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BRAHMAN初の日本武道館公演『八面玲瓏』ソールドアウト

BRAHMAN | 2018.02.20

 繋いで来たもの、繋いでいるもの、繋いでいくべきもの…。その間にあった唱と友、事実と事象。語り続け、歌い続け、伝え続けていく大切さと使命。そして責任感…。ライブ中に何度も「バトン」と言う文字が去来したライブであった。

 BRAHMANの日本武道館ライブが2月9日に行われた。『単独公演「八面玲瓏」』とタイトルされた、この日のライブは、中央に八角形のステージを配し、その周りをスタンディングエリアが各ブロックで配され、1階席、2階席共に、ぐるりとそのステージを取り囲むように、のべ12000人が彼らのライブへの対峙を臨む形で敢行された。まさに武道館特有の八角形に相応しいライブ陣営だ。2013年に千葉・幕張メッセで行われた八面ライブの際に存在していた会場中の壁面を囲んでいたビジョンも今回はナシ。とは言え、ライブが始まると同時に、今回はそれを上回るビジョンが用意されていたことを知る。

 ドキュメントは突然訪れた。忽然と会場中の客電が落ち、いつもの登場SEが流れる中、武道館天井を使ったプロジェクションマッピングにてデパーチャー映像がうつし出される。物理的に壁面は難しいだろうと思ってはいたが、まさかこうくるとは…。後に、ここで映し出された映像の数々は、ステージで繰り広げられるパフォーマンスと相交わり、時に吸い上げられるように、時に降り注いでくるように、時に浮遊したり、沈殿したりとの効果も与えてくれた。
そのオープニング映像が終わると、アリーナを通りメンバーがステージに現われる。

 RONZIの叩き出す生命力のあるドラムから、この日のライブは始まった。1曲目は「THE ONLY WAY」。漂っていた緊張感を切り裂くべく、ギターのKOHKIとMAKOTOのベースが放つ音塊が会場中の“待ってました!!”との呼応と融合していく。渾身の力を込めてマイクスタンドを両手で握りしめ歌う、ボーカルのTOSHI-LOWの歌声は今日も力強い。いきなり疾走感と重さ、そして美しさの同居という彼らの真骨頂に会場中が支配されていく。続く最新アルバム『梵唄 -bonbai-』からの「雷同」に入るとライブは更に加速していく。TOSHI-LOWもハンドマイクに握り替えステージを360度駆け抜け歌う。

「上も下もねえ。右も左もねぇ。前も後ろもねぇ。恨みもわだかまりもねぇ。過去も未来もねぇ。あるのはただ今、この瞬間。このありのままの形。ありのままの俺たち本来の姿。2月9日、日本武道館、さぁ、戦おうぜ!!俺たち、BRAHMAN始めます!!!」とTOSHI-LOWからの開戦布告。約90分の対峙と12000人対4人の真剣勝負が始まる。
前半のハイライトは、ノンストップでの「BASIS」「SEE OFF」のラインだった。この20年近くずっと歌い続けてきた曲も、この日はことさら強靭に感じた。また、「BEYOND THE MOUNTAIN」「DEEP」「SPECULATION」の新旧曲の矢継ぎ早の連射は、曲が変わる毎に歓喜の喚呼を呼び起こし、当のメンバーも前傾姿勢で一心にプレイ。一音入魂の如く、強靭なサウンドやビートが編み出されていく。中でも、「SPECULATION」の際には、ステージから天井に向けての照明による効果が、上からは降ってくるように、下からは襲ってくるようなサウンドが、我々に歓喜の挟み撃ちを仕掛けてきた。
そして、「其限」では、ここまでの足取りを振り返り、再びアライアンスを組むような歌が会場中に広がり、同じ志であり続けたことを確認し合う場面が作り出されていく。

 中盤からは、ニューアルバムで参加したアーティストたちも交えステージが彩られていった。「怒涛の彼方」では、トランペットにNARGO、トロンボーンに北原雅彦、テナーサックスにGAMO、バリトンサックスに谷中敦とスカパラホーンズの荒ぶるブローが加わり、「ナミノウタゲ」では、ハナレグミ・永積 崇がコーラスにて修羅を超えた凪のようなその歌声を馴染ませてくれた。また、「守破離」「ラストダンス」では、北海道からの鬼たちが、関東の鬼(BRAHMAN)と共に吼えた。「守破離」では、北海道・札幌シティ・ハードコアを一身で守り続けてきた、SLANGのKOが咆哮を放ち、「ラストダンス」では、札幌・平岸から常にアゲインストでありながらも、ヒップホップはもとより、他ジャンルとも他流試合を交わし続け、孤立無援で戦い続けてきたTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOが、全身全霊で、「それでも生きているって言えるのか?」「満身創痍になるまで戦ってみろよ!!」と、グイグイと胸ぐらを掴むかのように、そのラップを通し詰問してきた。

