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Anly『Live Tour 2017 ☆北斗七星☆』渋谷クラブクアトロ公演ライブレポート

Anly | 2017.11.09

 当然のことながら星は昼には目視できない。常に頭上に存在はしているものの、陽の光の方が強い為だ。しかし常にその存在を感じ、信じ、意識することは可能だ…。
私にとってAnlyの歌はまさにそんな存在。聴いていない時も常に傍らに存在し、姿が見えなくても常にその歌を感じることが出来る。そして夜に星が現われるように、その輝きを今一度目視し、その存在を確かめ安堵したいが故、この日も会場へと赴いた。結果、夜というオーディエンスの下、そこに現われた星や星座たちは、心に留めていたよりも何倍も明るく輝き、その本来の美しさを思う存分眼前に広げてくれた。

Anlyの2回目となる全国ツアー『Live Tour 2017 ☆北斗七星☆』のファイナル公演が東京・渋谷クラブクアトロにて行われた。このツアーは8月9日に発売されたシングル「北斗七星」のレコ発ツアーとして行われたもの。初めて行った地も含め過去最大規模。タイトルの七星にちなみ、全国7カ所(後に急遽地元沖縄での追加公演も加わった為、実質は8ヶ所)にて行われた。
前回の東京ワンマンから約半年。前回比約3倍の広さやキャパにも関わらず場内は満員。そこで彼女は、2時間に渡り自身の幅やポテンシャルを惜しみなく放出し、時に沸かせ、時に聴き入らせ、鼓舞させたり安堵させてくれたりと非常に充実した時間を我々に寄与してくれた。

SEに合わせた温かい手拍子に乗り、まずはバンドのメンバーのギター松ヶ下宏之、ベース山崎英明、ドラム林久悦が先にスタンバイ。Anlyもゆっくりとステージに現われる。バックライトを背に呼吸を整え、走り出しを待つ彼女。林のドラムカウントからドライブ感溢れる1曲目の「Don’t give it up!」に入るとライブが走り出す。会場中に心のファイティングポーズを構えさせた同曲。バックの重厚なサウンドと力強い彼女の歌声がフロアを強襲する。間髪置かず山崎のベースイントロからタオル大旋回ナンバー「Enjoy」に入ると、先のドライブ感にブルージーさが加わっていく。ここではAnlyのクールな部分も浮上。強靭な演奏男性陣のコーラスも交わり楽曲の骨太さに更なる肉付けがされていく。

アコギに持ち替えるとデビュー曲の「太陽に笑え」へ。あれから2年。今ならば...の活動の実感や楽曲の練りも加わり、発表当初とはまた違った響きをさせた。また、フルートの津崎このみを迎えた「いいの」では、アーシーなサウンドにフルートのクールさが溶け込んでいく。女子ならではの横恋慕な切なさと健気さが会場中に広がっていき、<いいの>に込められた強がりを会場中が自分のことのように察していく。そして、「この曲は特に沢山の出会いを私に与えてくれた。暗い気持ちになった時にふっと浮かんでもらえる曲になれたら嬉しい」との言葉のあと放たれた「この闇を照らす光のむこうに」では、伸びやかで力強い歌声を会場中に響き渡らせる。間違いなく彼女の武器の一つは、この純度100%のその曇りなく真っ直ぐに飛んでくる実直でしパワフルな歌声。この日もその声は同曲を始め、終始会場のどこで観ていても一直線に響いてきた。

ここから数曲は彼女1人だけで進められた。いや、正確にはギターとループ・ペダル(サンプリング・ループ・マシーン)といった一人バンド・キットと共に…。
彼女の器用さと底知れない才能に驚愕させられた、このブロック。ギターや歌声を駆使しリアルタイムでサンプリングしていき、自作の即興バックトラックを作り出し、それを抜き差ししていく中で数曲が歌われる。エド・シーランの「Don’t」のカバーでは、しっかりした発音の英語詞や歌唱に際する表情づけも印象的。そのトラックままオリジナルの「Coffee」に入ると、独特のやさぐれ気味の変幻なトーキングブルースが心を揺さぶる。また、「Moon Light」ではギターとビートを先の機材に任せ、立ちヴォーカルでフリースタイルなフローを交え歌って魅せてくれた。
そして、緊張感溢れる場内に響いたのはアデルのカバー「Hello」であった。オープンチューニングと右手の3フィンガーを駆使し、フレットを指一本で押さえながら歌われた同曲。悲しみと生命力のこもった歌声を会場中に響かせ、みながその声とギターに聴き浸る。

