前へ

次へ

04 Limited Sazabys 「eureka tour 2016-2017 ~one man series~」東京公演をレポート

04 Limited Sazabys | 2016.12.20

 例えばこの先の何年か後、彼らの歴史を振り返るに然るべきタイミングが来たとして、今年、すなわち2016年は、その何年後か先にいる04 Limited Sazabysにとって重要な転換点として刻まれていることだろう。フォーリミの2016年とは、地元・名古屋にて自身が主宰するライブイベント“YON FES”を初開催して大成功に収めた年であり、また、その愛する地元から意を決して離れ、東京に移住した年でもあり、何より『eureka(ユリイカ)』という、バンドにとってのみならず音楽シーンにとってもエポックメイキングなアルバムを作り上げるに至らせた年だ。自らのルーツに抱く愛情や誇りはそのままに、より広いフィールドを目指して大きく一歩を踏みだした革新的な1年だったと言ってもいい。

 ちなみに“eureka”とはギリシャ語で“発見する”“見つける”の意味を持つ。アルバム『eureka』を携えて9月20日から2ヵ月間、全国31ヵ所を対バンしながら廻った“eureka tour 2016”の勢いを追い風に、全国9カ所のワンマン編へと突入した“eureka tour 2016-2017 ~one man series~”。その新章初日となった12月7日、Zepp Tokyoは、『eureka』とそれを伴った旅の日々、さらに言えばこの1年を経て覚醒した04 Limited Sazabysの底知れないポテンシャルを観る者にまさしく発見させたステージではなかっただろうか。

 開演前にしてすでに熱気にむせ返る場内。寒波の訪れなどまるで嘘みたいに暑い。ほぼ5ヵ月ぶりのワンマン公演とあってか、超満員のフロアに渦巻く期待の密度がいつも以上に高く感じられる。今か今かと待ち侘びる想いのピークを測ったかのように唐突にBGMの音量が上がった。客電が落ちるのと入れ替わりにパッと明るくなるステージ。大歓声を浴びて現われた4人はそれぞれの位置につくと、互いに視線を交わして直後、一斉に音を重ねた。 「“eureka tour”ワンマン編、始めまーす!」

 そう告げて、高く張りのある歌声を放つGEN(Vo.& B.)。「“eureka”ワンマン、始めるぞ!!」、野太いRYU-TA(G.& Cho.)の咆哮を合図に待ってましたとばかりフロアが沸き返る。フロアのあちこちで起こるクラウドサーフ、間断なく繰り返されるその光景はボコボコと沸騰する水面そのもの。興奮のタガを外したオーディエンスをKOUHEI(Dr.& Cho.)の叩き出す轟音高速2ビートが迎え撃ち、HIROKAZ(G.)の鋭くも華のあるギターが容赦なく煽る。目をみはるのはいっそう盤石感を増したアンサンブルのしなやかさだ。ここまでの31公演で鍛え上げられてきたのだろう、音に筋肉があるとするならば、はっきりとその質が違う。4人4様の音が隙なくガッチリと噛み合ってなお伸びやかと言おうか、奔放自在に猛りながらもブレない太い芯を思わせると言おうか、とにかくタフに育っている。安心してサウンドに身を委ねているオーディエンスの表情もそれを物語っている気がした。

 「みなさんが悲しみに負けないようにこの歌を贈ります」と奏でられた「drops」。リズミカルで楽しげな曲調とは裏腹に歌詞にはどうしようもないやるせなさが宿る楽曲だが、だからこそ、曲中、GENの先導で会場が一緒になって声を上げた“♪Alright”のコール&レスポンスが頼もしく響く。台の上に立ったRYU-TAが両手を合わせて頭上高く掲げ、“たけのこニョッキ”のような動きをするや、RYU-TA側のフロア半分が同じ動きで応える様子も微笑ましい。「もっと高いところに一緒にいきませんか」と呼びかけてスタートした「Warp」では満場のクラップがはじけ、「climb」ではリフレインする“♪もっともっと”のフレーズに激しく床がバウンド。『eureka』の楽曲を軸に、ステージとオーディエンスの想いが交わり、ひとつのライブとして織り上げられていく様にワクワクとした昂揚感を覚える。この昂揚感はおそらく『eureka』という作品に彼らが標榜した“未来への希望”にも直結するものだ。

