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SAKANAMON 『東名阪までイッテcue!』 東京公演ライブレポート

SAKANAMON | 2017.08.02

 気合たっぷりの様子で、ステージに登場した藤森元生(Vo・G)、森野光晴(B)、木村浩大(Dr)。「歌うもよし。手拍子するもよし。踊るもよし。好きなように楽しんで帰ってください!」、藤森が挨拶をしてスタートした1曲目は「CATCHY」。サポートメンバーにVELTPUNCHの荒川慎一郎(G)を迎えて構築したサウンドが猛烈に心地よい。力強い観客の手拍子も加わり、楽しいパーティータイムのスタートとなった。

「幼気な少女」と「マジックアワー」も披露された後に迎えたインターバル。「いつもとひと味違う気がしませんか? 1つギターの音が多いんです!」と言い、荒川を観客に紹介した藤森。「なぜこういうことになったか? 今回のミニアルバム『cue』の曲、練習してて“どうしようかな?”と思って。3人でやってたんだけど、もうひと味欲しいなと思っちゃったんです。ちゃんと音源を再現したいなと。お願いしたら、彼が急遽、やってくれることになりました」。この編成に至った経緯を説明した後に届けたのは、まさに『cue』の収録曲「不明解な正解」。4人のアンサンブルが冴え渡り、爽やかなメロディが瑞々しく広がった。

「ヘソマガリアの地底人」と「君の○○を××したい」も4人編成で演奏をした後、いつもの3人編成に戻ったSAKANAMON。藤森はメンバー紹介をした。「ベース、基本、カレーライスが大好きな。最近、足が筋肉痛の森野光晴くんです。ドラムス、ファミチキが好きだけど、最近は食べられなくなっちゃった。でも、上半身がムキムキの木村浩大くんです!」。木村は緑色のTシャツを誇らしげに観客に示した。「これ、何だと思います? SAKANAMONの10周年特設サイトでやった“酒の肴総選挙”の1位のTシャツが完成したんです。迷彩に見えるけど、近くで見るとめっちゃ枝豆(笑)」。お気に入りの枝豆柄Tシャツを着ていた彼は上機嫌。「渋谷アゲッ! そんなもんか? アゲッ!」……彼が「アゲッ!」と言ったら元気いっぱいに観客が「アゲッ!」と返す恒例のコール&レスポンスが、いつにも増してハイテンションだった。

「ギターボーカル、最近、ビールはあんまり飲まないらしい。藤森元生!」、森野が藤森を紹介してから演奏は再開された。艶めかしいギターリフを軸にドラマチックなサウンドを響かせた「害虫」。同期サウンドを交えた彼ら流のエレクトロミュージック「SAKANAMON THE WORLD」。マスコットキャラクター“サカなもん”の仮面(両目が光る)をかぶった藤森が妖しいダンスを披露しながら歌った「TACHNOMUSIC」……音楽性の幅広さを示した3曲の後は、ユニークなコーナーが用意されていた。「次にやる曲は、みなさんに選んで頂こうと思ってます! 3曲の中から選んで頂こうと思うんですが、敢えて曲名は言いません。ドラムのイントロを3曲分聴いて、“あの曲じゃないか? 聴きたいな”というのを決めてください」と森野が説明し、木村がドラムで叩いた3曲分のイントロ……観客の拍手の大きさで判断した結果、選ばれたのは「ケセラセラ」(他の2曲は「便乗鴎の世界」と「ジリキの迷宮」)。心地よいビートに身を任せて踊っていた観客のムードが、とても明るかった。

