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BRADIO、限界知らずのソウルショーで魅了した夢のような一夜をレポート!

BRADIO | 2016.12.26

 ライブは目配り気配り心配り。メンズはレディを気づかうように。開演前に流れたライブのマナー講座に、満員のフロアが爆笑する。コント仕立てのVTRに、BRADIO自身が出演。初のZepp Diver City(TOKYO)公演を、自らの前説で温めたからだ。そのVTRが流れたスクリーンに、真行寺貴秋(Vo)の巨大なシルエットが映る。続いて大山聡一(G)、酒井亮輔(B)、田邊有希(Dr)の姿が。「♪オトナよ、遊べ――ッ!!」の声にスクリーンがハラリと落ち、「オトナHIT PARADE」が始まる。サビの♪ギミギミギミ~♪でフロアは一斉に手を振り、真行寺が「お台場よ、遊べ――ッ!!」と叫ぶ。最高のオープニングだ。

 そこへ真行寺の豪快なフェイクが鳴り響いた。目の覚めるような幕開けの代表曲「Flyers」。♪Boom,Boom,Boom~♪というBメロに手が挙がり、2番のサビ前で細かい手拍子が鳴らされる。続く「Step In Time」には♪papapapa-ya~♪など、オシャレなフックが登場。BRADIOが“Funky Party People”(略してFPP)と呼ぶファンは、驚くことにそのすべてに対応した。BRADIOが1曲ごとに仕込んだ、溢れるようなアイデアのおかげで初めてでもすぐに参加できる。このオープンな空間がとにかく楽しい。

「Zepp Diver City(TOKYO)。俺はずっとライブを観に来る場所だと思ってました」

 真行寺はこぼれるような笑顔でそう言った。田邊は最初のMCで「今日は楽しい時間を過ごしてきましたが……」と話の順番を間違えた。うれしさが抑えられないのだ。そんな彼らを象徴するバラードが「ギフト」だった。そこで歌われるのは両親への想いだ。真行寺は♪あなたの子供でよかった♪とその気持ちを隠さない。ステージでは歌詞の字幕まで映し出される。嘘のない言葉や姿勢は聴く者をここまで圧倒するのか。そのとき、BRADIOの強さに触れた気がした。

 しかし彼らはその空気を惜しげもなく変える。アコースティック編成の「Jasmine」の途中でSMAP「セロリ」のワンフレーズを歌い、「♪ちょっとフザケちゃった~」とボケる。真行寺と奥野大樹(key/ルルルルズ)、イマニとエモニー(Cho)で贈る「Chocolate Flavor」。「どう調子は?」と振ったくせに、彼女たちがネイティブな英語で答えると、「何言ってるか全然わかんねえ!!」と逆ギレする寸劇を挟む。ところが、このアカペラがすごかった。真行寺はファルセットのハモリで彼女達と堂々と渡り合ったのだ。日本人がここまでできるとは。さらに彼女たちにソロを任せて、会場が「オオ――ッ!!」と称賛する場面を演出。レディには対等かつ丁重に。真行寺貴秋によるリスペクトが至福の瞬間を生んだ。

 BRADIOの真骨頂となったのは「Golden Liar」。

「お前たちはどれぐらいPUMP UPしてきたのか。試させてもらっていいかい!?」

 PUMP UPの意味は“元気を注入する”。それをどう証明するのか。と考える暇も与えず、真行寺はフロアに降りて「(衣装の)スパンコールは痛いから気をつけろ。アフロタッチはご自由に」と客席の真ん中をズンズン進んでいく。そして上手と下手から大山と酒井まで呼び寄せて、フロア中央で「4人中3人がステージにいない。こんな光景、見たことあるか――ッ!?」と爆笑を誘った。そこからタッチされながらのコール&レスポンス。ステージに戻った大山と酒井は楽器を交換して演奏再開。真行寺は違和感を感じつつ、♪Ah! Ah! Ah!♪♪Uh! Uh! Uh!♪の大合唱を指揮。たしかに、こんな光景見たことない!! ♪君のせいで――ッ!!♪と渾身のシャウトを決めたあと、「やっぱり楽器が逆だよ!!!!」という突っ込みで、壮大なソウルショーを完結させたのだ。

まさに完全燃焼。と終わらないのがすさまじい。「スパイシーマドンナ」「FUNKASISTA」でライブは限界をさらに超える。「最高のメンバーを紹介します。(会場を指差し)FUNKY PUMP UP PEOPLE!!」と真行寺が思わず叫んだほどだ。そんなFPPに悲鳴を上げさせたのが、2017年1月18日・2ndフルアルバム『FREEDOM』と、11都市公演のツアーファイナル中野サンプラザ公演の告知。新作アルバムは「最高傑作」と胸を張るメンバーの言葉も、BRADIOファンクの決定版「Back To The Funk」や、アンコールで披露された新曲「-Freedom-」が証明してくれた。

 「俺たちがここに生きてるんだって、誰かに見てもらいたくて、音楽をやってきました。みんなのおかげでとても幸福です。だから僕らの音楽で伝えたい。この世の中、みんな、幸福になるために生まれてきたんだぞって。これからは、そのために音楽をやります」

 最後の曲「Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-」が始まる。この美しい曲を耳にして、ふと思う。開演前のマナー講座は誰にもケガをさせないため。フックに命を賭ける曲や、一瞬も飽きさせない演奏と演出は、誰かに夢や未来を見せるため。そのために音楽をやる。BRADIOのその覚悟が、自分たちを幸福にさせているのだと。

【取材・文:柳村睦子】
【撮影:木場ヨシヒト】

tag一覧 BRADIO ライブ 男性ボーカル

リリース情報

FREEDOM[通常盤]

FREEDOM[通常盤]

2017年01月18日

HERO MUSIC ENTERTAINMENT

1.Back To The Funk
2.-Freedom-
3. 彼女ハリケーン
4. 蝙蝠
5. ギフト
6.Revolution
7.KAMISAMA
8.HOTEL エイリアン
9. 思い通りにならない世界
10.Get Money
11.All I Need Is You
12.Colors

お知らせ

■ライブ情報

FREEDOM tour 2017
2017/03/05(日) 東京:赤坂 BLITZ
2017/03/10(金) 広島:セカンドクラッチ
2017/03/12(日) 香川:高松 DIME
2017/03/19(日) 富山:SOUL POWER
2017/03/22(水) 鹿児島:SR HALL
2017/03/24(金) 福岡:DRUM LOGOS
2017/03/26(日) 新潟:LOTS
2017/03/31(金) 北海道:Penny Lane 24
2017/04/02(日) 宮城:仙台 RIPPLE
2017/04/08(土) 大阪:なんば Hatch
2017/04/22(土) 愛知:名古屋 DIAMOND HALL
2017/04/30(日) 東京:中野サンプラザ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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