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ゲスの極み乙女。「ゲス乙女大集会~武道館編~」3月31日をレポート

ゲスの極み乙女。 | 2016.04.08

 スティックカウントを合図にスタートした1曲目「ロマンスがありあまる」。川谷絵音(Vo・G)、休日課長(B)、ほな・いこか(Dr)、ちゃんMARI(Dr)が奏でる音の圧倒的な一体感、サポートメンバーのオカシラ&えつこによるコーラスの瑞々しい響きに誘われ、日本武道館の全エリアの観客が一気に沸き立った。続いて「私以外私じゃないの」が始まると、ますます熱い興奮が広がっていく……ドラマチックなサウンドが色鮮やかに開花していく様に心底ゾクゾクさせられた。

  MCタイムで和やかな笑いを起こしながら進行されるのが、これまでの彼らのライブの通例だが、この日の公演は一味違うスタイル。インターバルを殆ど挟むことなく、ひたすら全力の演奏が届けられた。気迫たっぷりのサウンドは、ゲスの極み乙女。のロックバンドとしての威力を堂々と証明していたと思う。川谷がハンドマイク体勢でステージ端まで移動して観客を煽りながら歌った「サイデンティティ」。パワフルなビートが人々を激しく飛び跳ねさせていた「星降る夜に花束を」。膨大な量の言葉を溢れ返らせるヴォーカルが猛烈にスリリングだった「勤めるリアル」……序盤の段階から、まるでラストスパートをかけるかのように強力なナンバーが連発されていた。

 ショパン「幻想即興曲」のSEを経て突入した中盤は「シリアルシンガー」からスタート。「煙る」「セルマ」「無垢」「無垢な季節」「心歌舞く」……メンバー各々の楽器プレイの見せ場もたっぷり盛り込み、美しいメロディを高鳴らせる場面の連続となった。そんな中、程よいアクセントとなっていたのが、Nabowaの景山奏をゲストに迎えた「id1」。ライブでアコースティックギターを演奏するのは初めてだという課長が、緊張した面持ちで「弦が細い……」とボヤいて笑いを誘いつつ始まった演奏。景山と課長は椅子に座って並び、アコースティックギターをプレイ。他のメンバーたちによる絶妙なコーラスワークも発揮されたサウンドが素晴らしかった。

 トラックが流れる中、ステージ上手側で向かい合いながら歌ったオカシラ&えつこが観客の喝采を浴びていた「いけないダンスダンスダンス」。ちゃんMARI+川谷+えつこによるキーボード、おかしらによるヴァイオリンが美しい音色を響かせた「いけないダンス」……という変則編成で幕開けた終盤。「ここからはライブハウスのようにやるので」と川谷が言ったのを合図に「パラレルスペック(funky ver.)」がスタートすると、武道館はさらなる熱気で包まれていった。そして「オトナチック」「Mr.ゲスX」「アソビ」も一気に披露され、会場中の誰も彼もがすさまじい興奮状態。「両成敗でいいじゃない」で本編が締めくくられた時、ステージに向かって届けられた拍手はとても熱かった。

 アンコールを求める歓声に応えてステージに戻ってきたメンバーたち。「みんなほんとにありがとう。今日は「ロマンスがありあまる」から泣きそうだった。こんなに集まってくれるとは、このドSな私も思わなかった」(いこか)。「この4人とコーラスの2人で、このステージに立てたのが嬉しいです!」(課長)。2人が想いを語った後、マイクに向かったちゃんMARIは、「今日もやっていいですか?」と観客に呼びかけ、アリーナ・1階・2階席と「コポゥ」コールを交わし合って大喜びしていた。そして川谷は、「こんなに来てくれて嬉しいです。昨日、家族が来てた。2階席の正面だから見えて恥ずかしかった(笑)」。

