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極めて人間臭く、えらく感情的で情熱的。FABLED NUMBER、全国ツアーファイナル東京公演をレポート!

FABLED NUMBER | 2017.07.10

 FABLED NUMBERは不思議なバンドだ。作品上では先鋭的で洗練され、スタイリッシュでスマートな様相ながらも、ことライブでは極めて人間臭く、えらく感情的で情熱的。いい意味での人力&人間味を多分に感じさせてくれる。そして、この日のライブも彼らのその人間味が随所で溢れ、抑えきれない感情からつい口をついて出たMCや突発的なパフォーマンスも含め、この日に込めた思いや集まってくれたオーディエンスに対しての感謝や誓いを多分に感じることができた。

 彼らの全国ツアー『ILLUMINATE Tour 2017』のファイナルが6月30日に渋谷のTSUTAYA O-WESTにて行われた。タイトル通り、こちらは今年2月に発売されたメジャー1stアルバム『ILLUMINATE』と共に全国15カ所を回ったもの。うち東名阪の3カ所はワンマンであった。
 ニューアルバム『ILLUMINATE』での日本語詞の増加と良い意味での分かりやすさ、更に歌に重きが置かれたり、映画主題歌の抜擢も手伝ってのことだろう。これまでのキッズ中心だった客層が良い意味で幅広くなり、様々な層のオーディエンスが会場には集まっていた。

 この日のライブは曲数にして計27曲、約3時間に及んだ。それは作品リリース後、このツアーを総括するかのような気持ちや想いが演り進めていくに従い、歌、演奏、そしてMCに乗り、まるで堰を切るように会場全体に溢れ出ていくかのような一夜でもあった。

 SEが鳴り響く中、まずは、Chii,pucchi(Key)、Ikki-Rodriguez(Samp・Prog)、Mako-Albert(Gt)、Mr,Donuld Betch(Dr)が先にステージに現れる。少し間を置き、N’Eita(Vo・Gt)とN’Taichi(Ba・Cho)も登場。Taichiがステージ前方のステップに乗り、生声で「渋谷始めるぞ!」とライブ開始を告げる。そこに加わるバンド全体のデモンストレーション。その中から現れたのはフレンチエレクトロな4つ打ちと英語詞、そして会場共々のキャッチーなレスポンスも印象的な「AAO」であった。同曲がいきなり会場に一体感を与えていく。続いてはニューアルバム『ILLUMINATE』から、彼らのキラキラした部分が映える「夜の鼓動」(映画『マスタード・チョコレート』主題歌)が、まるで満天の星空の下に導き出すように会場を誘う。景色感たっぷりな同曲。♪星に願いを♪のスタジアムアンセムばりの呼応シーンがくると、会場もクラップと一緒に多幸感あふれる合唱を重ねていく。ライブをさらに走り出させるように「世界は君に鳴り響く」に入ると、ChiiとIkkiのレイヴィーなサウンドが会場に高揚感を与えにかかる。

「ただいま渋谷。今日は最高でハッピーな曲をたくさん用意している。一緒に歌って一緒に踊ろう」とEita。よりライブを加速させるが如く「I Don’t Wanna Write This Story」に入ると、同曲特性の裏打ちも交わった雄々しいシンガロングが会場に響き渡る。

 中盤に向かうゾーンでは、ニューアルバムからの曲が立て続けに連射された。「Don’t let me go」では、Ikkiもフロントに出て煽り、Betchもロールで高揚感を作り、雪崩のような怒涛さでフロアを躍らせにかかる。
「みんなに支えてもらって、この日を迎えられた。今日はみんな一つになって楽しんで欲しい。かっこいいところもかっこ悪いところも含めて、色々な側面を見せるから」とEita。会場のクラップと共に曲を持ち上げた「World Joke」では、間にMakoのギターが美しい場面を呼び込み、「Sing In A Night」では、彼らのポップでキッチュな部分が楽しめた。

 ノらせ、躍らせる曲ばかりが彼らではない。作品とはまた違ったオペラ部分を楽しませてくれた「オーケストラック」、はたまた優しく包み込むように広がっていった「シンボル」では、彼らのスイートな部分が会場いっぱいに展開していった。また、切なさが胸を刺した「Let You Cry, Let You Fly」では、目を潤ませ聴き浸っているオーディエンスの姿も想い出深い。

 後半に入るとライブのボルテージはぐんぐん上がっていく。Taichiも最前でベースを引き倒した「Move」。コール&レスポンスで会場を起爆させて入った「The night lets us dance,dance,dance」では、彼らの持ち味のひとつのグルーヴィーさが炸裂。ミラーボールも手伝い、至福感を増大させていく。また、「Two」に至っては、彼らのスウィートさが勢いのある突っ込み気味のサウンドと融合。彼ららしいポップさへと昇華していった。

