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THE ORAL CIGARETTES、バンドの足跡をステージに刻み込んだ日本武道館公演

THE ORAL CIGARETTES | 2017.06.27

 両A面シングル「トナリアウ / ONE’S AGAIN」(6月14日リリース)のインタビューでも、迫り来る日本武道館への想いを語ってくれたTHE ORAL CIGARETTESの4人。そこから怒濤のように時が過ぎ、気づけば6月16日の【UNOFFICIAL DINING TOUR 2017】公演の当日を迎えていた。しかも、チケットは一般発売後に数秒でソールドアウト。ステージ後方に迫るエリアまで12000人のファンが集結するという堂々たる結果となった。この溢れるような期待感に、彼らはどう応えてくれるのだろうか。

 開演時間が訪れ客電がフッと落ちると、ライブ前のお約束、山中拓也(Vo・Gt)の「1本打って……」のコールに観客が拍手で反応するスタイルでライブがスタート。2本、3本、そして「4本打って……」の4連拍手の次に、ステージ前のスクリーンに重厚な映像が広がった。迫力ある演出に圧倒されながらも、ほどなく手拍子が起こり、メンバーを迎える準備が整っていく。どんなスタイルでメンバーが登場するかと思っていたら、スクリーンに4人のシルエットが浮かび上がるというドラマチックな展開だった。大歓声の中、山中にピンスポットがあたり、彼の歌声で曲が始まる。観客が彼の声に集中するなか、突如爆音が響いてスクリーンが落ち、「5150」で勢いよく本編が幕を開けた。途中、煽るような火柱も上がり、熱量を上げながら「Shala La」へ。この日のセットリストは最新アルバム『UNOFFICIAL』からの楽曲が中心だ。バンドとして大きくステップアップした作品だっただけに、演奏曲の多くは武道館の広さを飲み込むようなパワーがあった。
 MCを挟んで、続くブロックは「A-E-U-I」でスタート。“A-E-U-I”のコーラスは、もちろん全観客が参加。山中も「歌え~!」とけしかける。続いて鈴木重伸(Gt)の個性的なリフが際立つ「STARGET」や、「武道館で歌うのを楽しみにしてきた」と紹介した「嫌い」など、ライブハウスで育て上げてきた曲も披露。バンドの足跡をステージに刻み込んだ。
「WARWARWAR」を終えると、中西雅哉(Dr)のドロムソロから鈴木とあきらかにあきら(Ba)が加わってのセッションタイムが繰り広げられるという場面も。髪を振り乱して熱演する鈴木に、複雑なフレーズをさりげなくキメるあきら、そしてバンドの屋台骨をしっかりと支える中西。この面々でのスリリングなかけ合いに場内も沸いた。鈴木、あきらの2人は、ステージの両端に設置されたミニステージに移動し、ステージが見えにくい席のファンにもしっかりとアピール。プレイヤーとしての存在感も余すところなく見せつけた。

 このあとのMCでは、少し緩い内容で和ませる。楽器隊が演奏している間は裏に引っ込んでいた山中が再登場し、「何か気づいたことない?」とメンバーに問いかける。だが、返ってきたのはボケ返答の数々。
「首伸びた?」(鈴木)
「国籍変えた?」(あきら)
「ひと目でわかるよね~。アレでしょ? 唇変えました?」(中西)
 だが、これも実は曲の前振り。山中は「衣装を変えてきたんや~! 『気づけよBaby』!」と、さりげなく「気づけよBaby」につなげる。中西のドラム・カウントから再び臨戦モードに突入し、本編の後半が見えてきたところでバラード曲「不透明な雪化粧」がプレイされた。ステージ後方のスクリーンには雪の結晶が舞い、会場は包容力のあるサウンドに包まれていく。アグレッシヴなだけでなく、叙情的に聴かせ、聴く者の心に深く刺さっていく演奏にはグッときた人も多かったはずだ。この「不透明な雪化粧」と、続けて披露した「エンドロール」は、『UNOFFICIAL』収録曲の中で、特に武道館で聴いてみたかった曲だが、予想を上回るパフォーマンスだった。