 アンコールの1曲目は「続けざまの両成敗」。間奏に差し掛かると、ステージの上手側に川谷、課長、いこか、ちゃんMARIが並んだ。スタンドにセットされた4本のエレキギターを一斉にプレイするというレアな場面が飛び出し、観客はどよめく。続いて、軽快なクラップを起こした「crying march」、《じゃじゃうまじゃじゃうまじゃじゃうま》という大合唱が明るく響き渡った「jajaumasan」、恒例のコール&レスポンスを交えて盛り上げた「ドレスを脱げ」も披露すると、ステージから去ったメンバーたち。しかし拍手は鳴りやまず、ダブルアンコールが行われた。

 「ダブルアンコール、ありがとうございます。この後、ライブハウスツアーが始まるので。声が嗄れるまで歌いましょう。俺は死ぬまで歌うからな!」、川谷の力強い言葉と共にスタートした「餅ガール」。エモーショナルな演奏と歌声、飛び跳ねながら共に歌う観客の熱量によって、武道館が心地よく震えるのを感じた。そして、ラストを飾ったのは「キラーボール」。イントロが始まるや否や歓声が起こり、会場全体がダンスフロアと化す。「武道館でまたやるからな!」、曲の途中で放った川谷の言葉が力強かった。演奏が終了した時、ステージに向かって届けられた特大の歓声。川谷、課長、いこか、ちゃんMARI、オカシラ、えつこは肩を組み合い、観客に向かって何度も深々とお辞儀をした。6人を讃えて高まり続けた拍手喝采。ゲスの極み乙女。がファンに深く愛されていることがよく分かるエンディングであった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:井手康郎】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ゲスの極み乙女。

リリース情報

両成敗(初回生産限定盤)[CD+DVD]

両成敗(初回生産限定盤)[CD+DVD]

2016年01月13日

ワーナーミュージック・ジャパン

[CD]
01、両成敗でいいじゃない 
02、続けざまの両成敗 
03、ロマンスがありあまる
04、シリアルシンガー
05、勤めるリアル 
06、サイデンティティ
07、オトナチック
08、id 1
09、心歌舞く
10、セルマ
11、無垢
12、無垢な季節
13、パラレルスペック(funky ver.)
14、いけないダンス
15、私以外私じゃないの
16、Mr.ゲスX
17、煙る

[DVD]
01、オープニング~「無垢な季節」 ゲスチック乙女~アリーナ編~ @横浜アリーナ 2015.10.14
02、「ロマンスがありあまる」 ゲスチック乙女~アリーナ編~ @横浜アリーナ 2015.10.14
03、「オトナチック」 ゲスチック乙女~アリーナ編~ @横浜アリーナ 2015.10.14
04、「momoe」 ゲスチック乙女~アリーナ編~ @横浜アリーナ 2015.10.14
05、「だけど僕は」 ゲスチック乙女~アリーナ編~ @横浜アリーナ 2015.10.14
06、「両成敗」 レコーディング Off Shot Movie
07、両成敗ゲスツアー

セットリスト

ゲス乙女大集会~武道館編~
2016.3.31@日本武道館

  1. ロマンスがありあまる
  2. 私以外私じゃないの
  3. サイデンティティ
  4. 星降る夜に花束を
  5. 勤めるリアル
  6. シリアルシンガー
  7. 煙る
  8. セルマ
  9. 無垢
  10. 無垢な季節
  11. 心歌舞く
  12. id 1
  13. いけないダンス
  14. パラレルスペック(funky ver.)
  15. オトナチック
  16. Mr.ゲスX
  17. アソビ
  18. 両成敗でいいじゃない
<アンコール>
  1. 続けざまの両成敗
  2. crying march
  3. jajaumasan
  4. ドレスを脱げ
<ダブルアンコール>
  1. 餅ガール
  2. キラーボール

お知らせ

■ライブ情報

ゲスの極み乙女。ワンマンツアー
「ゲスな宇宙旅行」

2016/04/13(水)Zepp Nagoya
2016/04/14(木)Zepp Nagoya
2016/04/20(水)なんばHatch
2016/04/21(木)なんばHatch
2016/04/24(日)仙台PIT
2016/04/25(月)仙台PIT
2016/04/27(水)Zepp Tokyo
2016/04/28(木)Zepp Tokyo
2016/05/05(木・祝)鹿児島 宝山ホール
2016/05/08(日)長崎ブリックホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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