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『FTISLAND Arena Tour 2017 - UNITED SHADOWS -』ツアーファイナル、日本武道館

FTISLAND | 2017.06.08

「ありがとう」、「ありがとね」----、これまで見たことがないぐらい何度も、何度もファンに感謝の気持ちを伝えたホンギ(Vo)。FTISLANDが、今どうしても伝えたい思い全てをここに託した、そんな彼らの意思を感じさせるライブだった。

 FTISLANDは5人組の韓国のロックバンド。すでに日本でメジャーデビューして7年、韓国では10年というキャリアを持つ。アイドルがダンスを踊らずロックバンドをやる。前例がなかったからこそFTは“光”を浴びながらも、その道のりで何度も迷いや葛藤にぶつかってきた。そういう“影”を丸ごと肯定して突き抜けてきた先に今がある----そんなバンド人生を描いた日本のニューアルバム『UNITED SHADOWS』を引っさげて、5月6日に愛知・日本ガイシホールから『FTISLAND Arena Tour 2017-UNITED SHADOWS-』をスタートさせた彼らが、6月2日、東京・日本武道館でツアーのラストを締めくくった。

「OK、行くぞ!」。メンバー登場に会場中が高まると、ホンギ(Vo)の掛け声でライブはニューアルバムの1曲目、「Shadows」のハードなサウンドで幕開け。ミンファン(Dr)のパワフルなドラムが、“闇に落ちても何度だって光を求める”という楽曲に込められたメッセージを体現。そこからいきなりクライマックスへと導くようなライブのキラーチューン「FREEDOM」へと展開。スンヒョン(Gt)のシャウト気味のスクリーモを聞き、ミンファンがニヤリとした後はホンギがオーディエンスを座らせ、合図と共に全員で一斉にジャンプ! 客席にはFTのタオルが舞った。ライブでは久々の「BEAT IT」、「PUPPY」もファンとともにライブで育ててきた曲とあって、観客はすぐさま一丸となり、ハンドクラップ、シンガロングで呼応していく。すると「みんなテンション高いねー」とホンギ。序盤は、ニューアルバム収録曲ではなく、これまでファンと一緒にライブを作ってきた曲が続く。

 次もまた久々にプレイする「BE FREE」。あの当時よりもよりパワフルに、けれども余裕を持って8ビートを表現していく彼らに、積み上げてきた歳月を感じた。「届けたい、ウォーオー」と叫んだ後、ホンギが曲中いきなり「最近いろんなことがあって自分じゃなくなってたんだけど、みんなの力やメンバーの力でやっと元の自分を取り戻せた。これからはこのまま俺は走っていくからよろしくお願いします」と思いの丈を吐露したシーンは、胸にグッとくるものがあった。そうして再び曲に戻ると「俺らも一緒に走るからな」とでもいうように、メンバーたちが力強いコーラスでホンギに寄り添う。そこから“咲き誇れ 名もなき花よ~”と「シアワセオリー」が始まるとファンは驚き、久しぶりにこの曲を彼らがチョイスした意味を噛み締める。そして後光に照らされるようにホンギが照明を浴び「To The Light」を歌い出すと、ファンが強い強いシンガロングを通してホンギを讃えるなど、ホンギの激白以降みんながとった行動は、音楽を通して大切な仲間を思いやっているようで、見ていてひたすら心がジーンとした。

