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LAMP IN TERREN、GOOD ON THE REELとの濃厚な対バンツアーファイナルで魅せた“個性”と“覚悟”。

LAMP IN TERREN | 2017.12.07

 ライブが始まる前にひとりステージに現れた松本大(Vo・Gt)から説明があった。「リハーサルまで4人でやってたんだけど、真ちゃん(大屋真太郎/Gt)がちょっと不調になってしまって……いま病院に行っています。もしかしたら今日は3人でライブをやるかもしれません」。大屋がライブに戻れない確率は80%だという。開演前の思わぬ事態に会場はざわついた。さらに、松本は「あいつ(大屋)は自分の体の心配をすればいいのに、こっちの心配ばっかりしてる。だから終わったあとに“お前、いなくて残念だったな!”って言えるぐらい良いライブにしたいんです」と続けた。結論から言うと、このあと、GOOD ON THE REELのライブの途中で大屋が戻ってくるという情報が入り、テレンは無事に4人でライブを行なうことができたわけだが、ライブを見終えたとき、この日のツアーファイナルは4人で完走することができて良かったと思った。バンドとして音楽を鳴らし続ける決意を新たにした今回のツアーだからこそ、テレンは4人で終えなければいけなかった。この日は、この先LAMP IN TERRENが長い歴史を刻んでゆくなかで大きな意味を持つライブだった。

 9月からスタートしたLAMP IN TERRENの対バンツアー「LAMP IN TERREN TOUR "FOR TRUTH"」は全国13会場で行われ、LUNK HEAD、androp、Halo at 四畳半、Creepy Nutsなど、「異色の組み合わせ」と呼ばれるような対バンも含む濃厚なツアーだった。そのファイナルとなった渋谷クアトロは「いつか対バンをしたい」とお互いに言い合っていたGOOD ON THE REELとの念願のツーマンでもある。

 そんなGOOD ON THE REELのライブは「ペトリコール」から幕を開けた。透明感のあるバンドサウンドにのせて、千野隆尋(Vo)が紡ぐ伸びやかなメロディが優しく渋谷クアトロの空気を震わせた。「LAMP IN TERRENが用意してくれた今日を楽しんで行こう!」という千野の言葉から「雨天決行」を届けると、会場はあっと言う間にGOOD ON THE REELの色に染まっていった。MCでは、「ツーマンライブをやらないかって誘ってくれるのは、愛の告白に近いものがある。好きな人から告白されたような気分です」とテレンとの念願のツーマンが実現した喜びに触れた宇佐美友啓(Ba)。そこに、ステージ袖でそのライブを見守っていた松本から「愛してるよ!」の声が飛んだ。そして、GOOD ON THE REELのライブは後半へ。普遍的なメッセージを3拍子のリズムにのせた生命讃歌「シャボン玉」のあと、なんと大屋が戻ってくるというアナウンスが届いた。「戻ってくるって!良かった。いや~、安心した」と、千野。会場が大きな喜びに包まれるなか、最後に届けたのは「ハッピーエンド」だった。「未来を決めるのは誰かではなく自分しかいない。たくさん迷って、悩んで、それでもいつか終わりが来るときに笑っていれたらいいなと思います」と伝えると、軽やかに弾むハンドクラップにのせて何度も繰り返された多幸感に満ちたメロディには、いまこの場所で伝えなければいけないという彼らの強い意志が宿っていた。

 緑、黄、赤、青という異なる色に輝くランプが吊るされたステージにLAMP IN TERRENが“4人”で姿を現すと、会場からは大きな拍手が湧き起こった。静謐なギターのサウンドとともにライブの幕開けを飾ったのは、新曲「NEW CLOTHES」。どこかダークな音像のなかで荒れ狂う松本のエモーショナルなボーカルがヒリヒリとした衝動を掻き立てる。「最高の1日にしようぜ、渋谷。よろしく!」。そんな松本のあいさつと共に疾走感溢れるアップナンバー「流星群の夜」へ。川口大喜(Dr)のパワフルなドラム、中原健仁(Ba)が繰り出す躍動感あふれるベースライン、そして、松本の歌の訴求力を何倍にも増幅させる大屋の瑞々しいギター。これまで以上にバンドとしての一体感が増した演奏を目の当たりにして、この日、大屋が戻ってきて本当に良かったと思った。テレンはスリーピースで活動していた期間もあったが、やはりいまは4人のテレンこそ完全体だ。

