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96猫 LIVE TOUR “ちょこっと96猫お邪魔します!~2.5D~”ライブレポート

96猫 | 2017.04.14

 96猫が東京・大阪でワンマンライブを開催した。およそ2年ぶりとなった今回の単独ライブ。東京では3月31日にZepp DiverCity TOKYOにて行われた。

 今回のツアーサブタイトルにある2.5Dとは2.5 Dimensionの略。2.5次元のことだ。平面である2次元と、立体物である3次元の中間を指す、この2.5D。2Dはバーチャル、3Dはリアルとも置き換えられ、この日のMCでも、この2.5Dについての説明が、<バーチャルでもありリアルでもある自分の存在のよう>と96猫自身から告げられた。
平面の世界を飛び出したかのような佇まい。記名のある匿名性。バーチャルっぽいがキチンとリアルに実存する。本尊よりもむしろそこからのプロセスやアイデンティティが親しまれる文化等々…まさに、この2.5Dは現在の96猫らしい在住地を絶妙に表している言葉といえよう。
しかしこの日、私が感じたのは、その2.5Dを超え、限りなく3Dに近い96猫の姿。それは会場とのより一層の繋がりやアンコール時でのフロアに向けての涙を交え読まれた感謝の手紙、そしてそのリアクションと共に一気に2Dから3D、はたまた聴き手との同化への発展からも伺えた。

 開演前の影アナは96猫本人が担当。コミカルさと親しみやすさも交え、ライブへの注意事項が伝えられる。96猫がCVを務めた、当日寝坊し急いで会場に向かうコミカルな映像と共に、まずはバックのメンバーが登場。ギターはナッツ、ベースは井澤惇、ドラムは森、キーボードは、うぃんぐの布陣だ。映像ラストの「間に合った!」の言葉に合わせ、続いてステージに96猫が現われる。
疾走感溢れるサウンドに乗り、会場をここではない地平へと誘った「Crimson Stain」からライブはスタート。低音から高音まで、伸びやかに響くその歌声は今日も健在だ。続いての「Dream Breaker」ではバンドサウンドの躍動感にエレクトロサウンドが加わり場内にダンサブルさが呼び込まれる。次の「虎視眈々」に移ると、同じダンサブルさながら開放感と上昇感が会場に加わっていく。

「今日はみなさんの熱を感じたくてやってきました。初見の人もライブ自体初体験の人も周りの空気に合わせて自分の好きなように楽しんで」と最初のMC。続いての「ブラックペッパー」ではポップな面と多面性と多彩なヴォイスを楽しませてくれ、本来ユニゾンで歌われる部分も会場の歌声で補完。楽曲が完成されていく。

 この日は残念ながら雨。ならばと雨にちなんだ「rain stops good-bye」が披露され、バックに映し出された雨だれの映像と共に、しっとりとした艶やかなミディアムバラードが会場全体に広がっていく。ミディアムな曲は続く。次の「月光」では伸びやかなその歌声がラストに向かうにつれ、とてつもなく浸透していった。

 ここからはうって変わり激しい2曲を連射。「ゴーストルール」ではザックザックなディストーションギターと気高い呼応と共に会場も力強く駆け抜け、この日の最高速を記録した「千本桜」では、後半の歌詞が会場の歌声と共に完成されていった。

 中間にはボーリング対決の映像が交えられた。残念ながら96猫が負け。罰ゲームのわさび水を飲む映像が流される。

 中盤に入ると最新曲「嘘の火花」(フジテレビ系アニメ『クズの本懐』OP曲)が会場をもう一度走り出させる。めまぐるしいながらも、それにしっかりとついていくオーディエンス。「実はこの曲の歌い方に迷った。結局、自分なりに歌った結果がこのような歌い方となった」と歌唱後の96猫自身が語った感想も感慨深い。

 後半に向け、しっとりゾーンが組まれた。ストリングス音とともに、ゆっくりとしっとりと伸びやかに包まれていった「下弦の月」、満点の星空の映像をバックに歌われた「StarRingChild」、あなたの娘に生まれて良かった。親への感謝穂気持ちが広がって行った「MOTHER~7S ver.~」に、会場も心を同化させるように聴き入った。また、「独り言」(「嘘の火花」C/W)では、「死別」をテーマにイラストレーターのふすいの描いた絵物語をバックにダイナミズムと感情移入たっぷりに歌を伝えてくれた。

