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全18組の個性が熱くぶつかり合った、7度目となる夏の恒例イベント『UKFC on the Road』をレポート!

UKFC on the Road | 2017.08.24

 夏の風物詩とも言える恒例イベント『UKFC on the Road』が今年も行われた。下北沢発のインディーズレーベル&プロダクション、UK.PROJECTが主催する同イベントも今年で7回目。1Dayながら例年以上のバラエティさと充実度を誇り、今が旬の良質なバンドたちがギュッと濃縮されていた印象を受けた。

 今年もエントランス入ってすぐには、今後の活躍が期待される新人用のGATE STAGE。フロアに入るとメインステージ的なFRONTIER STAGE。正面奥にはそこより少々小さいFUTURE STAGEを配置。それらが交互に行われ、その場に居ながら両ステージとも楽しめる配慮も嬉しい。

 まずGATE STAGE付近を通ると、3年ぶりに開催されたUK.PROJECTオーディションのグランプリを獲得し、見事この日の出場権を獲得したトリプルギター且つ女性ギターを擁したaintのプレイが私の足を止めさせた。叙情と激情を併せ持ったサウンドとウェットさの混じったボーカル、そして咆哮男性シャウトと優しく包み込む女性コーラスの同居も特徴的な彼ら。「俺たちここからやっていく!!」との気概を込めて放ったラスト「hello」に於いては、闇の中から光が現われ、その光に包まれていくかのような心の浄化とカタルシスを与えてくれた。

 フロアに入るとFUTURE STAGE一番手のHelsinki Lambda Clubが始まった。元々3年前、上述のaint同様、オーディションを経てこの会場から羽ばたいていった彼ら。それだけにこのフェスには強い思い入れもあるだろう。ドライヴ感のある「Skin」を皮切りに、ポップさが溢れた「ユアンと踊れ」、後半に向かうにつれ各楽器が熱を帯び、終いにはそれらが暴発を魅せた「King Of The White Chip」、また、出発曲とも呼べる「Lost in the Supermarket」や、彼らの特徴とも言える一筋縄ではいかないポップ性に対し、非常に聴きやすい音楽性の象徴とも言える「宵山ミラーボール」等を披露。見事にトップバッターを務めあげた。

 FRONTIER STAGEの一発目はBIGMAMAであった。不穏さや邪悪さも含め<ロックバンドBIGMAMA>が楽しめた、この日。オープニングは珍しく「ダイヤモンドリング」が飾った。パーッとした明るさを場内に持ち込んだ同曲。続く「ヒーローインタビュー」に入ると金井政人(Vo&Gt)と柿沼広也(Gt&Vo)によるヴォーカルのリレーも魅せてくれた。
また、カントリー調の「春は風のように」で牧歌性を呼び込むも、会場一丸で雄々しくシンガロングした「ファビュラ・フィビュラ」、「荒狂曲"シンセカイ"」では怒涛性とカオス具合も交え、不穏でスリリングな「BLINKSTONEの真実を」等、彼らのストイックで荒々しい部分も味わえた。そして締めはEDMナンバー「MUTOPIA」が気高く放たれ、高揚感と至福感を以て場内を抱きしめていった。

 現在の6人体制になり初出場だったFUTURE STAGEでのodolによる浮遊感溢れる、変拍子や転調を交えた独特のポップ性に身を委ねた後、FRONTIER STAGEのフロアの密集率がグッと上がる。続いては04 Limited Sazabysだ。
去年はBIGMAMAのステージへGEN(Vo&Ba)のみの参加だったが、今年はバンドでの参加。次々現われる曲たちが気焔を上げ放たれ、それに呼応しフロアからも無数のモッシュピットやクラウドサーフが生まれた。
転調も絶好調な「warp」、[Alexandros]の「ワタリドリ」のイントロを放ち盛り上げるも、急転して自身の「Chicken race」に移ったり。また、「monolith」では会場に幾つもサークルを生み、「fiction」では無数の2ステップを生んでいった。そして、今やアンセムでもある「Terminal」やラストの「swim」では、場内に光が差し込まれたかのような眩しさを覚えた。

 FUTURE STAGEでは上手(かみて)にドラムがセットされる。続いてはPELICAN FANCLUBだ。
♪1.2.3.4.♪のフレーズのキャッチーさの中、サビで現われるストレートさと解放感がたまらなかった「深呼吸」、「許されない冗談」ではエモく荒々しく、彼らの本質でもあるオルタナ性や怒涛性も味わえた。
後半も4つ打ちダンスナンバー「Dali」、最後の「記憶について」では、一部を♪気がついたらUKFCだった♪と、この日だけのサービスも。♪大事なことはすべて叫んだ だからどうか忘れないで♪との同曲のフレーズに漏れなく、その勇姿や歌は見届けた多くの人の心に残ったことだろう。