「花色の美少女」「ARTSTAR」「lyrics」を経て突入した「AGEINST」では、木村が「アゲッ!」と言ったら観客が「アゲッ!」と返すコール&レスポンスが再び飛び出し、その盛り上がりのままに雪崩れ込んだ「UTAGE」は、ジャンプをしまくった観客のエネルギーが、フロアをグラグラと揺さぶった。「ミュージックプランクトン」は、激しい手拍子の嵐。「TSUMANNE」は、《♪つまんねぇよ つまんねぇよ》と全力で大合唱しながら盛り上がるというシュールな光景が実現……熱い場面の連続で辿り着いた終盤は、新鮮なお楽しみが待っていた。ステージにキーボードが運び込まれ、テスラは泣かないの飯野桃子が登場。荒川も加わり、SAKANAMONは突然5人編成となった。「我々は1年くらいリリースができていなかったんですけど、TALTOというレーベルからミニアルバム『cue』をリリースすることができました。それも転機だったんですけど、ここに行き着くまでにもいろんな転機がありました。バンドを組んで10年後にこんなステージに立てるなんて思っていなかったです。全ての人たちに感謝の気持ちをこめて。そして、これから前に進むために、この曲を作りました」と藤森が語り、飯野のピアノ、荒川のギターで彩りながら奏でた「テヲフル」。そして、掲げられた掌が勢いよくフロアの全面で揺らめく風景が壮観だった「TOWER」で、本編は締めくくられた。

 アンコールを求める歓声に応えてステージに戻ってきた藤森、森野、木村。「追加のツアーをやります! 『9な帰省ですみま10ツアー』っていうタイトル(笑)。11月で10周年なので、9周年から10周年を跨ぐようなツアーです」。森野が今後の予定を発表した後に届けられたのは、彼らがインディーズ時代から演奏している「ハロ」。そして、「我々は何十年もライブをやれたらいいなと思っています。ずっと、僕たちが好きな音楽をみなさんと共有できたらいいなと思っていますので。明日からも楽しい毎日を送れるように、最後の曲を聴いてください!」と藤森が語り、ラストに届けられた「クダラナインサイド」は、とても感動的だった。雄々しく疾走するサウンドに合わせて、観客は全力で手拍子。藤森が“サカなもん”の人形を投げ上げてエンディングを迎えた時、会場いっぱいに熱い余韻が広がっていた。

 こうして今回のツアー『東名阪までイッテcue!』は終了したが、今後のSAKANAMONは10周年に向かってさらにアクセルを踏む。現在の彼らに漲っている力強いエネルギーを実感できたライブであった。

【撮影:Taku Fujii】
【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SAKANAMON

リリース情報

cue

cue

2017年05月10日

ビクターエンタテインメント

1.CATCHY
2.不明確な正解
3.lyrics
4.ヘソマガリアの地底人
5.テヲフル
6.クダラナインサイド (cue MIX)

セットリスト

SAKANAMONワンマンツアー
“東名阪までイッテcue!”
ツアーファイナル

  1. 1.CATCHY
  2. 2.幼気な少女
  3. 3.マジックアワー
  4. 4.不明解な正解
  5. 5.ヘソマガリアの地底人
  6. 6.君の○○を××したい
  7. 7.害虫
  8. 8.SAKANAMON THE WORLD
  9. 9.TACHNOMUSIC
  10. 10.ケセラセラ or 便乗鴎の世界 or ジリキの迷宮
  11. 11.花色の美少女
  12. 12.ARTSTAR
  13. 13.lyrics
  14. 14.AGEINST
  15. 15.UTAGE
  16. 16.ミュージックプランクトン
  17. 17.TSUMANNE
  18. 18.テヲフル
  19. 19.TOWER
 ENCORE
  1. EN1.ハロ
  2. EN2.クダラナインサイド

お知らせ

■ライブ情報

SAKANAMON「9な帰省ですみま10ツアー 」
11/12(日) 大岡山LIVE INN PEAK-1
11/26(日) 宮崎SR BOX
11/28(火) 岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM
11/30(木) 高知X-pt
12/01(金) 京都磔磔
12/09(土) 千葉LOOK
12/10(日) 静岡Live House UMBER
12/15(金) 盛岡Club Change WAVE
12/16(土) 青森Quarter
12/18(月) 札幌colony

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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