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謎の仮面バンドXmas Eileen、ソールドアウトの代官山UNITでツアー完結!

Xmas Eileen | 2017.02.02

 会場に入るなり、いきなりBACK DROP BOMBの曲が流れ、その次にSYSTEM OF A DOWNと続き、往年のミクスチャー/ラウドを流すDJ KOCHANGの選曲にニヤッとした。Xmas Eileenの音楽性もミクスチャーの面白さを継承し、現代風にアップデートした上で、新しいスタイルに発展させた形と言える。彼らのライブはそのユニークな立ち位置が、白日の下に晒される。  昨年8月に出たメジャー1stアルバム『ONLY THE BEGINNING』レコ発ツアーファイナルは見事ソールドアウト。男女比も半々で、年齢層もバラバラ。その客層もバンドの音楽的振れ幅を物語っているようだ。開演18時ジャスト、おなじみのSEが流れると、白い仮面と黒いトレンチコートを身にまとった謎のメンバーたちが登場。ステージ中央のパフォーマーは手拍子で、満杯のフロアとコンタクトを交わす。「最後まで楽しみましょう!」というギターの言葉を合図に、「Escape to Paradise」でショウは始まった。すると、最初から観客はジャンプで応え、特大パーティーのごとく活気が渦巻く。助走もない。長い導火線も必要ない。火を付けた瞬間に沸騰している。その吹きこぼれんばかりの熱々のフロアにさらなる具材が投下される。続く「No Justice in this world」ではオイオイ!と叫びながら拳を突き上げる観客が増え、ファンが次々とクラウドサーフする姿も目に入った。

 それからバキバキのスラップベースやギターソロもフィーチャーした「Still a Liar」へ。バンドの演奏はさらに加速し、観客からハンドクラップも起き、熱気は右肩上がりに上昇!
今日のライブはLINE LIVEでも生配信されているようで、この時点ですでに1万人(最終的に2万人)が観ているとギターがこぼす。観客の一人が日本武道館という言葉を口すると、「武道館を目指してなかったら、ここに立ってない。もっと先へ」とヴォーカル右が頼もしい発言で答えていた。  会場にレーザー光線が飛び交う中、エッジとボトムを強化した演奏とクラブ/ダンス・ミュージックを融合させ、縦に横に容赦なく攻め続ける。生演奏とエレクトロの比重は曲によっても異なり、1曲の中でもコロコロと表情を変えていく。ヘドバンした後に両手を横に振る光景が広がり、それからサークル・モッシュみたいな観客のリアクションも珍しくない。変幻自在の曲調と連動し、フロアはライブハウスにもなれば、ダンスフロアにも様変わりする。その中で、誰一人置き去りにしないアプローチは、今ツアーで鍛え上げられたものかもしれない。

 観客に背中を向け、パフォーマーが指揮棒を振り始めると、「Number Nine」を披露。オーケストラちっくな壮大感を見せつけながら、パンクの衝動やキャッチーなメロディに加え、エレクトロの高揚感も運んでくる。その不思議なバランス感にも思わず引き込まれてしまった。続いて、「Zombie」をプレイ。最初NGになったタイトルの代替案となった曲だ。(インタビュー参照)ヴォーカル左が拡声器を使用するイントロから、バンドと観客がマイケル・ジャクソンの「スリラー」のごとくゾンビ風に両手を掲げる。音源以上にカオスなパーティー感を炸裂させ、抜群のライブ映えだった。

 家族、恋人、友達、みんなが楽しめるバンドになれたらいいとヴォーカル右は言うと、「Future Song」に突入。最新作の中でも異色の歌ものナンバーだ。不安や心の痛みを赤裸々にした歌詞通り、これまでのアッパーな曲調とは正反対の心情を描いている。お祭り騒ぎだけではなく、人間臭い側面も露にしたバラードが胸に沁みた。みんなで大騒ぎしたい時もあれば、一人孤独に人生を見つめ返す時もある。どちらも必要で不可欠なもの。白い仮面からフッと飛び出した哀愁にドキッとした。

 後半は再び熱さ全開で突っ走っていく。「Kiss me Kill me tonight」におけるヴォーカル右のラガマフィン調の歌声も冴え渡り、ウォーウォー!の大合唱が鳴り響いた。本編を「Keep on A・B・C・ing」で締め括ると、メンバー7人はこの日のために借りたというVIPルームに一旦引き返す。シャンパンを飲みながら和気あいあいと楽しむ様子を、会場設置のスクリーンが映し出す。素顔を隠した彼らの、素顔に近い他愛もない会話が続く。それも彼らなりのサービス精神の表れだろう。

 「僕らの茶番に付き合ってくれてありがと!」とヴォーカル右を言うと、アンコールはこの日二度目になる「Escape to Paradise」、「Kiss me Kill me tonight」と立て続けに披露し、1時間50分に及ぶショウは幕を閉じた。いやぁ、楽しかった。音楽のアミューズメントパークと例えたくなるワクワク感と、ふと垣間見える人間味が同居したパフォーマンスに終始圧倒された。ライブ中に新しい音源を制作中と言っていたが、次作も驚きの要素が詰まっているのではないか。そんな期待をせずにはいられない、魅惑のツアーファイナルだった。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:Shinya Tanaka】

tag一覧 男性ボーカル ライブ Xmas Eileen

リリース情報

ONLY THE BEGINNING(初回限定盤)

ONLY THE BEGINNING(初回限定盤)

2016年08月31日

ビクターエンタテインメント

01. Jingle Bells
02. Fly High
03. Still a Liar
04. Before the Skyfall
05. Zombie
06. Wonderful Life
07. December Butterfly
08. NANANA
09. Number Nine
10. Good‐bye Summer Day
11. No Fade Out
12. Future Song
[BONUS TRACK] 
Keep on A・B・C・ing ‐Zardonic Remix‐
[初回限定盤DVD]
「Keep on A・B・C・ing」
「Fly High」
「暁ロックフェス2016」ドキュメント

お知らせ

■ライブ情報

Music Art Tokyo
2017/3/12(日) 新木場STUDIO COAST

ビクターロック祭り 2017
2017/3/18(土) 幕張メッセ国際展示場

YOSHI ROCK FESTIVAL 2017
2017/3/24(金) 恵比寿LIQUIDROOM

FABLED NUMBER 1st full album『ILLMINATE Tour2017』
2017/3/30(木) 金沢vanvan V4

SALTY DOG "Unknown Horizon” release Tour ファイナルシリーズ
2017/3/31(金) 渋谷WWW

ZEPHYREN presents A.V/E.S.T project vol.10
2017/4/15(土) TSUTAYA O-EAST, O-WEST, O-nest, O-crest, duo music exchange, club asia, VUENOS

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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