 FRONTIER STAGEのTOTALFATは「お祭り隊長」の面目躍如を魅せてくれた。
音頭ビートと2ビートの疾走感の融合が会場を躍らせた「夏のトカゲ」から走り出した彼ら。楽しげに一緒に声を上げた「PARTY PARTY」、様々な音楽性を交えた賑やかな「Delight!!」等を放射していく。
また、中盤ではゲストとの共演も。「晴天」ではBIGMAMAからボーカルの金井とヴァイオリンの東出が景色感を加え、2ビートメロディックナンバー「Good Fight & Promise You」はフォーリミのGENと共に放たれ、会場に多くのジャンプの波やサークルピットを生んでいった。ラスト2曲はスタジアムアンセム曲の連射。誇らしげに気高く鳴り響いた「ONE FOR THE DREAMS」、「Place to Try」では、会場が楽しそうな笑顔と一緒に一つになった瞬間を見た。

 FUTURE STAGEでのウソツキは「夢のレシピ」からスタート。景色感たっぷりに場内に満ちていった同曲。吉田健二(Gt)による情景感あふれるギターソロも良い誘いだ。「コンプレクスにキスをして」からはそのバンドサウンドにエレクトロも加わり出す。会場全体が合わせてサイドステップを踏んだ同曲や16ビートの4つ打ち人気曲「旗揚げ運動」ではステージに合わせ手が右に左に上がっていく。ラストは彼らの初心曲とも言える「新木場発、銀河鉄道」。“今日ばかりは下北発、新木場行きだ!!”と言わんばかりに放たれた同曲を今でも初々しく響かせていたのも印象深い。

 FRONTIER STAGEのNICO Touches the Wallsは、夏仕様のセットを用い、少ない曲ながらも見どころたっぷりのステージを展開してくれた。
サポートキーボード&フィドルも交え、カウパンクのりにアレンジされた一発目の「THE BUNGY」を皮切りに、「手をたたけ」では会場中のクラップも交え楽曲を完成させ、この時期にぴったりな「夏の大三角形」では、皆が星空と星座達を思い浮かべた。そして、メンバー揃ってドラムを囲み鳴り物を披露したと思えば、そのまま最新シングル「マシ・マシ」へ。また「MOROHA IROHA」では会場もトランシーにダンス。ラストのフィドルを交えたカントリー&アイルランド民謡フレイバーの「天地ガエシ」に於いては、みんなが楽しそうにジャンプを繰り返した。

 FUTURE STAGEでのフレンズ の楽しげなステージの後、FRONTIER STAGEに現われた[Alexandros]は、いささか緊張感のあるストイックなセットリストで挑んだ。
インスト「Burger Queen」で幕を開けると、「ワタリドリ」のイントロが鳴り出す、も、やらずに懐かしの「Kill Me If You Can」へ。川上洋平(Vo&Gt)のしてやったりの表情が憎めない。「Stimulator」も、いつもよりBPMが早くハイテンションな印象を受けた。また、「Kaiju」が会場全体をバウンスさせ、「city」での大合唱を経て、またも「ワタリドリ」のイントロ騙しが…。その分、次曲の「Kick&Spin」では会場も待ってましたと驚喜した。
最後は新曲を届けてくれた彼ら。同期も交えたスタジアム級の大きなスケールを持っているミディアム曲だ。サビも伸びやかで開放的。神秘的な部分も擁し、これも今後一緒に皆が声をあげて歌っていきそうな楽曲だ。最後は川上が1人残りアコギ一本で「ワタリドリ」をワンセンテンスだけ披露。合わせて会場の大合唱を誘った。

 大トリはPOLYSICSが務めた。今年結成20周年を迎えた彼ら。キャッチ―で覚えやすいフレーズを武器に、存知/未存知関係なく惹き込み、一緒にノらせ踊らせ、即座に一体感を作り出す技量はさすが。インストの「Introduction!」からグイグイと場内を自身のフィールドへと惹き込んでいく。性急激走2ビートナンバー「SUN ELECTRIC」。フロアのお客さんの波に乗り、ダバダバのレスポンスを拾った「Let’s ダバダバ」。また逆に、懐かしの「MAKING SENSE」(メジャー1stアルバム収録)を挟み、後半戦もギターソロを弾き倒した「Young OH! OH!」、ファンクナンバー「Tune Up!」等がこれでもかと言わんばかりに連射された。
アンコールでもハイテンションは継続。ポリ流エアロビダンスに合わせて会場も踊った「Baby BIAS」。清々しいナンバー「Electric Surfin’ Go Go」や初心ナンバー「Buggie Technica」がこの素晴らしい一日を締めくくった。

 この日、今とこれからを交互に楽しめる、この2ステージを観ていて改めて感じたことは、このUK.PROJECTに所属しているアーティストたちの音楽性の幅の広さと各バンドの個性だった。似通った音楽性は何一つなく、しっかりとポピュラリティーを持っているアーティストもいれば、今のところ伝わる人には伝わる形のアーティストが混在しているところとでも言うか…。
振り返るとこれまでもUK.PROJECTは、そんな、<伝わる人には伝わる>アーティストを育て、支援し続け、やがて伝わる人の数を増やし、己の個性を損なわず保持したまま、<ポピュラリティーの獲得>へと導いてきた。いわゆる、<時代がアーティストに追いつく>、そんな図式をこれまで多数輩出してきた。本日FRONTIER STAGEに立ち満場を沸かしていたバンドたちも然り…。
すっかりインディーズレーベルが淘汰され、アーティストパワーに頼らざるをえない現状の中、変わらずの信頼と実績、シーンへの貢献で数少ない“安心して<レーベル買い>ができる存在”で居続けている、このUK.PROJECT。この会社が、なぜ多くの人に永く支持され、多くのアーティストがここからのリリースに憧れを抱くのか、終始満場のままであった、この日のフロアの光景を見続けて、それが少しだけ分かった気がした。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 J-POP ライブ UKFC on the Road