 シャンパンを開ける効果音から、ジェジン(Ba)がリズムをグルーヴさせ裏声でコーラスを入れていった「Champagne」、スンヒョンがジェジンに近づき、スクラッチ音に合わせてジェジンの肩をこする「COME ON GIRL」で場内の空気は徐々に軽やかさを増し、それが大爆発したのが「Flower Rock」だった。音楽をピュアに楽しんでいた頃をお互い取り戻そうと言わんばかりに、FTはここでメジャーデビュー曲を超久々に披露。すごい数のサーチライトが交差する中、メンバーがフリーダムに動き出すと、ファンも大喜び。舞台センターに設けられた(武道館ではFT史上初の)花道まで出てきたジョンフン(Gt)がスンヒョンの腰に手を回し(←ホンギに「エロい!」と怒られる・微笑)スンヒョンのギターでカッティングを入れ、メンバーと観客みんなでジャンプを決めると、それを祝福するかのようにアリーナには銀テープが舞い降りた。「Falling Star」ではホンギとジョンフンが全速力でポジションを入れ替わると、そこに他のメンバーも加わり、曲が終わる頃にはみんなバテバテに。「俺らの夏のライブはいつも走って、また走って、ちょっと休んだらまた走ってだから、今みんなは1.5kg痩せてるはず。俺は3kg痩せた」とホンギが話している間に、メンバーは花道の先端に移動。「たまに前に出ると恥ずかしい」というミンファンの自然体トークに、客席から悲鳴が上がる。

 ここからはFTの秋のツアーではおなじみのアコースティックコーナーへ。「Orange Days」終了後、スンヒョンが座っていた椅子が壊れるハプニングがありながらも、メンバーは終始和やかな雰囲気で3曲をアコースティックアレンジで演奏。「椅子が壊れたり(笑)、こういう自然な雰囲気で歌いたかった」と本ツアーのセットリストを考えたホンギが、このコーナーを作った理由を解説。「本当は体を休めるところだけどね」と、ファンの笑いを誘った。

 この後はライブも終盤。体力が回復した後は「YOU DON‘T KNOW WHO I AM」、「未体験Future」と再びコール&レスポンスの声が膨れ上がり、そのままメタリックなダークチューン「Take Me Now」に突入すると、うねりをあげるミンファンの重量感たっぷりのビートに合わせて楽器隊4人が揃ってカッコよく頭を振る。そうして本編ラストは「1234」で再び会場とステージが合唱で気持ちを一つにしていった。

“FTISLAND“というコールで、再びステージに現れた5人。ホンギは韓国で10年、日本で7年重ねた月日を「若いのに走ってきた」と振り返り、この10周年のタイミングで「ゼロに戻って新たな僕らを作ろうとメンバーと話しました」と伝えた。「これまでも僕らの好きな音楽をしてきたけど、これからはもっと責任感を持って、気持ちよくやってみようかなと思ってます」と気持ちを込めて語り、また、自分たちの正直な今の気持ちは「今日の歌詞の中に入ってる」ことも言葉にして伝えた。

 FTISLANDはこの後、韓国で10周年記念アルバム『OVER 10 YEARS』を発売し、本格的なアニバーサリーイヤーに突入する。日本ではジョンフンが8月1日、東京・中野サンプラザで自身初のソロ・ファンミーティングを開催。さらなる彼らの飛躍にますます期待がかかる。

【取材・文:東條祥恵】
【撮影:田中聖太郎/川嶋謙吾(田中聖太郎写真事務所)】

tag一覧 韓国 ライブ 男性ボーカル FTISLAND

リリース情報

UNITED SHADOWS(初回限定盤A)

UNITED SHADOWS(初回限定盤A)

2017年04月12日

ワーナーミュージック・ジャパン

01 Shadows
02 Mystery
03 JUST DO IT
04 CRAZY LOVE
05 1234
06 TURN UP
07 Champagne
08 Go again
09 I’ll be there
10 A light in the forest
11 REASON

セットリスト

FTISLAND Arena Tour 2017 - UNITED SHADOWS -
2017.06.02@日本武道館

  1. 01.Shadows
  2. 02.FREEDOM
  3. 03.BEAT IT
  4. 04.PUPPY
  5. 05.BE FREE
  6. 06.シアワセオリー
  7. 07.To The Light
  8. 08.Champagne
  9. 09.COME ON GIRL
  10. 10.Flower Rock
  11. 11.Falling Star
  12. 12.Orange Days
  13. 13. A light in the forest
  14. 14.FISH
  15. 15. YOU DON’T KNOW WHO I AM
  16. 16.未体験 Future
  17. 17.Take Me Now
  18. 18.1234
 ENCORE
  1. EN 1.REASON
  2. EN 2. AQUA
  3. EN 3.アイデンティティ
  4. EN 4.Here

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