再びバンドのメンバーが呼び込まれ、ここからは後半戦。「カラノココロ」が放たれるとライブが転がっていく。彼女の歌中キーが高い部類と思しき同曲に西原史織のバイオリンが優雅さを加えていく。また、ジャンゴを交えたユニークなリズムが特徴的な「Manual」では、真摯な曲が「正義は何かと」と詰問し、アカペラの歌い出しから入った「FIRE」では、心に炎をつけろとばかりに場内の熱狂に更なる油が注がれた。
やはり、この日一番の盛り上がりを見せたのは、緊張感を擁した骨太なロックな「EMERGENCY」だろう。見どころはなんといってもAnlyのロングブレスでのフェイク。これが現われた際には、会場の熱狂がピークに達した。
松ヶ下が鍵盤に移り、津崎のフルートを交えた「笑顔」が始まると、みなが自身の大切な場所や懐かしく思う場所を思い浮かべていく。Anly自身も故郷の沖縄伊江島を思い浮かべ歌ったのだろう。遠い目をした歌唱場面も印象深い。
本編ラストは「北斗七星」。作品同様の「きらきら星」のフレーズからインした同曲。ギター、ピアノ、バイオリンと作品と近似なシンプルなアコースティック楽器を通し、温もりたっぷりに伝えられた同曲が、目には映らないが傍らにいてくれる心強さと見守られているかのような温かさ、そして、「大丈夫」とでも言ってくれているかのような安堵感を会場の隅々にまで広げていく。曲のテーマは亡き兄に捧げられたものだが、この会場に集まった一人一人に、その兄への想いと同様の愛や感謝が歌を通して贈られた。

アンコールでは彼女のこれからが楽しめた。今回のツアーを振り返り、「今後は更に色々な土地でライブをしたい!」と目を輝かせて語った後は、まずは11月29日発売予定の新曲「Venus」を早くも披露してくれた。金星をイメージし、主人公の力強さを意識して作られたという同曲。既にタイアップのドラマ「科捜研の女」でも流れ始めている同曲を、この日は先ほどのフレットとアルペジオを駆使したギター演奏とループペダルでの即興自演トラックをバックに歌っていく。ゆっくりと安堵感を広げていった同曲。どんな時も一人じゃないとの心強さに、自分だけに輝く光を見つけた時の歓びに近いものを感じた。
「ここで新メンバーを紹介します」とAnly。イタズラは気味に笑い、手に持ったのはニューギター「サンシャイン97」だった。ESPのギタークラフトの方との共作から生まれた同ギター。円形のフォルムを太陽の形にシェイプし、指板に埋め込んだ7つの青いLSDも特徴的であった。このギターと一緒にアンコールラストに放たれたのは、アーシーでブルージーな「Bye-Bye」。骨太な8ビートのロックサウンドがバイバイながらハッピーで明日への活力を与えてくれた。

Anlyがこの日ステージから放った歌たちやステージは、当然ライブが終了してしまうと見ることは出来ない。しかし、その存在を感じ続け、信じ、明日への糧にしていくことは可能だ。その為にも、この日のライブを通じ、しっかりとしたその輝きを瞼や心に残してくれた彼女。また、星を目視したくなったら彼女のライブに赴けばいい…。だって「北斗七星」は、四季を通じて常に空に在り続ける星座でもあるのだから。

Anly 『Venus』渋谷CLUB QUATTROライブ 2017/10/24

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:HAJIME KAMIIISAKA】

tag一覧 J-POP ライブ 女性ボーカル Anly

リリース情報

Venus

Venus

2017年11月29日

ソニー・ミュージックレコーズ

後日発表

セットリスト

Live Tour 2017 ☆北斗七星☆
2017.10.24@渋谷CLUB QUATTRO

  1. 1.Don’t give it up!
  2. 2.Enjoy
  3. 3.太陽に笑え
  4. 4.いいの
  5. 5.この闇を照らす光のむこうに
  6. 6.Don’t(エド・シーラン カバー)
  7. 7.Coffee
  8. 8.Moon Light
  9. 9.Hello(アデル カバー)
  10. 10.カラノココロ
  11. 11.Manual
  12. 12.FIRE
  13. 13.EMERGENCY
  14. 14.笑顔
  15. 15.北斗七星
  16.  Encore
  17. En-1.Venus
  18. En-2.Bye-Bye

お知らせ

■ライブ情報

Act Against AIDS 2017 LIVE in Centrai
11/26(日) セントレア[中部国際空港]
4Fイベントプラザ 特設ステージ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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