 MCでは「散々お騒がせしました」という松本の言葉を皮切りに、大屋から経緯の報告があった。検査の結果、即手術をしなければいけないというものではなかったらしく、なんとか会場に戻ってくることができたという。大屋は「タクシーで病院に行きながら、こんなファイナルの日にって……」と言葉を詰まらせる場面もあったが、そんな大屋をメンバーが茶化したりして、そこからのライブはそんな状況を全く忘れさせる良いテンションで進んでいった。脈打つ心音と共に命のぬくもりを感じ合う「heartbeat」、緩急に揺さぶりをかけながら吠えるように言葉を紡ぐ「innocence」。とても繊細でありながら、どこか野性味を帯びた松本のボーカルスタイルは、GOOD ON THE REELの千野との対比によって一層強くその個性が浮かび上がっていた。悲しみを優しく包むような千野に対して、松本の歌は悲しみを衝動や闘争心に変えるような力を持つ。
この日、松本が自分の歌について語った忘れられない言葉がある。「歌うときに自分以外の何かになろうとしてたけど、無理だった。僕の歌は、親友や親、兄弟、恋人と話すのとほとんど変わらない。いつも目の前にいる誰かを想いながら書いているなと思いながら作った曲をやります」。そう言って届けた温かいミディアムテンポ「花と詩人」は、いつになくストレートな歌詞が耳に残る優しい歌だった。ラスト1曲を残して、「今回のツアーで自分だから歌えるものを歌おうって決めました」と松本。最後に届けた「メイ」では、“声は言葉を頼って 繋いだ貴方の傍へ”というフレーズでマイクを通さずに歌い、とりわけ「あなた」という言葉に力が込められていた。それは、答えを導き出したのは紛れもなく自分だったが、そこに至るまでには「あなた」の助けがあったことを伝えるための歌だった。

 アンコールでは、「やりたいことがあるんだよね」と言って、松本と千野がふたりでGOOD ON THE REELの「せい歌」をアコースティックギターの弾き語りで届けた。千野は「まさか大ちゃんがこの曲を歌いたいって言うと思わなかった」と言っていたが、何かを決めることも、諦めることも自分自身のせいだと諭すようなGOOD ON THE REELらしい優しくて厳しいその歌は、いまの松本に必要な歌だったのだと思う。そして再びメンバー全員が揃ったところで繰り出した「地球儀」では、松本が会場の後ろにある関係者卓の上によじ登って歌ったかと思えば、最後の「L-R」で体を震わせながらの絶唱を見せてライブの幕を閉じた。「俺は絶対にみんなが誇りに思えるバンドになるって覚悟を決めました」。アンコールで松本が宣言した強い覚悟は、決してライブの勢いで言ったものなんかではなく、このツアー中、いや、もしかしたらデビュー以来ずっと抱え続けていたであろう長い逡巡の果てにようやく得たものであることは、この日の吹っ切れたパフォーマンスが物語っていた。2018年のLAMP IN TERRENは「暴走機関車のように」駆け抜けていくという。彼らの勢いに振り落とされないように、私たちもまたついてゆく覚悟を決めなければいけない。

【取材・文:秦 理絵】
【撮影:浜野カズシ】

tag一覧 J-POP ライブ LAMP IN TERREN GOOD ON THE REEL

リリース情報

fantasia

fantasia

2017年04月12日

A-Sketch

1.キャラバン
2.地球儀
3.涙星群の夜
4.heartbeat
5.innocence
6.at (liberty)
7.pellucid
8.オフコース
9.不死身と七不思議
10.eve

セットリスト

TOUR "FOR TRUTH"
2017.11.26@渋谷CLUB QUATTRO

  1. 01.NEW CLOTHES -新曲-
  2. 02.涙星群の夜
  3. 03.キャラバン
  4. 04.林檎の理
  5. 05.heartbeat
  6. 06.innocence
  7. 07.花と詩人-新曲-
  8. 08.pellucid
  9. 09.緑閃光
  10. 10.メイ
  1. en01.せい歌
  2. en02.地球儀
  3. en03.L-R

お知らせ

■ライブ情報

定期公演ワンマン「SEARCH #001」
2018/01/26(金) 渋谷Star lounge

定期公演ワンマン「SEARCH #002」
2018/02/26(月) 渋谷Star lounge

定期公演ワンマン「SEARCH #003」
2018/03/26(月) 渋谷Star lounge


rockin’on presents「RO JACK WINTER FINAL 2017」
2017/12/09(土) 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

DAIKANYAMA LIVE
2017/12/19(火) 代官山UNIT

「エレキレストラン106」スペシャルツーマン
2017/12/21(木) 京都mojo

MERRY ROCK PARADE 2017
2017/12/23(土) ポートメッセなごや

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2017
2017/12/29(金) インテックス大阪

rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 17/18
2017/12/30(土) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

ロマンチック☆安田企画「バッチグゥ」 ※松本弾き語り出演
2018/01/04(木) 高円寺ShowBoat

グッドモーニングアメリカ「502号室のシリウスツアー」
2018/01/13(土) 京都MUSE HALL

MASH A&R presents MASHROOM 2018
2018/01/21(日) 新木場STUDIO COAST

夢チカLIVE VOL.126
2018/01/27(土) 札幌KRAPS HALL

A FLOOD OF CIRCUS 大巡業 2018
2018/02/08(木) 梅田Shangri-La
2018/02/09(金) 梅田Shangri-La

machioto2018
2018/02/11(日) 岡山市内4会場サーキット

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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