 他にも、この日はニューアルバムからの曲も多くプレイされた。「“自分には新しいものなんてねぇ”と思ってるなら、自分の手のひらをちゃんと見てみろ。そこには元々持っている感覚がある。それが存在ってことだ」(TOSHI-LOW)の言葉のあと歌われた、生命力と逞しさに満ちた「AFTER-SENSATION」、「未来に繋げるのは誰?」のTOSHI-LOWによる詰問の後に放たれた「不倶戴天」では、♪言い訳すんなよ小僧♪♪卑怯者だろ傍観者♪の言葉が尚のこと胸に刺さり、“そうだ!そうだよな!!”と、再び明日へと力強く踏み出す為のバイタリティを授けてくれた。

 激しいだけが彼らではない。それを今再び想い出させてくれたのは、「ARRIVAL TIME」「ANSWER FOR...」等、初期の人気楽曲であった。三拍子を基調とした、穏やかさと激しさの同居は、この日も健在を伺わせた「ARRIVAL TIME」。また、こちらも同じく穏やかさと激しさの同居の中、みんなが歌い、叫んだ「ANSWER FOR...」が昔からのファンと最近彼らを知ったファンとを繋げていった。

 そしてこの日、アリーナのクラウドサーフ最高数を記録したのは「警醒」の際であった。その前にTOSHI-LOWから、普段ならフロアに飛び込んで一緒にもまれ、共に歌うところだが、武道館のルールでそれが不可能なことが告げられる。「俺の代わりに飛び込んでくれ!!」とのGOサインと共にビジョンに映された「フテネコ」と共に、激しい楽曲に合わせアリーナの至るところでモッシュサークルが生まれ、8カ所からステージに向けて無数のクラウドサーフが起こる。

「震災以降教わった。自分に出来ないことは人に頼めばいいし、その代わり俺も引き受ければいい。それは俺の中では逃げじゃねぇ、挑戦だ」と語るTOSHI-LOW。しばらく話を続け、その最後には、「早く人生が終わればいいと本気で思っていた時もあったが、今夜は、“終わらないで欲しい!!”と本気で思ってる」の言葉を残した。そして、その後に放たれた「今夜」では、細美武士が呼び込まれ、一緒にこれからも歩こうと歌われた。その際、「この日よ終わらないでくれ…」と、心から願ったのは私だけではないだろう。そして、同アルバム収録のカバー曲「満月の夕」では、三線に中川敬、コーラスにうつみようこ、ギターに山口洋を迎え、同曲の擁する悠久性と琉球旋律、そしてきっと大丈夫との安堵感が会場中に広がっていった。

 ラストスパートは、後世に残すべく大事なメッセージが、親父の硬いゲンコツのように優しく、だけど痛く、硬く、聴く者の胸にずっしりと響き、それが次へのバトン渡しへと向かわせた。映し出された映像と共に、ことさらズッシリと力強く響いた「鼎の問」、初期からの代表曲「FOR ONE’S LIFE」。そして、「自分たちの番はこれで終わりだけど、キチンと次につないだよ。次に武道館に立つのは誰だ?俺たちみたいなバンドをここに乗せてくれて感謝の気持ちしかありません。ありがとうございました」と、これまであまり見せなかった感謝の言葉を述べ、この日を締めくくるかのように、「これまで『また』なんて約束を交わしたことが無かったけど。今夜は特別。『また』会いましょう」の言葉と共に、ラストは最新アルバム1曲目だった「真善美」が現われる。終わりが来ることの寂しさと、だけどが故に、また次に出逢える機会があることを夢見させてくれた同曲。最後は無伴奏にてTOSHI-LOWがマイク一本で会場に歌い、さながらそれは我々に向け、「後世へと引き継ぎ、善へと向かう手段を考え、そしてそれを実行せよ!!」とのメッセージのようにも響いた。

 この制約が多い武道館だが、そんな中でも数多のロックバンドが、この半世紀に渡り、途切れず、この場所でやり続けてこれたことに言及し、続けて、「俺たちがここでやれているのは、代々ロックバンドがやれるように守ってきてくれた、繋げてきてくれた人たちが居たからで。それを自分たちの代で途切れさすわけにはいかない。ここでルールを破って、ビートルズからの歴史を終らせるわけにはいかないんだよ」と、ライブ後半のMCで語ったTOSHI-LOW。途中、我を忘れてフロアに飛び込み、いつものように歌いたい思いが彼の中で何度も去来したことだろう。しかし、けっして彼はそうはしなかった。それを留めてくれたのは、きっと守り続け、生かし続けてきてくれた人たちの存在、そして自分たちはその上に成り立っていることの自覚に他ならない。何かを残し、何かを繋げる。この日の彼らは我々一人ひとりに、歌や演奏、そして折れない心を通し、次へのバトンを渡してくれた。そのバトンをしっかりと受け取れたかは今はまだ分からない。この後、このバトンを誰に、どのように繋ぐかが重要であり、それが故の成功だからだ。そんなことをこの日の彼らは全身全霊で、満身創痍となって伝えてくれた。
90分にも及ぶ彼らのとの対峙のヘビーさと疲れよりむしろ、帰路、不思議と明日への足取りが軽くなっている自分がそこに居た。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:Tetsuya Yamakawa (Showcase)】
【撮影:Tsukasa Miyoshi (Showcase)】

