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過去にこんな楽しい対バンツアーは見たことがない! 『ウソツキpresents ウソツカナイミュージックツアー2017』

ウソツキ | 2017.12.30

 ウソツキが10月28日の仙台enn 2ndを皮切りに全国7ヵ所で開催してきた『ウソツキpresents ウソツカナイミュージックツアー2017』のファイナルが渋谷クラブクアトロで行なわれた。空想委員会や東京カランコロンなど、互いにリスペクトし合うバンドと共にまわった今回のツアーを「いままでいちばん楽しいツアーだった」と振り返ったウソツキ。そのファイナルでは、緑黄色社会とSaucy Dogという急成長中の若手バンド2組を迎えて、瑞々しいメロディと“嘘のない”言葉とが飛び交う、忘れられない一夜となった。

 トップバッターは長屋晴子(Vo)率いる愛知発の4ピースバンド、緑黄色社会。“目の前に野菜ジュースがあったから”という理由でつけたというインパクト重視のバンド名を持つ彼らだが、その透明感のあるポップミュージックは、決して奇を衒わずに切ない恋心や大人になり切れない自分自身を等身大の言葉でメロディにのせる楽曲たちだ。「声を出す準備はできていますか?」という長屋の問いかけがイベントの開始を軽やかに告げた「はじまりの歌」をスタートダッシュに、集まったお客さんと一緒に数えたカウントから「Alice」へと突入。まだメンバーの平均年齢は20歳と若いバンドだが、特に2017年は東名阪の初ワンマンを成功させたほか、全国のライブハウスで多くのバンドマンと切磋琢磨してきた経験もあり、“みんなでひとつのライブを作る”スキルを磨き上げてきた。MCでは、ウソツキと過去に対バンしたことがあると振り返り、「今日は楽しみにしていました!」と嬉しそうな表情を見せると、終盤、とりわけ前に進もうとするがゆえの葛藤を生々しい言葉で綴った楽曲たちが素晴らしかった。「うまくいかないことがあるけど、誰かのせいにするんじゃなくて、ちゃんと向き合おうと思って作った曲です」と紹介したミディアムバラード「キラキラ」、peppe(Key)のピアノをフィーチャーして“何回でもやり直せる”という再スタートへの想いをエモーショナルに届けた新曲「Re」。今年9月にライヴ・サーキット・イベント『TOKYO CALLING 2017』で見たときはどこかふわりとした掴み所のなさに危うい魅力を感じるバンドだと思ったが、いまや凛とした強さを持つバンドへと成長した姿を見せてくれた。

「最低だった自分に……」と前置きをして、昨日までの言い訳ばかり自分に“さよなら”を告げるための「グッバイ」からスタートしたのは男女混成スリーピースバンドのSaucy Dog。2016年に『MASH FIGHT vol.5』でグランプリを獲得して以降、少しずつ全国的に知名度をあげている彼らは、心に一本の筋を通す真っすぐな歌たちで聴き手を魅了していった。抜けの良いハイトーンボーカルの石原慎也(Vo/Gt)を軸に、時々、ステージのうえで目と目を合わせながら演奏をするリズム隊の秋澤和貴(Ba)とせとゆいか(Dr/Cho)。3人が同期などは一切使わずに作り出すシンプルなバンドサウンドは、“届ける”とか、“聴かせる”という生ぬるい表現よりも、“リスナーとぶつかってゆく”というような体当たり感がある。ウソツキのツアーファイナルに寄せて、「おかえりという気持ちもありますが、これから新しいことが始まる日でもあると思うので、その背中を押せるに日になればと思います」という、せとのMCにもこのバンドの誠実さが溢れていた。日常にある風景を丹念に描きながら、せつない心情を重ねていく「マザーロード」や「煙」などソリッドな楽曲を畳みかけたあと、最後に石原が「別れて一生会えない人に向けて作った曲です」と言って、ラストソングに用意していたのは代表曲でもあるセンチメンタルなバラード「いつか」だった。オレンジ色の光を浴びて、どこか懐かしいメロディにのせた、悲しいハッピーエンドを迎えたふたりの物語。まだキャリアは浅いバンドだが、真っ直ぐにオーディエンスを見ながら、自分たちだけの真実を背負ってステージに立つ姿は、すでに表現者としての覚悟が備わっていた。