 ラストスパートに突入するとメンバーたちも感情の高まりを抑えられない様相を見せる。Eitaによるアコギ弾き語りから入った「We don’t care what you break my mind」では、あえてその感情を押し殺すことなく、情感たっぷりに荒々しく導入部が歌われる。そして、そこから入った本編ではChiiのレイビーなシンセに乗せ、ジェスチャーも交え、伝えても伝えても伝え切れないかのように歌を伝えていく姿も印象的であった。
本編ラスト近辺はニューアルバムからのハイライト曲が立て続けにプレイされた。土着的なビートが会場を躍らせた「トワイライトシティ」、また、「The Lights」では、ギター弾き語りから本編に入る前に一度ブレイク。Eitaから長い感謝の気持ちのこもった言葉が場内に捧げられた。その後入った同曲は、作品より増し増しの勢いと荒さがありながらも、その分、多くのオーディエンスの気持ちをロックオン。今の彼らの止まってられない感が窺い知れた。そして、全てを肯定するように放たれた「YES」では、その観る者の気持ちまでもぐいっと掴む勢いに、会場からは幾つものクラウドサーフが起こった。

 アンコールは2曲。「One time」が作品以上に悠々しく響けば、ベースの躍動感も印象深い「The King」では、感謝の気持ちと共に楽曲が会場のすみずみにまで広がっていった。
この日はダブルアンコールにも応えてくれた彼ら。まずはEitaとTaichiだけが登場し、この日ならではの感謝の気持ちや、これからも強くスクラムを組んだり、手を繋いで行こうという力強いアライアンスをしっかり誓ってくれるかのような長い長いEitaによるMCが伝えられた。どうしても伝えたい気持ちが溢れ出たのであろう。また、このゾーンでは、ある種暴走気味にTaichiから今後のFABLED NUMBERの動向も熱く伝えられた。
そしてEitaが1人残り、作品同様の弾き語りにて「キライな君はもういない」を、“この想いよ、届け~!!”と言わんばかりに歌い放った後、バンドメンバーが再び全員ステージに揃い「You and I drift to our odd life」、上向きで次につながる「Even if the world is over」が感謝の意も込められて放たれ、ライブは大団円を迎えた。

 あえて感情をセーブせず、時には美しい曲でさえ、その溢れ出る感情に任せ荒々しく伝える場面も多々見受けられた、この日。正直、作品のままの美しさで楽しみたい曲もあった。しかし、コントロールできないほどの湧き上がる感情が込められた各曲からは、彼らならではの真摯さと良い意味での人間味が感受できた。約3時間に及びながらも体感的にはあっと言う間であった、この日。FABLED NUMBERは、誠に信用できる人間味溢れるバンドであることを、 あらためて実感できた一夜でもあった。 

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:NAOTO SONODA】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル FABLED NUMBER

リリース情報

ILLUMINATE

ILLUMINATE

2017年02月08日

日本クラウン

01. 2012
02. The Lights
03. 夜の鼓動
04. オーケストラック
05. World Joke
06. Let You Cry, Let You Fly
07. Sing In A Night
08. Two
09. トワイライトシティ
10. キライな君はもういない
11. Don’t let me go
12. The King

セットリスト

『ILLUMINATE Tour 2017』
2017.6.30@TSUTAYA O-WEST

  1. 01. AAO
  2. 02. 夜の鼓動
  3. 03. 世界は君に鳴り響く
  4. 04. I Don’t Wanna Write This Story
  5. 05. Don’t let me go
  6. 06. World Joke
  7. 07. Sing In A Night
  8. 08. Push me
  9. 09. オーケストラック
  10. 10. シンボル
  11. 11. Let You Cry, Let You Fly
  12. 12. The seaside corporation
  13. 13. Dancer In The War
  14. 14. ~Interlude~
  15. 15. Laughing,Crying And Living
  16. 16. Move
  17. 17. The night lets us dance,dance,dance
  18. 18. Two
  19. 19. We don’t care what you break my mind
  20. 20. トワイライトシティ
  21. 21. The Lights
  22. 22. YES
 Encore
  1. En-1. One time
  2. En-2. The King
 Double Encore
  1. W-En-1. キライな君はもういない
  2. W-En-2. You and I drift to our odd life
  3. W-En-3. Even if the world is over

お知らせ

■ライブ情報

KNOCK OUT MONKEY TOUR 2017『HELIX』
07/16(日) 福岡DRUM SON
07/17(月) 岡山IMAGE

POT presents "GEMME"TOUR 2017
07/22(土) 宇都宮HEAVEN’S ROCK

PassCode presents "bite the bullet" Short Tour 2017
07/29(土) 梅田TRAD

『8フェス』
07/30(日) 鈴鹿サーキット内「BASE8耐」特設ステージ

TREASURE05X 2017
08/12(土) ELL/ell.FITS ALL/ell.SIZE

POT presents "GEMME"TOUR 2017
08/15(火) 神戸 太陽と虎

『SUMMER SONIC 2017』
08/20(日) 舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)

FABLED NUMBER presents 5周年記念スペシャル対バン企画 【バーサスフェイブルド-タコ殴り祭-】 〜Welcome to OSAKA!狂喜乱舞の熱狂カーニバル〜
08/24(木) 心斎橋アメリカ村DROP

TOKYO CALLING2017
09/16(土) 下北沢、新宿、渋谷エリア複数のライブハウス

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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