tag一覧 BRAHMAN J-POP ライブ 男性ボーカル

リリース情報

[Blu-ray] 尽未来際

[Blu-ray] 尽未来際

2016年03月23日

トイズファクトリー

■Disc1(BD)収録内容
尽未来祭(Day1:2015/11/14)at 幕張メッセ国際展示場
01.TONGFARR / 02.FOR ONE’S LIFE / 03.SEE OFF / 04.GOIN’DOWN / 05.GREAT HELP / 06.BASIS / 07. SHADOW PLAY / 08.PLASTIC SMILE / 09.BOX / 10.BEYOND THE MOUNTAIN / 11.DEEP / 12.NO LIGHT THEORY / 13.Z / 14.時の鐘 / 15.ARRIVAL TIME / 16.THAT’S ALL / 17.THERE’S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE / 18.ANSWER FOR… / 19.NEW SENTIMENT / 20.ARTMAN / 21.THE SAME

● 尽未来祭 写真集(Day1 : 2015/11/14 )
● 20th Anniversary Album「尽未来際」(DISC 1) High-Resolution Audio /Booklet
● 尽未来際 ~開闢~ / ~畏友~ / ~尽未来祭~ Documents

■Disc2(BD)収録内容
尽未来祭(Day2:2015/11/15)at 幕張メッセ国際展示場
01.初期衝動 / 02.THE ONLY WAY / 03.賽の河原 / 04.THE VOID / 05.露命 / 06.EPIGRAM / 07.SPECULATION / 08.其限 / 09.鼎の問/ 10.A WHITE DEEP MORNING / 11.DOUBLE-BLIND DOCUMENTS / 12.CIRCLE BACK / 13.(a piece of)BLUE MOON / 14.遠国 / 15.FAR FROM… / 16.CAUSATION / 17.LOSE ALL / 18.警醒 / 19.PLACEBO / 20.霹靂 / 21.虚空ヲ掴ム / 22.TONGFARR

● 尽未来祭 写真集(Day2 : 2015/11/15 )
● 20th Anniversary Album「尽未来際」(DISC 2) High-Resolution Audio /Booklet
● Music Video「天馬空を行く」
● Band Score「天馬空を行く」

※DVDの内容は、オフィシャルHPをご覧ください。

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セットリスト

BRAHMAN 八面玲瓏
2月9日@日本武道館

  1. 01. THE ONLY WAY
  2. 02. 雷同
  3. 03. 賽の河原
  4. 04. BASIS
  5. 05. SEE OFF
  6. 06. BEYOND THE MOUNTAIN
  7. 07. DEEP
  8. 08. SPECULATION
  9. 09. 其限
  10. 10. 怒涛の彼方
  11. 11. AFTER-SENSATION
  12. 12. 終夜
  13. 13. ナミノウタゲ
  14. 14. A WHITE DEEP MORNING
  15. 15. 守破離
  16. 16. ラストダンス
  17. 17. 不倶戴天
  18. 18. ARRIVAL TIME
  19. 19. ANSWER FOR...
  20. 20. 警醒
  21. 21. 今夜
  22. 22. 満月の夕
  23. 23. 鼎の問
  24. 24. FOR ONE’S LIFE
  25. 25. 真善美

お知らせ

■ライブ情報

Tour 2018 梵匿 -bonnoku-
03/03(土) 山口 周南 RISING HALL
03/04(日) 広島 CLUB QUATTRO
03/07(水) 京都 MUSE
03/09(金) 新潟 LOTS
03/17(土) 北海道 Zepp Sapporo
03/21(水) 大阪 Namba HATCH
03/23(金) 金沢 EIGHT HALL
03/24(土) 富山 MAIRO
03/26(月) 奈良 NEVER LAND
03/29(木) 和歌山 SHELTER
03/31(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
04/01(日) 米子 AZTiC laughs
04/04(水) 高知 X-pt.
04/06(金) 高松 festhalle
04/08(日) 松山 W studio RED
04/10(火) 神戸 Chicken George
04/11(水) 滋賀 U-STONE
04/17(火) 鹿児島 CAPARVO Hall
04/19(木) 熊本 B.9 V1
04/21(土) 福岡 DRUM LOGOS
04/23(月) 岐阜 CLUB ROOTS
04/25(水) 長野 JUNK BOX
05/08(火) 水戸 LIGHT HOUSE
05/10(木) 高崎 Club FLEEZ
05/24(木) 山形 ミュージック昭和セッション
05/26(土) 青森 Quarter
05/27(日) 秋田 Club SWINDLE
05/29(火) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
05/31(木) 郡山 HIP SHOT JAPAN
06/02(土) 仙台 GIGS
06/05(火) 栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
06/07(木) 埼玉 HEAVEN’S ROCK Shintoshin VJ-3
06/09(土) 愛知 Zepp Nagoya
06/10(日) 清水 SOUND SHOWER ark
06/13(水) 東京 Zepp Tokyo
06/14(木) 東京 Zepp Tokyo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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