 レゲエ調に転調するブリッジやカウベルの音色も印象的な「Telepathy」、切なさを帯びたメロディが疾走する「Night on」。セクシーな世界観が『eureka』の中でも異色な「mahoroba」の、その粘り気のあるロカビリーテイストなサウンドは、4人を染め上げるピンクの照明と相まっていっそう艶かしくオーディエンスを惹きつける。この日のライブは『eureka』によって一気に花開いた音楽性の豊かさを改めて見せつけるものでもあった。 「『eureka』という希望の濃度のすごく濃い作品ができたのも、3?4年前のやさぐれた俺だったら絶対に書けなかった歌詞が書けるようになったのも、こうやってステージに立てているのも、紛れもなくみなさんのおかげ。いつも力をもらっています。今日もみなさんがせっかく音楽という実体のないものを捕まえにきてくれたから、できるだけ音楽の力でみなさんの精神をコーティングして、武装して、強くなった状態でかえしたい」

 折々のMCでは、いろんなバンドと凌ぎを削りながら本気で闘ってきたことや、全国各地で待っててくれる人たちからたくさんパワーをもらったことなど、対バンツアーを振り返る場面もあれば、彼らが敬愛してやまない伝説のパンクロックバンド、Hi-STANDARDに触れ、明日にハイスタとの2マンライブを控えていること、10月にゲリラ的にリリースされた15年ぶりのニューシングル「ANOTHER STARTING LINE」が本当にうれしかったこと、またこの日に発売のリマスター音源「Vintage & New,Gift Shits」も早速ゲットしたこと、「この歳になってもこんなに子供みたいな気持ちでワクワクできるなんて」:と熱く語る場面もあった。「俺たちにとってのハイスタみたいな存在に、みなさんにとっての俺たちがなりたい」とも。その中でも印象的だったのが上述のGENの言葉だ。音楽に救われ、音楽を武器に闘い続けてきたフォーリミだからこその言葉がじわりと沁みる。 「みなさんの絶望をかき消すような希望に僕たちはなりたい。闇なんて光がないだけ、俺たちはみなさんの光になれたらいいなと思ってます。やまない雨はないし、明けない夜もない」

 そう言って捧げられた渾身のバラード「eureka」は間違いなくこの日のハイライトだったろう。一音一音、丁寧に紡ぎ上げられる情感溢れるサウンドに、覚悟をたたえたGENの切実な歌が乗って、空間を真っ直ぐに渡る。生々しくも美しい4人の意志がオーディエンスのひとり一人に手渡された瞬間だった。

 来年まで続くこの“eureka tour 2016-2017 ~one man series~”、2月11日には初の日本武道館ワンマン公演のステージに立つ。「音楽の力で奇跡が起きまくって、俺たちは夢叶えまくってますが、まだまだ夢の途中。まだまだ見たい景色があるし、みなさんを連れて行きたい場所がある。今もむちゃくちゃ幸せだけど、俺たちの人生の幸せはまだこんなもんじゃないって最近は思います」とGENも口にした通り、04 Limited Sazabysの旅はまだまだ続く。彼らの未来をともに追いかける、それもまた幸せだ。

【取材・文:本間夕子】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】

tag一覧 男性ボーカル ライブ 04 Limited Sazabys

リリース情報

eureka[初回盤(CD+DVD)]

eureka[初回盤(CD+DVD)]

2016年09月14日

日本コロムビア

01.Horizon
02.Feel
03.drops
04.Warp
05.paradise
06.climb
07.Night on
08.mahoroba
09.discord
10.Telepathy
11.Letter
12.eureka
[初回盤DVD収録内容]
・AIM tour 2016 final @TOYOSU PIT
・AIM tour Diary
・NEWS 04
・AIMツアー 慰安旅行?

お知らせ

■ライブ情報

ポルノ超特急2016
2016/12/24 京都パルスプラザ

MERRY ROCK PARADE 2016
2016/12/25 ポートメッセなごや

J-WAVE "THE KINGS PLACE" LIVE Vol.12
2016/12/26 新木場 STUDIO COAST

RADIO CRAZY
2016/12/28 インテックス大阪

COUNTDOWN JAPAN 16/17
2016/12/29 幕張メッセ国際展示場

eureka tour 2016-2017
2017/01/07 高松オリーブホール
2017/01/13 広島 CLUB QUATTRO
2017/01/15 福岡 DRUM LOGOS
2017/01/20 なんば Hatch
2017/01/22 Zepp Nagoya
2017/01/29 Zepp Sapporo※振替公演

2017/02/11 日本武道館

No Big Deal NIGHT
2017/02/25 新宿LOFT&LOFT BAR

JAPAN’S NEXT TURBO 2017
2017/03/19 豊洲PIT

LIVE HOLIC vol.10
2017/03/20 新木場STUDIO COAST

YON FES 2017
2017/04/01 モリコロパーク
2017/04/02 モリコロパーク

ARABAKI ROCK FEST.17
2017/04/29 みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

VIVA LA ROCK 2017
2017/05/03 さいたまスーパーアリーナ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る