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スガシカオ 弾き語りツアー「Hitori Sugar Tour 2018」中野サンプラザ公演をレポート

スガ シカオ | 2018.03.27

「歌が主人公の曲をきちんとやりたい」と、スガシカオはこの日言った。

デビューシングル『ヒットチャートをかけぬけろ』のリリースから21年。デビュー記念日である2月26日、彼は中野サンプラザのステージにたった一人で立っていた。現在、全国33都市をまわる弾き語りツアー「Hitori Sugar Tour 2018」の真っ最中の彼。そこで繰り広げるのは、濃厚なファンクを展開するバンド編成のツアーとは対象的な、アコースティックギターと歌だけによるステージだ。

なぜ今、スガシカオは一人で弾き語りのライブツアーを行っているのか。

そこにはきっと、再び「個」から21年目の歩みを始めるという意味合いがあったのではないだろうか。2016年にはメジャー復帰後初のアルバム『THE LAST』とkōkua名義の1stアルバム『Progress』をリリース、デビュー20周年イヤーとなった2017年には豪華かつ異色なラインナップが集った『スガフェス!』をさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールで開催と、精力的な活動を繰り広げてきた。

こうして一つの集大成を形にした後だからこそ、2018年の今は、レーベルも事務所も離れてたった一人で再スタートをきった2011年の時と同じ「原点」に再び立つという意志があったのではないだろうか。この日のライブから伝わってきたのは、そういうスガシカオの力強い信念とエンターテイナーとしてのタフネスだった。

ライブはデビュー曲「ヒットチャートをかけぬけろ」からスタート。スガ一人がステージに登場し、「みなさんのおかげをもちまして、本日、デビュー21年目を迎えました。感謝を込めて、デビュー曲から歌います!」と告げると、アコースティックギターを手に歌い始める。にぎやかな演出、凝った仕掛けはほとんどない、とてもシンプルなステージだ。それでも、ひとたび歌い始めると、音楽だけで観客を自在に惹き込んでいく。弾き語りを軸にしながらも、ルーパーを使って即興のサンプリングでビートを作ったり、ギターのボディを叩くスラム奏法を取り入れたりと、リズミカルな演奏も見せる。

選曲はこれまでのキャリアから万遍なく選ばれた内容。「アシンメトリー」や「愛について」など初期の代表曲、「Progress」などkōkua名義で発表した曲、アルバム『THE LAST』収録曲、さらには最新曲「トワイライト★トワイライト」までキャリアを横断するようなセットリストだ。ちなみにMCでは「たぶん人生で2番目にちゃんと作った曲」と「愛について」のことを語り、デビューする前に嘘をついて会社を辞め、将来が何も決まっていない状態で進路を断って曲を作ったというエピソードも披露していた。

中盤では、今回のツアーで導入としたというギタレレに持ち替えたスガシカオ。「能天気でアメリカンな土の匂いのする曲がないことにギタレレ買ってから気づいた。しょうがないんで、めっちゃ暗い曲をやります」と、「斜陽」を歌う。美しいメロディに乗せて、憂いや諦念や死生観や、そういう様々な人間の“業”のようなものにまでにじり寄って歌を紡ぎ出してきたスガシカオの詩人としての才能が伝わってくる。

さらに、この日唯一のゲストミュージシャンとしてギタリスト・田中義人を呼び込む。数々のミュージシャンのバックをつとめる彼は、スガのバンド「FUNK FIRE」のメンバーとしても活躍してきたいわば“右腕”的な存在。しかし彼はここ2年半にわたり、ステージを離れていた。ギターが弾けなくなる病気である局所性ジストニアと闘ってきた。田中義人にとっては、これが闘病からの復帰後初ステージとなる。「この二人でこの曲を歌うことはとても意味があると思います」と告げて演奏した「アストライド」は、《困難だって 超えていけるよ 倒れたって 諦めちゃだめさ》と歌う曲。スガ自身にとってもミュージシャン人生のターニングポイントを綴った、とても大事な曲だ。その歌声には、とても真摯な力がこもっていた。

続く「海賊と黒い海」からも数曲にわたり、エレキギターを手にした田中義人と自由闊達なセッションを繰り広げる。決めごとなしに二人で呼吸を合わせるさまからは、お互いの信頼も感じ取れる。手術台にギターを持ち込んだというエピソードも披露しつつ「ステージ上で泣くのはどうかと思ってたんですけど、やっぱり泣いちゃいましたね」と語る田中義人、「それだけ弾けるようになって本当によかったよ」と語るスガシカオ、それぞれの言葉やプレイからは、再び共にステージに立ったことへの大きな感慨が伝わってきた。

そして後半は再びスガシカオが一人で歌う展開へ。「夜空ノムコウ」をセンチメンタルに歌い上げ、そして原曲からはだいぶアレンジの変わりアップテンポになった「真夜中の虹」を披露する。そしてエレクトロニックなビートを鳴らし手拍子で会場も大きく盛り上がった最新曲「トワイライト★トワイライト」から、その高揚感のままラストの「19才」へ。ギターを弾きまくるエネルギッシュなパフォーマンスで本編は幕を閉じた。

アンコールでは、今後の活動について「2018年はがっつりと楽曲を制作したい」と語っていた。昨年にはWOWOWドラマ『プラージュ』で俳優に初挑戦していたが、そういう体験も踏まえて、「歌が主人公の曲を作りたい」という。

以前にインタビューで話を聞いた際にとても印象的だったのは、彼のキャリアを貫く探究心と目的意識のようなものだった。そして、新たな挑戦をするために、たびたび自分の環境をリセットしてきているということだった。何の確約もないのに仕事を辞めて極貧生活の中一人で曲を作り続けたデビュー前も、「50歳までに最高傑作を作り上げる」と目標を立て所属していた事務所やレーベルを離れてたった一人で活動を始めたときもそう。スガシカオというミュージシャンのスタート地点は、いつも「個」にある。だからこそ今も、生身の純度の高い歌を届ける「Hitori Sugar」のツアーを積み重ねていくことで、次作に向けてのステップを踏んでいこうとしているのだと思う。

その旅がどういう形に結実するのか。期待している。

【取材・文:柴 那典】
【撮影:AZUSA TAKADA】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル スガ シカオ

リリース情報

[配信]トワイライト★トワイライト

[配信]トワイライト★トワイライト

2017年12月26日

ビクターエンタテインメント

01.トワイライト★トワイライト

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お知らせ

■ライブ情報

SUGA SHIKAO Hitori Sugar Tour 2018
03/29(木)[山梨]甲府CONVICTION
03/31(土)[長野]長野CLUB JUNK BOX
04/01(日)[福井]福井CHOP
04/04(水)[鳥取]米子AZTiC laughs
04/06(金)[京都]京都磔磔
04/07(土)[和歌山]和歌山GATE
04/11(水)[北海道]函館金森ホール
04/12(木)[北海道]札幌ペニーレーン24
04/19(木)[大阪]なんばハッチ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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