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強力な4バンドの個性がぶつかった 「JAPAN’S NEXT vol.14」をレポート!

JAPAN’S NEXT | 2016.09.15

 恵比寿リキッドルームのステージには“新世代”を意味する大きな矢印をデザインした「JAPAN’S NEXT」フラッグが貼られていた。2014年からスタートした、音楽情報誌『ROCKIN’ON JAPAN』が主催する新世代先取りプロジェクト、通称「ジャパネク」。早くも14回目を数えた今回はWANIMA、Bentham、シナリオアート、Mrs. GREEN APPLEという、いずれも次世代のロックシーンを担うであろう強力な4バンドが集結して、それぞれに個性豊かな音楽のかたちで満員のリキッドルームを汗と興奮で包み込んでくれた。

 スキャットマン・ジョンのSEで勢いよくステージに飛び込んできたKENTA(Vo・Ba)、KO-SHIN (Gt・Cho)、FUJI(Dr・Cho)の3人。「この夏、一睡もしないで考えたんだけど、日本でいちばんジャパネクが好き!」というKENTAお得意の太鼓持ちなあいさつからスタートしたWANIMAは、初っ端「THANX」「リベンジ」という疾走感溢れるナンバーであっと言う間にフロアにいる全員の心を掴んでいった。「ワンチャン狙いにきました!このあと20バンドぐらい出るけど、(僕らは)20万曲ぐらいある!」と、KENTAのトゥーマッチなMCもいちいち可笑しくてたまらない。レゲエのリズムにバンドのスタンスを痛快に綴った「1CHANCE」から、KO-SHIN とFUJIが全力のコーラスで歌に寄り添った、亡き祖父に捧げる「1106」へ。メロディックパンクのみに留まらない豊かな音楽性と、エロにも感謝にも全力で向き合うひたむきさ、そして圧倒的なオーディエンスと距離の近さがWANIMAの持ち味だ。最後にKENTAが「がんばれとは言わん。大丈夫とも言わん。みんなと共に生きたくて作りました」と言って披露されたのは、「ともに」。明るい光に包まれて《進め君らしく 心踊る方》と、同じ時代を生きる同志たちへのエールの歌が力強く会場に響き渡った。

 すでに大型フェスではメインステージに立つ機会もあるWANIMAや、メジャーレーベル所属のシナリオアート、ミセスというメンツに囲まれて、この日いちばんチャレンジャーなポジションだったのがBenthamだろう。鈴木敬(Dr・Cho)が「Benthamを初めて見る人?」と問いかけたときにも、かなり多くの手があがっていた。そんな中、緻密なアンサンブルがめくるめく展開を見せる「クレイジーガール」をはじめ、小関竜矢(Vo・G)の超がつくほどのハイトーンボイスが繰り出すキャッチーな歌メロが弾んだ「HEY!!」と、4人は十八番の踊れるロックナンバーでフロアをぐいぐいと湧かせていく。ちょうど前日からは全国ツアーがスタートしたこともあり、4人のライブへの集中力はいつも以上に増していた。《走れ 自分の足で》とエールを送る「サテライト」、《輝き出している 夢の途中 大丈夫》と語りかける「君から僕へ」。最新アルバム『ExP』でメッセージ性が増した楽曲の数々が、Benthamをより強くて魅力的なバンドに成長させていた。ラストは汗ダクの小関が「踊れーっ!」と叫んでフロアの歓喜が最高潮へと達した「パブリック」で締めくくったBentham。初見のお客さんの心をがっつりと掴んだ、完全勝利のアクトだった。

 ハヤシコウスケ(G・Vo・Pro)、ハットリクミコ(Dr・Vo)、ヤマシタタカヒサ(Ba・Cho)の3人がタンバリンを打ち鳴らしながら登場したシナリオアート。そのステージがはじまると、またひとつ会場の空気が切り替わった。「二度と来ない今日という物語をシナリオアートとはじめよう」。ハヤシが静かな口調で幕を開けた1曲目はカラフルなサウンドスケープで幸せの在り処を問いかける「エポックパレード」。それが些細な日常に根付く小さな物語だとしたら、続く「スペイシー」で物語の舞台は宇宙へ。ハットリが「アジアに伝わる伝統的なカンフーを伝えにきました!」と言って、届けたのはチャイナ風のファンキーなアレンジが心踊る「ジンキスカンフー」。掛け声は“イー、アル、サン、スー”、会場が一体になるカンフーダンスで踊った。この場所をライブハウスではない別の世界に仕立て上げるシナリオアートの音楽の物語は、年を重ねるごとに多彩に進化していく。激しさと静寂を行き来する「ホワイトレインコートマン」、破壊的なエネルギーを爆発させた「ナナヒツジ」を経て、憂いと憤り、悲しみをメロディに込めた「フユウ」へ。その音楽は毎日が楽しくてハッピーなだけなら生まれなかった類のものだ。明日という現実を生きていくためにシナリオアートが紡ぐ音楽という物語を、お客さんは最後の一音まで逃すまいと聴き入っていた。