セットリスト

UKFC on the Road 2017
2017.8.16@新木場STUDIO COAST

<FRONTIER STAGE>
■BIGMAMA
  1. 01. ダイヤモンドリング
  2. 02. ヒーローインタビュー
  3. 03. 春は風のように
  4. 04. ファビュラ・フィビュラ
  5. 05. 荒狂曲“シンセカイ”
  6. 06. BLINKSTONEの真実を
  7. 07. 神様も言う通りに
  8. 08. MUTOPIA
■04 Limited Sazabys
  1. 01. Warp
  2. 02. drops
  3. 03. Chicken race
  4. 04. monolith
  5. 05. fiction
  6. 06. escape
  7. 07. Terminal
  8. 08. swim
■TOTALFAT
  1. 01. 夏のトカゲ
  2. 02. PARTY PARTY
  3. 03. Delight!!
  4. 04. 晴天(feat. BIGMAMA 金井政人、東出真緒)
  5. 05. Good Fight & Promise You(feat. 04 Limited Sazabys GEN)
  6. 06. ONE FOR THE DREAMS
  7. 07. Place to Try
■NICO Touches the Walls
  1. 01. THE BUNGY
  2. 02. 手をたたけ
  3. 03. 夏の大三角形
  4. 04. マシ・マシ
  5. 05. MOROHA IROHA
  6. 06. 天地ガエシ
■[Alexandros]
  1. 01. Kill Me If You Can
  2. 02. Stimulator
  3. 03. Kaiju
  4. 04. city
  5. 05. Kick&Spin
  6. 06. 新曲
■POLYSICS
  1. 01. Introduction!
  2. 02. SUN ELECTRIC
  3. 03. Let’s ダバダバ
  4. 04. Digital Coffee
  5. 05. Funny Attitude
  6. 06. MAKING SENSE
  7. 07. Young OH! OH!
  8. 08. シーラカンス イズ アンドロイド
  9. 09. Tune Up!
  10. 10.URGE ON!!
  11. 11. Shout Aloud!
 <アンコール>
  1. 1. Baby BIAS
  2. 2. Electric Surfin’ Go Go
  3. 3. Buggie Technica

<FUTURE STAGE>
■Helsinki Lambda Club
  1. 01. Skin
  2. 02. ユアンと踊れ
  3. 03. King Of The White Chip
  4. 04. メサイアのビーチ
  5. 05. Lost in the Supermarket
  6. 06. This is a pen.
  7. 07. 宵山ミラーボール
■odol
  1. 01. 狭い部屋
  2. 02. 君は、笑う(2017)
  3. 03. 逃げてしまおう
  4. 04. GREEN
  5. 05. 生活
■PELICAN FANCLUB
  1. 01. 深呼吸
  2. 02. Night Diver
  3. 03. 許されない冗談
  4. 04. Dali
  5. 05. 記憶について
■ウソツキ
  1. 01. 夢のレシピ
  2. 02. コンプレクスにキスをして
  3. 03. 旗揚げ運動
  4. 04. 一生分のラブレター
  5. 05. 新木場発、銀河鉄道
■フレンズ
  1. 01. ビビビ
  2. 02. 夜にダンス
  3. 03. 夏のSAYにしてゴメンネ▽
  4. 04. 塩と砂糖
  5. 05. Love,ya!
■lovefilm
  1. 01. Haruka
  2. 02. Amamori
  3. 03. 新曲
  4. 04. Kiss
  5. 05. Hours

<GATE STAGE>
■aint
  1. 01. 君のこと
  2. 02. アカシ
  3. 03. 明日が来るまで
  4. 04. Alnitia
  5. 05. hello
■the equal lights
  1. 01. Dear friend
  2. 02. ファンファーレ
  3. 03. STORYWRITER
  4. 04. Yellow
  5. 05. Alche(mist)
■teto
  1. 01. PainPainPain
  2. 02. this is
  3. 03. 36.4
  4. 04. teen age
  5. 05. 暖かい都会から
  6. 06. 高層ビルと人工衛星
  7. 07. 朝焼け
■polly
  1. 01. 沈めてくれたら
  2. 02. シシィ
  3. 03. 狂おしい
  4. 04. 花束
  5. 05. 刹那
■SPiCYSOL
  1. 01. EXA SCALE
  2. 02. Sex On Fire
  3. 03. WDTA(Shut Up)
  4. 04. Honey Flavor
  5. 05. Room45 ft.Shun(TOTALFAT)

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