 この辺りから、ライブはいよいよ後半戦へ。後方スクリーンには『UNOFFICIAL』を象徴する心臓が浮かび、その鼓動音が響いてテンションを高めていく。次に何がくるかと思いきや、スクリーンには“キラーチューン祭り”の文字が! 観客からは狂喜の歓声が上がる。これはライブの鉄板チューンをまとめたブロックの意味で、長くファンに親しまれてきた時間帯だ。その景気付けのキラーチューン一発目は「Mr.ファントム」。やはり長く演奏され続けてきた曲には、様々な思いが宿る。「武道館、マジ気持ちいい! やばい!」と山中。このあと、メジャーデビュー曲の「起死回生STORY」が飛び出す。2014年にリリースされた楽曲であり、バンドの代名詞でもある“番狂わせ”を象徴する楽曲。フェスを思わせるようなうねりが武道館に起こり、ますます畳みかけるかと思ったが、ここで山中はMCを挟んだ。
「2015年、辛いことの方が多かった気がします」
山中の声帯ポリープの影響により、ライブを中断せざるを得なかった事実が多くの人の脳裏に浮かんだと思う。
「歌うのもイヤになった……でも、目の前にいるアナタ達が間違いなく俺らの光でした。諦めなくてホントによかったって――今、思ってます」
 万感の思いと供に、オーラルにとって大事な存在である「エイミー」(2015年4月にシングルとしてリリース)が届けられた。大切に温め続け、なかなか音源化しなかった曲だが、武道館で聴けたことにドラマチックなものを感じた。後半戦は山中の復活を決定付けたシングル「狂乱Hey Kids!!」に始まり、再び『UNOFFICIAL』収録曲が続く。抜けた感があるパワーチューンの「DIP-BAP」、アルバムを総括するメッセージが込められた「リコリス」、そして本編ラストは、アルバムのエンディング曲でもある「LOVE」だった。温かさ、強さ、もちろんキャッチーさも兼ね備えたポジティヴな1曲。その曲に入る前、山中が様々な思いを満員の観客に投げかけていたのも印象的だった。自分の声にコンプレックスがあったこと、そして武道館には思い入れがなかったこと……。だが、「でもやってみて気づきました。アナタ達がいてくれるから、この武道館も思い入れのあるものになりました」
 この完璧なシチュエーションで、バンドも観客も一体になって声を響かせた「LOVE」は、この会場で完成したように感じられた。

 アンコールではリリースされたばかりの「トナリアウ / ONE’S AGAIN」を披露し、現在進行形の逞しい存在感を知らしめた。
「アナタがカッコいいと思う人間達と一緒にいれば、絶対にカッコよくなれる!」
 山中の言葉は、ファンと共に突き進もうという決意表明にも聞こえた。演奏終了後には、2018年2月15日に大阪城ホールで『唇ワンマンライブ 2018 WINTER』公演を行うことを発表した彼ら。関西出身のバンドにとって、城ホールはリアルな聖地である。きっとまた特別な思いとドラマが待っているに違いない。一体、どんなカッコいい光景が待っているのだろうか……。ワクワク感はまだまだ止まらない!

【取材・文:海江敦士】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】
【撮影:鈴木公平】

tag一覧 ライブ THE ORAL CIGARETTES 男性ボーカル

リリース情報

トナリアウ/ONE’S AGAIN

トナリアウ/ONE’S AGAIN

2017年06月14日

A-Sketch

1.トナリアウ
2.ONE’S AGAIN
3.Uh...Man

セットリスト

UNOFFICIAL DINING TOUR 2017 追加公演
2017.6.16@日本武道館

  1. 01.5150
  2. 02.Shala La
  3. 03.カンタンナコト
  4. 04.悪戯ショータイム
  5. 05.CATCH ME
  6. 06.A-E-U-I
  7. 07.STARGET
  8. 08.嫌い
  9. 09.WARWARWAR
  10. 10.気づけよBaby
  11. 11.不透明な雪化粧
  12. 12.エンドロール
  13. 13.Mr.ファントム
  14. 14.起死回生STORY
  15. 15.エイミー
  16. 16.狂乱Hey Kids!!
  17. 17.DIP-BAP
  18. 18.リコリス
  19. 19.LOVE
 ENCORE
  1. En-1.トナリアウ
  2. En-2.ONE’S AGAIN

お知らせ

■ライブ情報

THE ORAL CIGARETTES唇ワンマンツアー2017 AUTUMN(仮)
11/01(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
11/08(水) 名古屋・Zepp Nagoya
11/09(木) 名古屋・Zepp Nagoya
11/17(金) 北海道・Zepp Sapporo
11/24(金) 広島・LIVE BLUE HIROSHIMA
12/05(火) 東京・STUDIO COAST
12/06(水) 東京・STUDIO COAST


DEAD POP FESTiVAL 2017
07/02(日) 神奈川県川崎市 東扇島東公園特設会場

JOIN ALIVE 2017
07/16(日) いわみざわ公園

NUMER SHOT 2017
07/22(土) 海の中道海浜公園野外劇場

ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH! HIGH! HIGH!
08/01(火) 大阪城ホール

rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/05(土) 国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO
08/11(金) 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

WILD BUNCH FEST. 2017
08/19(土) 山口きらら博記念公園

MONSTER baSH 2017
08/20(日) 国営讃岐まんのう公園

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017
08/25(金) 山梨県山中湖交流プラザ きらら

RUSH BALL 2017
08/27(日) 泉大津フェニックス

TREASURE05X 2017 -MARCH OF TIME-
09/02(土) 蒲郡ラグーナビーチ

15th Anniversary JA共済 Presents RADIO BERRY ベリテンライブ2017 Special
09/09(土) 井頭公園 運動広場

HEY-SMITH Presents OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2017
09/10(日) 泉大津フェニックス

イナズマロック フェス 2017
09/16(土) 滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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