 ひとりステージに現れた山中綾華(Dr)のドラムソロからスタートしたMrs. GREEN APPLE。続けて残りのメンバー4人がステージに現れると、「VIP」を皮切りにキラキラと宝石のようなミセスのポップミュージックが明るく会場を照らし出した。そのままハンドクラップで湧いた「Speaking」へ。MCではメンバー全員が声を揃えて「Mrs. GREEN APPLEです!」と自己紹介をしたり、体の動きをシンクロさせたプレイを見せたり、エンターテイメントなパフォーマンスもこのバンドには嫌味なくハマる。雰囲気が一転したのは攻撃的なバンドサウンドで届けた「ナニヲナニヲ」。まるで別人のように攻めの表情へと変わる大森元貴(G・Vo)のボーカリストとしての存在感はとても強い。狂騒のダンスロック「うブ」を経て、「みんなの顔がすごくキラキラしてるんですよ。自覚ないと思うけど」と、嬉しそうに語りかけた大森。全国の夏フェスを席巻したサマーチューン「サママ・フェスティバル!」まで、あまりにも眩しすぎるショータイムだった。アンコールでは「歌う理由のすべてが込められた曲」と紹介した「我逢人」で盛大なシンガロングを巻き起こしたミセス。《傷を負う日もあるけど笑って》――どんな曇り顔も笑顔へと変えるステージを、大森は「すっごくすっごく素敵だー!」と渾身の叫びで締めくくった。

 イベントのトップバッターとして文句なしの火付け役となったWANIMA、ハイブリッドな踊れるロックでその熱量を加速させたBentham、独自の物語で日常を非現実へと変えたシナリオアート、そして、圧倒的な陽性のエネルギーで見事にトリを飾ったMrs. GREEN APPLE。それぞれに音楽を鳴らすべき明確な理由があり、自分たちだけの音楽のかたちを知っているバンドたちの共演はとても刺激的だった。こんな対バンイベントが成功するのは、演者だけでなく、何よりもジャンルを超えて貪欲に音楽を楽しむことができるリスナーの姿勢も大きいと思う。音楽に正解も間違いもないということ。その当たり前を当たり前に感じられる土壌によって、ますますロックシーンは面白くなる。

【取材・文:秦 理絵】

tag一覧 J-POP ライブ WANIMA Mrs. GREEN APPLE シナリオアート Bentham

お知らせ

■ライブ情報

WANIMA

JUICE UP!! TOUR
09/20(火) 渋谷 TSUTAYA O-EAST
09/29(金) 川崎 CLUB CITTA’
10/01(土) 高松 festhalle
10/02(日) 高知 X-pt.
10/15(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
10/16(日) 京都 KBS HALL
10/23(日) 郡山 HIP SHOT JAPAN
10/25(火) 青森 Quarter
10/26(水) 盛岡 CHANGE WAVE
10/28(金) 仙台 Rensa
11/09(水) 浜松 窓枠
11/10(木) 清水 ark
11/12(土) 松本 Sound Hall aC
11/13(日) 長野CLUB JUNK BOX
11/18(金) 米子 laughs
11/21(月) 新潟 LOTS
11/23(水) 富山 クロスランドおやべ
11/25(金) 福井 響のホール
12/19(月) 台場 Zepp DiverCity


Bentham

Bentham全国ワンマンツアー 「Get the ExP 〜ベンサムがあらわれた!ライブにきてほしそうにこっちをみている〜」
2016/09/21(水)新潟CLUB RIVERST
2016/09/27(火)仙台LIVE HOUSE enn 2nd
2016/10/20(木)名古屋APOLLO BASE
2016/10/22(土)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
2016/10/27(木)恵比寿LIQUIDROOM


シナリオアート

VINTAGE ROCK std. presents「Summer Trail 2016」
2016/09/17(土) 赤坂 BLITZ

KANSAI LOVERS 2016
2016/09/18(日) 大阪城音楽堂

Eggs presents TOKYO CALLING 2016
2016/09/19(月・祝) 渋谷ライブハウス

BIGMAMAnniversary 2016〜2017 MAMonthly Special「Autumnend Magic Tour!!」
2016/11/05(土) 新潟GOLDEN PIGS RED

[Chapter #12] -Scenario Library-
2016/11/12(土) Shibuya WWW

SKY-HI LIVE HOUSE TOUR2016 ~Round A Ground~
2016/12/11(日) 京都・FANJ


Mrs. GREEN APPLE

Jumpin’jack 2016
2016/09/29(木) 心斎橋BIGCAT

FM802 MINAMI WHEEL 2016
2016/10/08(土) 大阪・ミナミエリア ライブハウス20ヶ所以上

TOWER RECORDS presents Bowline 2016 curated by キュウソネコカミ & TOWER RECORDS
2016/10/15(土) 名古屋ダイアモンドホール

AKASAKA BLITZ HALLOWEEN 2016 〜 Mrs. FANCY PARTY 〜
2016/10/29(土) 赤坂BLITZ In the Morning Tour
2016/11/20(日) 北海道 札幌ペニーレーン24
2016/11/22(火) 宮城 仙台Rensa
2016/11/27(日) 福岡 DRUM LOGOS
2016/11/29(火) 大阪 なんばHatch
2016/11/30(水) 愛知 名古屋 DIAMOND HALL
2016/12/07(水) 東京 TOKYO DOME CITY HALL
2016/12/08(木) 東京 TOKYO DOME CITY HALL

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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