 ここから本編ラストまでは一体感のある曲が次々に現れた。ファンキーさと土着性を交えたダンスミュージック「バレリーコ」、会場に無数のワイパーを生んだ「インタビュア」、「ラズベリー*モンスター」では、圧巻の彼女のハイトーンボイスが会場を魅了。会場からの力強い呼応と共にみなに活力を与えてくれた。本編最後は「こちら、幸福安心委員会です。」まさに全員参加の体を魅せた同曲。ズンズンガシガシ力強く進んでいくサウンドと共に、みんなが楽しそうに歌っている光景は清々しささえ感じられた。

 アンコールでは曲に入る前にステージから会場に「大好きなファンのみんなへ」と題された、この10年間応援し、支え、並走してくれたファンのありがたみや、みんながいるから自分がここまで来れたし頑張っていられる謝辞、そして正直、再びライブで歌うことに躊躇もあったが、みんなと再び会いたいし、一緒にまたアホなことがやりたくて決心し、このステージに立ったが、結果これまで憧れだった景色をこうして見れたことへの感謝が織り込まれた手紙が読まれる。「これからも疲れた時はみんなにもたれかかってもいいですか。これからも友だちとしてよろしくお願いします」と会場に向け告げる96猫。返る無数の温かい拍手や力強い呼応は、これからもみなが96猫としっかりと一緒に進んでいく心強い支えのように響いた。
アンコールは2曲。「ギガンティックO.T.N」「いーあるふぁんくらぶ」と、96猫の『歌ってみた』シリーズのレパートリーの中でも人気の高い、あえて出自を誇示するかのような楽曲たちが、こちらも会場全員参加で元気よく明るく楽しく歌われた。

 アンコール以降、会場への手紙も手伝い、より身近で寄り沿える存在に映った96猫。2.5Dなどと自身を称しながらも、この公演の終了後にはしっかりと3次元以上の存在と役割を果たしてくれたのも印象深い。
2.5Dのはずが終演後の自分の中では2.9Dレベルに達していた、この日のライブ。元々彼女のニコニコ動画に掲載している『96猫の足跡』と題された自身の歌をアップしているリストには、「この歌が誰かの支えになれますように」と書いてあったことをふと思い出した。
今後も96猫は、その歌声や佇まいで、これからも多くの人の支えとなっていくことだろう。帰路それを強く確信した。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 J-POP ライブ 96猫

リリース情報

嘘の火花【アニメ盤(期間生産限定盤)】

嘘の火花【アニメ盤(期間生産限定盤)】

2017年03月15日

Sony Music Records

DISC 1
1. 嘘の火花
2. 独り言
3. ラズベリー*モンスター
4. 嘘の火花 -Instrumental-
5. 独り言 -Instrumental-

DISC 2
1. 「嘘の火花」 Music Video
2. TVアニメ「クズの本懐」オープニング映像(ノンクレジットver.)

セットリスト

96猫LIVE TOUR“ちょこっと96猫お邪魔します!~2.5D~”
2017.3.31@Zepp DiverCity

  1. 1.Crimson Stain
  2. 2.Dream Breaker
  3. 3.虎視眈々
  4. 4.ブラックペッパー
  5. 5.吉原ラメント
  6. 6.rain Stops good-bey
  7. 7.月光
  8. 8.ゴーストルール
  9. 9.千本桜
  10. 10.嘘の火花
  11. 11.calc.
  12. 12.下弦の月
  13. 13.StarRingChild
  14. 14.MOTHER ~7s ver.?
  15. 15.独り言
  16. 16.バレリーコ
  17. 17.インタビュア
  18. 18.ラズベリー*モンスター
  19. 19.こちら、幸福安心委員会
  20. EN1.ギガンティックO.T.N
  21. EN2.いーあるふぁんくらぶ

お知らせ

■ライブ情報

CONNECT SERIES in TAIPEI、GUANGZHOU
05/21(土) THE WALL公館
05/22(日) TU凸空間

「ずっと前から好きでした。 〜告白実行委員会〜」大後夜祭
06/19(日) 東京国際フォーラム ホールA

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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