして、野田の「もう1曲やっちゃう!? 全員でやっちゃう!?」という言葉から、ステージに互いのメンバーを全員呼び込み、この日だけの“特別”で、この日を締めくくったのだ。
 音楽の在り方。そして、生きる意味。そんな原点を改めて見つめ返させてくれるライヴだった。

 絶体絶命から絶体延命。“死ぬまで生きろ”と叫んだ先の未来に在ったその光は、この日、最高の輝きを放っていたと言い切れる。RADWIMPSというバンドはこの先、私たちにどんな景色を見せてくれるのだろう。

【取材・文:武市尚子】
【撮影:植本一子(RADWIMPS)、橋本塁(ONE OK ROCK)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル RADWIMPS ONE OK ROCK

リリース情報

記号として /  ‘I’ Novel

記号として / ‘I’ Novel

2015年11月25日

ユニバーサル ミュージック

1. 記号として
2. ‘I’ Novel
3. お風呂あがりの

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お知らせ

■ライブ情報

10th ANNIVERSARY LIVE TOUR FINAL
RADWIMPSのはじまりはじまり

2015/12/23(水・祝)幕張メッセ国際展示場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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