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中田裕二の音楽meets ジャズをたっぷりと味わえる、真夏の特別な夜

中田裕二 | 2016.08.29

 両A面シングル「THE OPERATION/IT’S SO EASY」リリースを目前に行われた、初のジャズ・セクステットを従えたツアー「中田裕二のジャジー・エクスペリエンス」。全7公演の折り返しとなるビルボード東京は満席の観客を前に、タイトル通りジャジーな歌と演奏で魅了した。「中田裕二のジャジー・エクスペリエンス」は、本間将人(saxophone)をリーダーに、SOKUSAI(bass)、田中充(trumpet & percussion)、田中”TAK”拓也(guitar)、佐藤雄大(keyboard)、坂東慧(drums) が参加する、本格的なジャズ・セクステットとの共演だ。このツアーは聴く我々もだが、中田自身が一番楽しみにしていたのではないだろうか。
 この直前の福岡公演を延期せざるを得なかった体調ながら元気いっぱいにステージに現れた中田は、軽やかに歌う「誘惑」から始めMCで「ご心配かけました!」と明るく挨拶。2曲ほど歌うと「このライヴは僕の音楽 meets ジャズ」と話し、カヴァーアルバム「SONG COMPOSITE」でアレンジを手掛けた本間と、また何かやりたいという願いが実現したものだと説明。そして「お洒落なこの夜にピッタリの仕上がりになっていると思います」と胸を張り、真夏の夜にぴったりな「つかずはなれず」に「月の恋人たち」で、バンドと息の合った歌を聴かせた。

 ジャズや良質のポピュラー・ソングを聴かせる名店として名を馳せるビルボードライブ東京で中田がステージに立つのはこれが3回目。笑顔で店内を見回しながら「せっかくジャジー・エクスペリエンスということで」と披露したジャズのスタンダード曲「Fly Me to the Moon」は、フランク・シナトラやナット・キング・コールといった大御所が歌うスロウ・テンポとは趣を変え、軽快なアレンジが若々しい中田の歌を弾ませる。世界中で数多の人が歌うこの曲に、この夜またひとつ新しいスタイルが加わった。
 続いては「僕が思う邦楽スタンダード」と、十八番の「ウイスキーがお好きでしょ」。中田が「聴きものですよ」と太鼓判を押したのは、本間がオリジナルに近いアレンジにしたこと。石川さゆりが歌う斎藤ネコ編曲版に負けないしっとりした演奏に、エロス全開の歌が絡みつき中田ならではのヴァージョンになった。トランペットがムードを盛り上げる中、”この店にぴったりでしょ”と歌詞を変えて観客を沸かせる余裕も。ソロとして活動を始めた時から歌い続けている曲で「これまでに150回ぐらい歌ってる」と言うレパートリーのひとつだが、こうした機会にいろいろなスタイルの歌を聴くのもファンにとっては楽しいもの。「サントリーのCMが決まるまで歌います」と言うのも、あながち冗談ではなさそうだ。

 いいムードのカヴァー・コーナーがひと段落すると、中田と本間が両手を振り何かサインを送り合っている。何度か応酬するうちに、中田が「ドラゴンボール」の「かめはめ波」を本間に送って爆笑が起こったが、「ただひとつの太陽」のイントロが流れると冗談めいた空気が一瞬で消え、粘り気のある歌が店内に満ちていく。ジャジーなピアノとトランペットに彩られた歌は柔らかく包み込むよう。中田も間奏ではフェイクを入れるなど歌に入り込んでいく。歌い終わるとステージに大きな拍手と歓声が送られた。
 「そろそろウズウズしてきたでしょう?立ちましょうか?」と中田が声をかけると待ちかねたように観客は総立ちに。オリジナルではフィリーソウル調の「UNDO」はサックスとトランペットが生きるジャズファンク風に装いを変え、観客のステップを誘う。続く「夜をこえろ」も、中田が「かなり原曲とアレンジが異なっています。そこを楽しんでもらえたら」と言ったぐらい意表をつくもので、ラテン・リズムを取り入れたダンサブルな演奏に歌も一段と艶やかさを増した。「ありがとう」と曲を締めると、思わせぶりに「恋人たちの秘密です」と言いア・カペラで歌い出したのは「抱きしめたい」の一節。驚きの歓声に「どうも、Mr.Childrenです」と冗談を言って笑って、「LOVERS SECRET」へ。観客の間に笑顔が広がると、中田も歌詞に合わせて手を差し伸べたり、間奏では「フウワフウワ」と観客と声を掛け合って楽しんでいるようだった。

 そんな楽しい空気に乗せてバンドのメンバーを紹介すると、バンマス本間が最後に「オン・ヴォーカル、ユウジナカダ!」と格好良く何度もコール。嬉しそうに中田はスキャットでこれに応え、「みんなであの夜空に飛んで行こうじゃないか! 私たち、MIDNIGHT FLYERですから」とラスト・ナンバーへ。ステージ後方のカーテンが開くと中田が「花火!」と指差したイルミネーションが見え、まさに夜空を飛んでいる気分だ。ご機嫌な演奏に乗って中田がマイクを差し出すと待ちかねたように掛け合いも起こり、華やかなフィナーレとなった。
 アンコールに応えた中田は、「もともとジャジーな指向はありましたけど、ここまでがっつりホーンセクションを入れてやることはなく、ずっとやりたいと思っていました。今回はそれが叶って嬉しい」とメンバーに謝辞。「最後は新曲。こういう夜にぴったりの曲ができました」と8月24日リリースのシングルから「THE OPERATION」。これもホーン・セクションが光るソウルフルでポップな演奏がピカピカの新曲を盛り立て、中田の丁寧な歌が輝いていた。普段のライヴとは違った選曲、演奏で楽しませたこのライヴ、中田の書く曲、そして歌はジャズとも相性がいいことを心地よく体感させる夜となった。

【取材・文:今井智子】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル 中田裕二

リリース情報

THE OPERATION  /IT’S SO EASY

THE OPERATION /IT’S SO EASY

2016年08月24日

テイチクエンタテインメント

01. THE OPERATION
02. IT’S SO EASY
03.接吻
04.モンロー・ウォーク
05.不時着

お知らせ

■ライブ情報

"中田裕二の謡うロマン街道"
*中田単独による弾き語りツアー

2016/09/03(土) 長崎 長崎県美術館 エントランスロビー
2016/09/04(日) 佐賀 浪漫座
2016/10/15(土) 三重 松阪 M’AXA
2016/10/29(土) 長野 上田映劇

GAMA ROCK FES 2016
2016/09/24(土) 宮城県塩竈市みなと公園

Date fm MEGA★ROCKS 2016
2016/10/01(土) 仙台各ライブハウス

"Act Against AIDS LIVE 2016 「AOR PREMIUM NIGHT」"
2016/11/23(水・祝) 福岡 スカラエスパシオ
2016/11/25(金) 熊本 B.9 V1

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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