1月9日の東京・オリンパスホール八王子で幕開けた全国ツアー『GOGO DEMPA TOUR 2016 ~まだまだ夢で終わらんよっ！~』。全30公演が予定されているのだが、初めて訪れる土地での公演、サポートバンド「でんでんバンド」とのステージなどを経て、いよいよ佳境へと突入。NHKホールでの盛り上がりも凄まじいものだった。スタートを告げるSEとオープニング映像が流れる中、スタンバイした6人を出迎えた猛烈な歓声。そして、全力のパフォーマンスが繰り広げられていった。最初のインターバルを迎えた頃には、メンバーたちも観客もすっかり興奮状態。「最後まで暴れまくってね！」（相沢梨紗）。「生きるって素晴らしいよ！」（成瀬瑛美）。「今日も楽しみましょう！」（藤咲彩音）――テンションの高い言葉が届けられる。「まったく花粉を感じません！」（夢眠ねむ）。「花粉さえ引き寄せないパワーで盛り上がっていきましょう！」（古川未鈴）――花粉症の人には辛い時期をネタにしたやり取りも楽しい。「“We love／Tokyo”ってやってくれたら嬉しいです」（最上もが）――彼女が提案して行われたコール＆レスポンスで起こった観客の声は、特大サイズであった。

　メンバーたちが抱いている秋葉原への愛が爽やかに伝わって来る「アキハバライフ♪」。熱いビートが観客の興奮を果てしなく誘う「W.W.D」。和的な情緒を湛えた「ちゅるりちゅるりら」。タオルを振り回して踊る楽しさを目いっぱいに届けてくれる「おつかれサマー！」……などなど、個性的なサウンドとダンスに溢れた曲を次々披露。昔話をモチーフとした演出が随所で飛び出すのも楽しい。多彩な魅力で広いホールを完全に1つにしてしまっていた6人の姿が、とても凛々しかった。「みんな、僕より汗かいてないよ～」と本編の終盤で最上は観客を眺めながら言っていたが、メンバーたちはもちろん、客席の誰も彼もが汗だく。しかし、彼女たちはさらなる盛り上がりを求めて皆を煽ったのだった。「正直、全然盛り上がってないです。週末に向けて体力を温存してるな（笑）。気合入れないとラストスパート行けないよ」、呼びかけた夢眠は「We love／でんぱ」というコール＆レスポンスを提案。「みんなにかかってる。声が小さいと次の曲の音が出ないです！」と彼女に言われて、会場中の人々が全力の声をステージに返した場面は、只ならない熱気を漂わせていた。

　本編の全曲を披露し終えると、「ありがとうございました。バイバイ～！」と元気いっぱいに手を振ってステージを後にしたメンバーたち。彼女たちを追うように、すぐにアンコールを求める歓声と手拍子が起こったのだが、響き渡った言葉がとても感動的だった。「行くぞ！　紅白!!　でんぱ組.inc!!!」という声からは、切なる願いとファンの深い愛情が伝わってきた。アンコールに応えるために再登場して1曲を歌い終えた後、感謝の気持ちをこめて笑顔を全方向の観客に届けた6人。「こんなに大きなホール、なかなかないよ！」と、夢の大舞台に立っている喜びを表明した古川。「みんなのアンコールワードを聞いて、泣きそうになりました！」と夢眠も瞳を潤ませるなど、素晴らしいファンに支えられている幸福を、メンバー各々が噛み締めている様子であった。

　「年末にNHKホールに帰ってこられるように、よろしくお願いします！」という力強い言葉を古川が発すると、「言っちゃった（笑）」と賑やかに沸き立っていたメンバーたち。仲間たちと支え合いながら、力強く進もうとしていることが自ずと伝わってきた場面だった。そして最後の1曲でも炸裂した情熱的なパフォーマンス。人生を懸けて活動に打ち込む真剣さに溢れつつも、いつでもとびっきり明るいでんぱ組.incらしい爽やかさと共にエンディングを迎えていた。ツアーは4月2日の沖縄・沖縄市民会館まで続くが、ますますパワーアップしていくのだろう。彼女たちが絶好調であることを確信させられるライブであった。

【取材・文：田中大】
【撮影：チェリーマン】