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向井太一 初ワンマンツアー「"BLUE" TOUR 2018」東京公演・渋谷WWWをレポート

向井太一 | 2018.01.31

 向井太一が初ワンマンツアー「"BLUE" TOUR 2018」の東京公演を、1月19日に東京・WWWにて開催した。これは昨年11月にリリースした1stフルアルバム『BLUE』のレコ発ツアーで、チケットは即日ソールドアウト。超満員のフロアが開演を待ちわびる中、向井は温かい歓声で迎えられた。彼はすぐさまドラムのカウントに乗せてファンキーなアプローチの1曲目「FREER」を歌い出し、強烈なカウンターパンチで記念すべき夜を始める。

 この日のサポートメンバーは、George(Manipulator / Mop of Head)、Satoshi Yamashita(Dr / Mop of Head)、田口恵人(B / LUCKY TAPES)、高橋健介(G / LUCKY TAPES)という強力な4人。ちなみに向井太一の楽曲はギターを使うものが少なく、これまでのライブはギタリスト抜きの編成だったため初の導入だった。

「最後まで飛ばしますので、お楽しみに」という挨拶の通り、2曲目以降は「Lost & Found」「楽園」「眠らない街」と、アルバム『BLUE』収録曲を連発。各曲では青の照明効果が、全面であったりピンスポットであったりドッドであったり、印象的に差し込まれていた。公演全体を通してやはり“BLUE”に包まれていたことが脳裏に焼き付いている。向井は、ラップのように小刻みな節回しも、浮遊感があって伸びやかなロングトーンも、自在にその声を操る。ささやくようなウィスパーから声量たっぷりのフェイクまで、彼の歌唱は限りなく自由で、主導権を握るステージでの身のこなしはとても楽しそうでもあった。

 中盤には、向井が18歳で上京し、バンドを組んでいた当時から大切に歌い続けている曲「君にキスして」を披露。『BLUE』にはKan Sanoプロデュースによるアーバンなアレンジで収録された、ミドルR&Bのラブソングだ。恋人同士のセクシーな表現が、持ち前の声色も相まって甘く響きわたる。次の「THINKING ABOUT YOU」もストレートな愛情を表現したソウルナンバー。向井の歌声は一層力強さを増し、ライブの中核を担うハイライトとなった。

 MCでは、今回の公演チケットが先行販売の段階でほぼ売り切れたことに「自分のために誰かが見たいと思って来るなんてすごいなと思って、本当にうれしいです」と触れつつ、アルバム『BLUE』の話題に。「1年ぐらいかけて作ってて。これから歌手として、アーティストとして、どう生きていくかを見つめ直す期間になった。僕が音楽をやっていてよかったなって感じる瞬間は、常に誰かを感じていられることで。リリースするのも誰かが必要で、ライブするのも誰かが必要で、常に誰かがそばにいないとできないこと。なので、今日たくさんの人が集まってくれて本当に嬉しいです」と万感の思いで語る。上京後、メジャーデビューまでに7年かかった向井。ここまで踏ん張れたのはやはり、目の前にいるオーディエンスのように、応援してくれた人たちの存在だという。「もっと大きくなって、もっとでかいところを見せてあげられるようにがんばります」。そう宣言してアルバム表題曲「Blue」へ。この曲で歌った<何度も投げ出しても 悔し涙も 力に変えてきただろう この道で生きるんだと決めたから 後は上に上がるだけさ>という詞は、向井自身のストーリーが重なって満員の会場にこだました。<ありのまま歌い続けたいよ>その言葉通りの強い意思表明でもあったように思う。

 後半は、この曲をはじめ、徐々に向井自身のパーソナリティがむき出しになっていく展開に。ピアノを中心としたシンプルなバラード「ONE」、ハンドクラップが起こったソウルフルな「YELLOW」、スペーシーなシンセサウンドに彩られた「Great Yard」と、曲を重ねるにつれてフロアは熱を帯びていく。

 そして「空 feat. SALU」ではフィーチャリングゲスト・SALUとの生共演が実現。雨が降っても雨上がりにはキレイな虹がかかる、という愛と平和にあふれたメッセージを発信し、観客たちは手を上げて発奮。念願の共演に「皆さんのおかげで夢が叶いました!」と向井も晴れ晴れしい表情を浮かべていた。本編ラストは、メジャーデビュー前にリリースしたEP『24』から「ファンのみんなのために書いた曲」という「SLOW DOWN」をセレクト。2016年のリリース時よりひと回りもふた回りも説得力を増したパフォーマンスで、ワンマンライブを一旦締めくくった。

 アンコール1曲目は、『BLUE』のリードトラックとして先行シングルになった「FLY」。軽妙なギターのカッティングやベースソロなどバンドアンサンブルが印象的な曲で、バンドと主役のコンビネーションもバッチリ。向井は「今日は本当にありがとうございました。めちゃくちゃ幸せでした。『BLUE』をリリースしてたくさんの人に知ってもらえて、いいスタートになったと思ってます」と終わりの挨拶を続ける。最後に送る「RISE」は、親友の結婚式のために書いた1曲だそうだが、「僕の始まりの曲になるのかな。支えてくれる人がいて、皆さんがいて、チームみんなで“向井太一”で、僕が先頭に立ってるっていう気持ちでやってます。新しい旅立ちと感謝の気持ち、全部が詰まった曲です。最後にこの気持ちを歌に乗せて届けます」と口にして歌い始めた。新しい世界への希望と、今目の前にある喜びを歌にしたピースフルなナンバーだ。この曲で終幕することが、まさに向井太一の明るい未来を示唆しているようだった。

【文:鳴田 麻未】
【撮影:松平伊織】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 向井太一

リリース情報

BLUE

BLUE

2017年11月29日

TOY’S FACTORY

01. 楽園 (Co-Produced by Julian-Quan Viet Le / LeJkeys)
02. FLY (Co-Produced by Kai Takahashi)
03. Can’t Wait Anymore (Co-Produced by MONJOE / MIRU / 荘子it)
04. Lost & Found (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
05. Great Yard (Co-Produced by starRo)
06. BLUE (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
07. 空 feat. SALU (Co-Produced by mabanua)
08. 眠らない街 (Co-Produced by mabanua)
09. Conditional (Co-Produced by grooveman Spot)
10. Teenage (Co-Produced by BACHLOGIC)
11. ONE (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
Bonus Track1. 君にキスして (Co-Produced by Kan Sano)
Bonus Track2. FREER (Co-Produced by Masahiro Tobinai)

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セットリスト

"BLUE" TOUR 2018
2018.1.19@渋谷WWW

  1. 01. FREER
  2. 02. Lost & Found
  3. 03. Can’t Wait Anymore
  4. 04. 楽園
  5. 05. 眠らない街
  6. 06. Conditional
  7. 07. Teenage
  8. 08. 君にキスして
  9. 09. THINKING ABOUT YOU
  10. 10. TOUCH
  11. 11. Blue
  12. 12. ONE
  13. 13. YELLOW
  14. 14. Great Yard
  15. 15. 空 feat. SALU
  16. 16. SLOW DOWN
  17.  【ENCORE】
  18. 17. FLY
  19. 18. RISE

お知らせ

■ライブ情報

ANAGRAM
02/09(金) 渋谷club asia

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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