 トリを飾ったウソツキは、藤井浩太(Ba)が“U”、林山拓斗(Dr)が“S”、竹田昌和(Vo/Gt)が“T”、吉田健二(Gt)が“K”という風に、メンバー全員でU.S.T.K(ウソツキ)の人文字を作り、大きな歓声に迎えられてステージに現れた。「銀河鉄道に乗って、あなたたに夢を届けにきました」という、いつも通りの竹田の開会宣言から、カラフルな照明に照らされた軽妙なポップソング「夢のレシピ」でライブをスタート。ひねくれ者のネガポジをコール&レスポンスで吹き飛ばす歌謡ロック「ネガチブ」から、藤井が繰り出すファンキーなベースラインで踊る「地獄の感情無限ロード」など、初っ端からアクセル全開のパフォーマンスだ。「楽しすぎて、息切れしてますけど(笑)、ぶち上げていきますよ!」という竹田のMCは手短かに、“右手上げて、左手下げないで”というキャッチーなフレーズに合わせて、お客さんが一体になってダンスする「旗揚げ運動」へ。表面的には楽しい旗揚げゲームだが、誰かの言いなりになって踊らされる自分を皮肉たっぷりに綴るダンスナンバーだ。ウソツキの楽曲には、ソングライティングの中心を担う竹田が、日常生活で抱く疑問や孤独を何かのモチーフに喩えて歌にする楽曲が多い。だからこそ、その悩みは深刻になりすぎず、リスナーと一緒に笑い飛ばすようなポップミュージックとして完結するのだ。

 中盤のハイライトは「本当のこと」と「ピースする」だった。“大嫌いな自分を愛して、あなたといられたら”、そんな願いを込めた「本当のこと」は、ウソツキを名乗るひねくれた正直者が、初めて自分のなかにある弱い自分を真っすぐに曝け出した楽曲だ。そのままダイナミックなバンドサウンドにじゃんけんをテーマにした平和(ピース)ソングへとつなぐ。冴えわたるメロディにのせるのは、優柔不断な自分のことと、それを取り巻く世界のこと。大仰に平和を唱えるのではなく、諍いのない世界を信じたというような優しいウソツキらしい歌を届けたあと、竹田が高く掲げたピースサインが印象的だった。

 最後のMCでは、この日一緒にステージを作り上げた緑黄色社会とSaucy Dogに感謝を伝えながら、「……だがしかし!いちばん愛されるのはウソツキです!」と、竹田が自信満々に言い切ると、“何回でも告白しよう”と歌うロマンチックなラブソング「一生分のラブレター」、そして、吉田がギターで繰り出す汽笛の音が合図の別れの歌「新木場発、銀河鉄道」で本編を締めくくったウソツキ。アンコールでは、いつもがんばりすぎる“あなた”が、肩のちからを抜いて日常へと帰れるためのポップソング「人生イージーモード」で、ウソツキらしくライブを締めくくった。この日、竹田は「もっとかっこよくなって会えるにようにします!」と言っていた。ここ数年はより自由かつ精度の高いポップミュージックを追求して、バンドの現在地を更新しているウソツキだけに、その言葉はきっと嘘にはならないだろう。

【取材・文:秦理絵】
【撮影:山野浩司(ウソツキ/緑黄色社会)】
【撮影:白石達也(Saucy Dog)】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル ウソツキ

リリース情報

惑星TOKYO

惑星TOKYO

2017年04月12日

DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT

01.惑星TOKYO
02.人生イージーモード
03.一生分のラブレター
04.コンプレクスにキスをして
05.どうかremember me
06.地下鉄タイムトラベル
07.ハローヒーロー
08.心入居
09.夢のレシピ
10.夢屋敷
11.本当のこと

セットリスト

対バンツアー『ウソツキpresents ウソツカナイミュージックツアー2017』
2017.12.21@渋谷CLUB QUATTRO

    緑黄色社会
  1. 01. 始まりの歌
  2. 02. Alice
  3. 03. またね
  4. 04. キラキラ
  5. 05. Re
  6. 06. 大人ごっこ
  7. 07. 恋って
  8. 08. アウトサイダー
  9. Saucy Dog
  10. 01. グッバイ
  11. 02. ナイトクロージング
  12. 03. タイトル未定(新曲)
  13. 04. マザーロード
  14. 05. 煙
  15. 06. wake
  16. 07. いつか
  17. ウソツキ
  18. 01. 夢のレシピ
  19. 02. ネガチブ
  20. 03. 地獄の感情無限ロード
  21. 04. 旗揚げ運動
  22. 05. コンプレクスにキスをして
  23. 06. 本当のこと
  24. 07. ピースする
  25. 08. 一生分のラブレター
  26. 09. 新木場発、銀河鉄道
  27. 【ENCORE】
  28. 10. 人生イージーモード

お知らせ

■ライブ情報

ULTRA USOTSUKA NIGHT ~俺たちバッドボーイズ!~
03/23(金)大阪・心斎橋Pangea
03/30(金)愛知・名古屋APOLLO BASE
04/01(日)東京・恵比寿LIQUIDROOM

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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